採血部位は前腕を多く用いるのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は採血の手順に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

採血部位は前腕を多く用いるのはなぜ?

 

肘窩の皮静脈は腕まくりをすれば簡単に露出でき、また比較的太い静脈で、表面の皮膚がやわらかく刺しやすいためです。

 

〈目次〉

採血しやすい静脈は

皮膚のすぐ下の皮下組織中を走る静脈を皮静脈とよびます。肘窩(前腕)の皮静脈は腕まくりをすれば簡単に露出でき、比較的太い静脈です。深在性の静脈のように動脈と並走していないため、安全に採血できます。しかも表面の皮膚がやわらかいため刺しやすく、また皮膚から透かして見えるため、静脈採血には最適とされています。

 

採血に用いられる静脈は

前腕屈側部には、橈側皮静脈前腕正中皮静脈尺側皮静脈が走っていますが、これらは肘窩で肘正中皮静脈により互いにくっつきあっています。この吻合形式には人によりかなりの相違がありますが、尺側皮静脈および肘正中皮静脈付近を正中神経が走行していることが多いため、採血部位としての第一選択は橈側皮静脈、ついで肘正中皮静脈尺側皮静脈となります(図1)。

 

また、手首の橈側付近の静脈は橈骨神経が走っているため避けましょう。

 

図1採血しやすい皮静脈

採血しやすい皮静脈

 

※編集部注※

当記事は、2018年5月12日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術 第2版』 (編著)江口正信/2024年5月刊行/ サイオ出版

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