NPPVとNIVは違うの?|NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)とは

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「NPPV」に関するQ&Aです。

 

小山昌利
公立陶生病院臨床工学部主任

 

NPPVとNIVは違うの?

 

NPPVは、非侵襲的陽圧換気療法を指します。NIVは、NPPVと陰圧式人工呼吸療法の総称です。

 

〈目次〉

 

NPPVとNIV

NPPVとNIVは少し違うが、2006年の日本呼吸器学会のガイドラインでは、明確に区別をした場合を除き、NPPVという言葉を使用することになった。

 

NPPVとは

NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)は、人工気道を使用して行う侵襲的な換気方法(気管挿管・気管切開など)ではなく、マスクやマウスピースを使用して上気道から機械的に陽圧をかけ、換気を補助することである。

 

NPPVは、①呼吸努力(呼吸仕事量)を減少させること、②酸素化能を改善させること、③ガス交換を改善させることを目的に行われる。

 

NIPPVという用語もNPPVと同じ非侵襲的陽圧換気療法を意味する。

 

人工気道による人工呼吸器でマスク換気を行う際に選択されることが多いNIV(非侵襲的換気療法)モードも、NPPVと同様の非侵襲的な陽圧換気療法である。

 

陰圧式人工呼吸療法とは

NIVには、陰圧式人工呼吸療法も含まれる。

 

陰圧式人工呼吸は、気道内に空気を送り込む陽圧換気方法と異なり、頸部から上を除いた体全体(胸腹部)を陰圧にすることで受動的に空気を取り込み、換気を補助する換気方法である。

 

NIVとして有名なのが、ポリオの流行時に使用された「鉄の肺(Iron Lung/アイアンラング)」である。これは、気密タンク(間欠的に陰圧にすることができる)内に患者の頸部以下を入れ、タンク内を陰圧にすることで胸郭を広げて吸気を補助する機械であった。

 

現在、陰圧式人工呼吸器のなかで代表的な機器がRTXレスピレータである(図1)。RTXでは、胸腹部に装着したキュイラス(胸当て)で、内部へ機械より陰圧を加えて胸郭を広げることによって横隔膜を動かし、吸気を補助する。

 

図1陰圧式人工呼吸器

陰圧式人工呼吸器

陰圧式人工呼吸器

 

コラム「ガス交換って?」

ガス交換とは、吸気によって取り込んだ酸素と、呼気として排出する二酸化炭素を、肺胞表面上の毛細血管で交換することである。

 

図2肺胞でのガス交換

肺胞でのガス交換

 

肺胞でのガス交換を効率よく行うためには、肺局所における換気と血流のバランス(VドットA/Qドット比:換気血流比)が重要となる。

 

通常、肺全体でのVドットA/Qドット比は約0.8であるが、すべての部位で一定なわけではない(換気血流比不均等分布)。これは、VドットA/Qドット比が重力の影響を受けるためである。つまり、VドットA/Qドット比は、重力の影響を受けにくい上側(立位であれば肺尖部、仰臥位であれば腹側)で大きく、重力の影響を強く受ける下側(立位であれば肺底部、仰臥位であれば背側)で小さくなるのである。

 

自発呼吸では、この不均等な状態を横隔膜の動きによって是正することで肺コンプライアンスを一定に保っている。しかし、人工呼吸では、機械による陽圧換気が肺を膨張させるため、横隔膜の動きによる是正がなされない。人工呼吸中、背側に無気肺が生じやすい(下側肺障害)のは、このためである。

 

(コラム:道又元裕)

 

略語

 

  • NPPV(noninvasive positive pressure ventilation):非侵襲的陽圧換気療法
  • NIPPV(non-invasive positive pressure ventilation):非侵襲的陽圧換気療法
  • NIV(noninvasive intermittent ventilation):非侵襲的換気療法

 


[文献]

  • (1)Chevrolet JC, Jolliet P. Workload of Non-Invasive Ventilation in Acute Respiratory Failure. In: Vincent JL ed. Year book of intensive and emergency medicine 1977. Berlin: Springer-Verlag; 1997: 505-513.
  • (2)日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会 編:NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン. 南江堂,東京,2006.

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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