2020/02/15 のクイズ

挑戦者9921人　正解率90%

救急外来を受診する患者さんの中には、緊急度の高い患者さんも含まれています。そのため、受付順に診察を待っていると急変することがあります。医師の診察前に看護師が緊急度を判断するのが「院内トリアージ」です。
院内での緊急度の判定には、緊急度判定支援システム（JTAS：Japan Triage and Acuity Scale）を用いることが多く、「蘇生」は直ちに蘇生処置が必要、「緊急」は10分以内に診察する、「準緊急」は30分以内に診察する、「低緊急」は1時間以内に診察する、「非緊急」は2時間以内に医師による診察を行う、とされています。

1.　4歳の男児。「おはじきを飲み込んだ」と外来受診。様子は普段と変わりない。

不正解

この男児の場合、様子が普段と変わりないとのことで、呼吸に異常があるとは考えられません。また、飲み込んだものがおはじきであり、有毒物質や鋭利な形状ではないことから、「非緊急」と考えられます。
異物誤飲を主訴に来院した場合には、「気道異物か否か？」と「何を飲んだのか？」によって緊急度が異なります。気道異物では、咳、喘鳴、チアノーゼの有無が問題になるので、まず呼吸異常の有無を観察します。呼吸が安定していれば、消化管へ入ったことを考え、次に有毒物質であるか鋭利な形状の物でないかを確かめます。これらが問題なければ、「非緊急」と判断できます。

2.　65歳の男性。2時間前から胸部不快と両肩から頚部にかけての痛みを訴えて外来受診。

正解

「緊急」と判断できます。両肩から頚部への痛みがある場合は、急性冠症候群や急性大動脈症候群などを念頭に置きます。
また、急性冠症候群では、胃、顎、歯、背中などへの放散痛を訴える場合があります（ただし、高齢者や糖尿病患者さんでは、痛みの訴えがない場合もあります）。急性大動脈症候群では、胸部や背部に激痛が起こり、解離の進展に伴い激痛が移動します。四肢末梢の動脈拍動の強弱と血圧値に差がないか確認しましょう。
なお、急性冠症候群や急性大動脈症候群を疑った場合は、すぐに医師に報告して12誘導心電図検査、末梢静脈路確保、酸素投与を迅速に行います。これらはショックに至る場合があるので、ショックの5兆候（脈拍触知不能、蒼白、虚脱、冷汗、呼吸不全）を見逃さないようにしましょう。

3.　16歳の女性。テニスで左足をひねり、外来受診。左足関節腫脹あり。痛みで歩けず泣いている。

不正解

「低緊急」と判断できます。テニスで左足をひねったということで、すぐに命に関わる症状ではありません。ただし、末梢の知覚、循環、運動障害が発生していないかの観察はしましょう。命にかかわらないとしても、患者が痛みを訴え、不安な様子がうかがえるのであれば、配慮が必要です。待っている間は、臥床して左下腿に枕などを置いて挙上しましょう。また、患部は氷枕などで冷却して疼痛の緩和に努めましょう。

4.　20歳の男性。歩行中によそ見をしていて鼻から電柱にぶつかり、鼻血が止まらず外来受診。現在は止血できているが、鼻の変形がある。

不正解

「低緊急」と判断できます。電柱に鼻からぶつかったということで、鼻血が出ていたものの、現在は止血ができているとのことなので、緊急性はありません。鼻の変形は鼻骨骨折を疑いますが、いずれにせよ緊急性が高いとはいえません。
なお、鼻血は現在止まっていますが、もし、鼻血が続いている場合は、頭蓋底骨折や頭部、頚損傷の可能性も念頭に置く必要があります。