薬剤を噛み砕いてはいけないのはなぜ?|口腔内与薬

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は薬剤の服用方法に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

薬剤を噛み砕いてはいけないのはなぜ?

薬剤を噛み砕いたり、飲み込むことによって、期待する薬効が発現されなくなるからです。

 

特に、狭心症の発作時に急速な効果の発現を期待して服用するニトログリセリン製剤は、噛み砕くと偶然に飲み込んでしまう可能性がありますので、完全に溶けるまで薬をそのまま保持しなければなりません。

 

舌下錠を飲み込んでしまうと、腸管での吸収が主になりますので、服薬後の血中濃度の上昇に時間がかかり、緊急を要する場合に効果を発現できなくなります。舌下で自然に溶かしている間に出た唾液も、できるだけ飲み込まないように指導しましょう。

 

トローチ剤も、ゆっくりと口腔内で溶かして口腔粘膜や咽頭(いんとう)部に直接作用させる目的で服用する薬ですから、噛み砕いて飲み込んでしまうと効果が減少してしまいます。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護知識トップへ