在宅人工呼吸器のメンテナンス方法は?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「在宅人工呼吸器のメンテナンス」に関するQ&Aです。

 

中山優季
東京都医学総合研究所難病ケア看護プロジェクト副参事研究員

 

在宅人工呼吸器のメンテナンス方法は?

 

使用者(患者、介護者)と医療職による日常点検と、機器供給会社や医療機関の臨床工学技士による定期点検があります。

 

〈目次〉

 

在宅人工呼吸器のメンテナンス

HMV(在宅人工呼吸療法)では、人工呼吸器の24時間365日の安全作動が欠かせない。

 

日常点検のポイント

使用者(患者、介護者)による日常的な点検内容は、表1のとおりである。

 

表1使用者による日常的な点検内容

 

1 周囲の火気・危険物はないか?
2 機器の設置台の安定性、固定は確実か?
3 電源プラグとコンセントゆるみはないか?
4 呼吸器回路の接続部のゆるみ、亀裂はないか?
5 いつもと違う音がしていないか?

 

訪問看護師等医療職による日常点検の内容については、以下に示す内容がポイントとなる。

 

本体

特に作動電源の確認、電源切り替わりが正常であるかの確認が必要である。空気を取り込むエアフィルター部分の埃の具合も確認する。

 

換気条件の設定項目

機種によって異なるため、医師に相談する。画面を切り替えていかないと設定条件を確認できない機種もある。 機種における取り扱い方法を確認しておくとよい。

 

医療職による日常点検では、特に人工呼吸器の正常作動と患者の状態の確認が重要である。呼吸ごとの同調性や肺野に均一に空気が入っているか、肺雑音、喀痰の貯留の有無などフィジカルアセスメントも欠かせない。

 

定期点検のポイント

定期点検は、臨床工学技士や機器供給会社による専門的な点検である。換気量計や気道内圧計を用いて人工呼吸器からの送気量や気道内圧の実測を行うこと、アラームが正常作動することの確認、電源の確認、内部・外部バッテリーの充電量の確認などが含まれる。

 

人工呼吸器は、使用時間・期間に応じてオーバーホールを行う。

 

24時間人工呼吸器使用の患者にとっては、同じ機種・同じ設定であっても、機械の交換によって違和感を訴える場合もある。このような訴えを十分に受け止め、微細な変化にすみやかに対応するよう心がける。

 


[文献]

  • (1)8020推進財団;平成20年3月㈶8020推進財団指定研究,「入院患者に対する包括的口腔管理システムの構築に関する研究」研究班,主任研究者:寺岡加代.:入院患者に対するオーラルマネジメント.8020推進財団,東京,2008.
  • (2)川村佐和子監修,中山優季編:ナーシングアプローチ難病看護基礎と実践.桐書房,東京,2014.
  • (3)石川悠加 編:NPPVのすべて これからの人工呼吸.医学書院,東京,2008.
  • (4)中山優季:在宅人工呼吸ケア.道又元裕編,人工呼吸ケア「なぜ・何」大百科,照林社,東京,2008:457.
  • (5)中山優季:在宅人工呼吸療法の実際.道又元裕,小谷透,神津玲編,人工呼吸管理実践ガイド,照林社,東京,2009:292-302
  • (6)川口有美子,小長谷百絵編著:在宅人工呼吸器ポケットマニュアル.医歯薬出版,東京,2009.
  • (7)特定疾患患者の生活の質(QOL)の向上に関する研究班「工呼吸器装着者の訪問看護研究」分科会編:人工呼吸器を装着しているALS療養者の訪問看護ガイドライン.2000.
  • (8)東京都福祉保健局:難病患者在宅人工呼吸器導入時における退院調整・地域連携ノート.http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/joho/soshiki/hoken/shippei/oshirase/taiintyousei_tiikirenkeinoto.files/tiintyouseirenkeino-to250711.pdf(2014年11月18日閲覧).

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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