ジー・エフ・オー(GFO®)っていったい何?どういう患者に、なぜ飲ませるの?

『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』より転載。

 

今回は「ジー・エフ・オー(GFO®)」に関するQ&Aです。

 

中村典子
大阪市立総合医療センター栄養部 主査
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長

 

ジー・エフ・オー(GFO®)っていったい何?どういう患者に、なぜ飲ませるの?

 

グルタミン、ファイバー、オリゴ糖を含有する食品です。1週間以上の絶食や回復途中の創傷をもつ術後等の患者の消化管粘膜の萎縮や、それによる免疫能の減衰などを回避できる可能性があります。

 

〈目次〉

 

なぜ腸管を使うことが大切なの?

栄養管理の大原則は「腸が機能している場合は、腸を使う」で、腸管を可能な限り使用することが大切です。静脈経腸栄養ガイドライン(第3版)には、「静脈栄養施行中に消化管を使用しなければ腸粘膜が萎縮し、bacterial translocation(BT)の要因となることは、熱傷モデルなどを用いた多くの動物実験によって確認されている。一方、ヒトにおいては、絶食下での静脈栄養施行中に腸粘膜萎縮は認められるもののBTの要因となりうるかどうかは明らかでない。しかし、腸管を用いないこと(絶食など)により、小腸粘膜が萎縮し、それに伴って機械的なバリア機能が低下し、さらには免疫学的バリア機能の低下も招くことは多くの研究で証明されている。」(1)とあります。

 

GFOとは?

ジー・エフ・オー(GFO®)とは、グルタミン、ファイバー、オリゴ糖を含有する栄養補助食品です(図1)。

 

図1GFO®(粉末清涼飲料)

GFO®(粉末清涼飲料)

 

大塚製薬工場「栄養サポート通信」を参考に作成

 

1週間以上の絶食の症例などに対し、GFO®を投与することで消化管粘膜の萎縮等を回避できる可能性があります。また、グルタミン、ファイバー、オリゴ糖を組み合わせることにより、消化管すべての粘膜に必要な栄養素を補給できます。

 

グルタミン、ファイバー、オリゴ糖のはたらき

1.G(グルタミン)

グルタミンは、非必須アミノ酸であると考えられていましたが、最近はストレスが強いときや飢餓状態下などでは、条件つき必須アミノ酸になることが多数の研究によって明らかにされています。グルタミンを補給すると、小腸では消化管粘膜の萎縮が抑制され、バリア機能が高まります。

 

2.F(ファイバー)

ファイバーは、糞便量を増加させ、小腸の通過時間を短期間にすることで、腸の機能を正常化させます。また、ファイバーが体内で作用することにより、バリア機能が維持され細菌の侵入を減少させます。つまり、ファイバーが嫌気性細菌の基質としてはたらくため、正常な腸内細菌叢を維持するのです。

 

3.O(オリゴ糖)

オリゴ糖は、天然の非消化性の糖で、ヒトの小腸のビフィズス菌によって選択的に利用され、大腸で発酵します。ビフィズス菌が好む基質で、急速に発酵することから、病原性細菌の過剰な増殖に適さず、かつ腐敗物質の生成を抑制する腸内環境をつくることができます。

 


[文献]

  • (1)日本静脈経腸栄養学会編:静脈経腸栄養ガイドラ イン 第3 版.照林社,東京,2013:15.
  • (2)大塚製薬工場「栄養サポートチーム通信」

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社

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