消化器系（96問）　状況設定問題

第101回午後95問

次の文を読み問題2に答えよ。
Aさん（52歳、男性）は、2か月で体重が7kg減少した。2か月前から食事のつかえ感があるため受診した。検査の結果、胸部食道癌と診断され、手術目的で入院した。

問題2
右開胸開腹胸部食道全摘術と胃を用いた食道再建術とが行われた。術後、人工呼吸器が装着され、術後2日目の朝に気管チューブを抜管し、順調に経過していたが、術後3日目に左下葉の無気肺となった。Aさんは痰を喀出する際に痛そうな表情をするが「痛み止めはなるべく使いたくない。我慢できるから大丈夫」と話す。

無気肺を改善するために適切なのはどれか。2つ選べ。

1.　離床を促す。
2.　胸式呼吸を勧める。
3.　左側臥位を勧める。
4.　鎮痛薬の使用を勧める。
5.　胸腔ドレーンをクランプする。

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解答・解説

1.　離床を促す。: 離床をすることで横隔膜が下がり呼吸がしやすくなり、排痰もしやすくなる。
2.　胸式呼吸を勧める。: 右開胸開腹胸部食道全摘術を行っていることから、創部のある胸式呼吸は痛みが伴うため勧められない。
3.　左側臥位を勧める。: 左下葉に無気肺があることから、左側臥位をとると肺に空気が入りにくくなるため、左側臥位は勧められない。
4.　鎮痛薬の使用を勧める。: 患者は「痛み止めはなるべく使いたくない」と話しているが、痰を喀出する際に痛そうな表情をするとあるため、痰の喀出が難しい状況である。無気肺を改善するためには痰を喀出しやすくする必要があることを説明し、そのために痛み止めの使用を勧めることは適切である。
5.　胸腔ドレーンをクランプする。: 無気肺を改善するために、胸腔ドレーンをクランプしても意味はない。

無気肺を改善する方法は、深呼吸、排痰がしやすい状態にすることである。例えば、痛みからこれらができないのであれば鎮痛薬によって痛みを取る必要があり、離床をすることで横隔膜が下がり、呼吸がしやすくなり、排痰もしやすくなる。また、スクイージングなどの肺理学療法を行うことも効果がある。