看護観に関する質問は、「看護で大切にしていることは?」「いままで印象に残ったことは?」という聞き方をされることもあります。

ここでは、面接での看護観の答え方と例文、組み立て方を解説します。

目次

面接で聞かれる看護観の例文&答え方のポイント

看護観の例文

二次救急→三次救急に転職する場合

1私は、二次救急の脳外科病棟で3年間勤務しておりました。

治療が優先になる超急性期の場面でも、患者様とご家族の気持ちに常に寄り添うことを大切にしております。

2脳外科病棟に入院する方は突然の発症で重症度が高いことが多く、治療が最優先されます。

しかし、それゆえに患者様とご家族の気持ちが置いていかれてしまうこともあります。

突然でどうしたら良いのか分からない不安があるため、どのような治療をしているのかをタイムリーに説明する必要があると感じています。

そのためには、専門的な知識と看護技術がなければいけないと考え、普段から積極的に勉強会やセミナーに参加して自己研鑽をして参りました。

3今後は、急性・重症患者看護の専門看護師資格を取得したいと考えており、貴院でさらに専門性を高め、常に患者様とご家族に寄り添う看護の提供をしていきたいと思っております。

(365文字 1分10秒程度)

看護観は「結論・エピソード・締め」の3段構成で答える

看護観を伝えるときは…【結論を述べる】→【簡潔なエピソードを入れる】→【意欲的な姿勢・言葉で締める】

1はじめに「結論」を一言で述べる

看護観を聞かれたら、まずは結論として「自分が何を大切にして看護をしているか」を述べます。

看護観は具体的に、

  • 患者の気持ちに寄り添う看護
  • 信頼関係を築き患者に安心を与える看護
  • 安全、安楽な看護
  • 個別性(その人らしさ、身体的特徴など)を重視した看護
  • 患者のQOLを高める看護
  • 患者の自然治癒力を高める看護
  • 患者をとりまく家族も含めた看護

などを結論として述べられるとよいでしょう。

キャリアアドバイザー

面接で答えるときの看護観は、志望先の病院に求められる看護観を選びましょう。

志望先の病院の理念や方針に合った看護観が述べられると、グッと好印象になります。

2簡潔にエピソードを述べる

つぎに、1の看護観にまつわるエピソードを具体的に述べましょう。この時大切なのは、「簡潔さ」

自分の看護観を伝えたいあまりに一文が長くなり過ぎたりたくさんの話を盛り込んだりすると、何を伝えたいのかが採用担当者に伝わりません

3意欲的に仕事に取り組む姿勢を伝えて締める

看護観を答えるときの締めでは、「自分のもつ看護観を生かして自己研鑽しながら長期的・意欲的に働きたい」という意思と姿勢を示すことが大切です。

キャリアアドバイザー

面接で看護観を聞くときに採用担当者が注目しているのは、

  • 知識・技術を常に磨きながら患者にとってよい看護を提供してくれるか
  • 長く病院で働いてくれるのか

ということ。

この2つをおさえて、簡潔に伝えられることが大切です。

【例文集】面接で答える看護観

回復期リハビリテーション病院に転職

<4年目|前職:急性期病院 整形外科>

1私は、急性期の整形外科病院で3年間勤務しておりました。

青年期~老年期までの方が入院されており、年齢に合わせた看護が重要だと感じています。

2たとえば、若い男性の方だと本来は安静にしておかなければならないにもかかわらず、「動ける」と過信してしまうことがあるため、入院時から起こりうる事故とリスクについて本人に伝えていました。

一方、高齢者の場合は看護師に遠慮してしまいナースコールを押せないということもあるので、「困ったらいつでも呼んでください」といった声がけや転倒のリスクを患者さんが納得してくれるまで説明していました。

そうすることで、安全に入院生活を過ごすことができ、精神的にも安心して過ごす環境の提供ができたと思います。

3これからも、その人その人に合わせた看護を実践することで、安全・安楽な入院生活をサポートし、患者様を支えていきたいと思います。

(371字 1分20秒程度)

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訪問看護ステーションに転職

<9年目|前職:急性期・回復期病院>

1急性期病棟で5年、回復期病棟で3年働きました。

いずれもやりがいを感じてきましたが、だんだんと患者様個々の「その人らしさ」を大切にした看護に取り組みたいと考えるようになりました。

2食事制限があるのに隠れて甘い物を食べてしまう方、リハビリに積極的になれない方など、さまざまな患者様がいらっしゃいますが、「退院」をゴールに看護を提供する病院では、お一人お一人に合わせた対応は難しい側面がありました。

ですが以前、患者様の退院後の訪問に同行する機会があり、食事制限が守れないことを必ずしも注意するのではなく、まずは「その方の思いや暮らしにとって何が大切か」を軸に看護を提供されている在宅の現場を目の当たりにし、胸をつかれる思いでした。

3これまでの病棟経験を生かしながら私自身の看護の幅を広げ、思いや暮らしを尊重した看護で利用者様・ご家族を支えていきたいと思います。

(375文字 1分20秒程度)

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高齢者施設に転職

<4年目|前職:慢性期療養型病院 内科>

1私は4年間、慢性期の療養型病院の内科で勤務しております。

その中で、患者様のQOLを高める看護を実践するため、患者様ご本人の意思を尊重することを心がけてまいりました。

2経管栄養中の患者様の「口からご飯を食べたい」という希望を叶えるためにSTと連携して日々の嚥下訓練を支援し、経口摂取ができたことがありました。そのときのことはとても印象に残っています。食後に一言「美味しかった」という言葉をいただけただけで、看護師としての大きなやりがいを感じました。

3これからは、入居者様の意思を尊重することで意欲を引き出し、QOLの高い暮らしを支える看護を提供していきたいと考えています。

(285文字 1分程度)

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小児クリニックに転職


<育児のためブランクあり|前職:急性期病院3年・内科外来1年>

1卒後3年ほどは急性期病棟で働いていましたが、出産を機に異動となった内科外来で、生活者としての患者様をより意識するようになり、生活を支える看護を第一に考えるようになりました。

2たとえば服薬一つとっても、病棟では看護師の責任で管理し、何かあればすぐに対応することもできますが、外来患者様では服薬時にそばにいることはできません。

飲み忘れたり、服用後に気分が悪くなったりしたときのことを考え、患者様やご家族にきちんと説明することの大切さを痛感しました。

3子育てに専念するためにしばらく現場を離れておりましたが、復職するにあたって、どういう看護をしたいかを考えたときに、生活者としての患者様とご家族を支える看護をさらに高めていきたいと考えました。

看護師としての経験だけでなく、子育ての経験も生かし、貴院で患者様やご家族に安心感を抱いていただく看護に力を尽くしていきたいと思っています。

(385文字 1分40秒程度)

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「面接で伝える看護観」を組み立てる3ステップ

【面接で伝える看護観】=【看護部の理念・特徴・方針】×【自分が大切にしている看護の姿勢】

看護観がパッと浮かばない看護師さんのために、看護観の組み立て方をご紹介します。

看護観を聞かれたときは、次の転職先に合わせて、今ある自分の看護観がどう活かせるのかを伝える必要があります。

志望先の看護部の理念・方針をチェック

志望先の病院の看護部ホームページやパンフレットを見てみると、「看護部が大切にしている看護観」が掲載されていることがほとんどです。

看護観を組み立てるときのヒントになるので、活用しましょう。

もちろん、志望先の理念や方針にすべてを合わせて看護観を答える必要はありません。

ですが、「この人なら今までの経験を活かしてうちの病院でも活躍してくれそう」と思ってもらうのも大切なため、自分の看護観とマッチするものはないか、チェックしてみるとよいでしょう。

「看護師として大切にしていることは?」考えてみる

自分が看護師として大切にしていることをノートに書き出しているイラスト

改めて「自分が看護をする上で大切にしていること」を考えて書き出してみましょう。

「寄り添い」「正確さ」といった簡単な単語をいくつか書き出し、少しずつ文章にしてみるのがおすすめ。

最初から形にはめなくても大丈夫です。

看護部の理念と自分の看護観をすり合わせ

書き出した「大切にしている看護」から、エピソードを交えて話せそうなことを1~2個ピックアップします。

このとき大切なのは、志望先の看護部の理念に近そうなものを選ぶこと。そうすることで、採用担当者に好印象を抱いてもらえる看護観に近づきます。

あとは1章を参考に、「自分のもつ看護観を生かして自己研鑽しながら長期的・意欲的に働きたい」という意気込みを盛り込んで文章を組み立てれば、看護観は完成です。

キャリアアドバイザー

面接で看護観を聞かれたときに、「根拠ある知識や技術と、患者に寄り添う気持ちを併せ持った人材」ということを採用担当者に伝えるためには、

「知識・技術を磨き、患者によい看護を提供する姿勢」をバランス良く盛り込む必要があります。

知識や技術だけに偏ることや、思いやりが先行しているような偏りは、実はよい印象につながらないこともあるので、注意しましょう。

看護師の転職ガイド 転職活動がぐっと楽になる便利なガイド