人工呼吸中の小児の啼泣には、どう対応する?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「人工呼吸中の小児の啼泣」に関するQ&Aです。

 

三浦規雅
東京都立小児総合医療センターPICU主任

 

人工呼吸中の小児の啼泣には、どう対応する?

 

安易に鎮静薬を増量せず、何かしらの苦痛や不快に対する重要なサインとして、原因検索を進めることが重要です。人工呼吸中の啼泣の持続は、全身状態の悪化をきたす恐れがあります。

 

小児の人工呼吸中の啼泣

小児の啼泣は、満足、苦痛、怒り、悲嘆、満たされない甘えの欲求の伝達手段とされる。また、周囲のいらだちや緊張感などに対する反応としても考えられている。

 

新生児や乳児の啼泣は、生理的欲求(空腹、眠い、夜泣き)によって生じるものもあるが、何らかの苦痛や不快に対する重要なサインとして原因検索を進めることが重要である。

 

人工呼吸中の啼泣は、人工呼吸器との同調性を損ない、ファイティングを引き起こし、気道内圧を上昇させる。また、分泌物を増加させ、咳き込みや気管吸引による刺激が啼泣を増強させるだけでなく、啼泣時の体動や咳き込みが、事故抜管の要因となることもある。

 

啼泣の持続は、心負荷となり、代謝亢進させる。また、啼泣に伴う息こらえは、しばしば低酸素血症や徐脈の原因となる。

 

人工呼吸中の小児にとって、適切な鎮静薬の投与は不可欠であるが、安易な鎮静薬の増量は、重要なサインを見逃してしまうことにつながるので、十分な原因の検索と対応なしに行うべきではない(表1)。

 

表1啼泣の原因と対策の一例

 


[文献]

  • (1)Lerman J,Cote CJ,Steward DJ著,宮坂勝之,山下正夫訳:小児麻酔マニュアル改訂第6版.克誠堂出版,東京,2012.
  • (2)American Heart Association:PALSプロバイダーマニュアルAHAガイドライン2010準拠.シナジー,東京,2013:46.
  • (3)Silverman WA, Dunham’s Premature Infants. 3rd ed. New York:Harper & Row;1961:144.
  • (4)志馬信朗,橋本悟,問田千晶:小児ICUマニュアル改訂第6版.永井書店,大阪,2012
  • (5)日本呼吸療法医学会・多施設共同研究委員会:ARDSに対するClinical Practice Guideline第2版.人工呼吸2004;21:44-61.
  • (6)Curley MA:Japanese Version SBS. http://www.marthaaqcurley.com/uploads/8/9/8/6/8986925/sbs_japanese.pdf(2014年11月18日閲覧).
  • (7)志馬信朗:小児人工呼吸管理中の鎮静・鎮痛.救急・集中治療2010;22:407.
  • (8)McGrath PJ, Johnson G, Goodman JT, et al. CHEOPS:A behavioral scale for rating postoperative pain in children. Adv Pain Research therapy 1985; 9: 395-402.
  • (9)小宮山明子,魚住知恵:人工呼吸療法中の子どもの口腔ケア.小児看護2012;35(9):1203.

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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