覆された私の看護概念~牧丘~|へき地・離島ナースリレーコラム【11】

へき地・離島で働く看護師リレーコラム。11回目は、山梨県の牧丘で働くMichiさん。終末医療の概念が変わったある日の出来事についてお話いただきました!

 

◆Michiさんのコラム1回目はこちら

バスは1日5本。山梨県・牧丘ナース

院長が体位変換する病院~牧丘~

 

(寄稿協力:特定非営利活動法人ジャパンハート)

 

「人」を知らなければできない判断

前回、牧丘での患者さんとの関わり方について書きました。医療者と患者さんというだけでなく、「人と人」としての関係を築いているのですが、それを最初に実感したのは、配属から数週間経ったある日でした。

 

その日、朝食を配りに行くと、頻呼吸になり顔色が悪く苦しがっている患者さんを発見したのです。

 

酸素の流量を上げたり点滴を確保したり、即座に処置を開始。病状的にも年齢的にもDNARとなるだろうと思っていましたが、担当医師が息子さんと話した結果、挿管することになりました。人工呼吸器につながれたその患者さんは、その日の夕方にお亡くなりになりました。

 

挿管の経緯は、後日往診に向かう医師の車の中で知ることになります。

 

その患者さんは先生が長年往診していた方でした。患者さんは夫と一人息子の3人暮らし。息子さんは小さな頃から病を抱え、患者さんは働きながら息子さんの闘病を支えてきました。患者さんにとって息子さんは生きがいで、息子さんにとって患者さんは母親であるとともにつらい時期を一緒に乗り越えたかけがえのない存在だったのです。

 

そんな息子さんが短時間で状況を受け入れるのは難しいだろう。

母親が頑張って生きている姿を少しの間でも目に焼き付けてもらいたい。

息子さんにとって強い母親のままで最期を迎えさせてあげたい。

そんな思いからの処置だったそうです。

 

膀胱留置カテーテルが入った患者さん。尿バッグが恥ずかしいという患者さんのために、女医先生とスタッフが手作りした入れ物

 

人生を一緒に生きていく医療

納得というよりも衝撃が走り、胸に熱いものがこみ上げてきました。医師と患者としてだけではなく、人と人として向き合い、太く強い関係の中でさまざまな経過をともに過ごしてきたからこその決断だったと思います。そして訪問診療に携わるということは、人の人生を一緒に生きるということだと深く感じました。

 

私の中で「人工呼吸器=延命治療」という概念がいい意味で覆されました。永遠の別れを受け入れる時間のための、1つの手段でもある。すばらしい知識が1つ増えた出来事です。

薬剤では取りきれない不快な症状、入院や治療によるストレスを少しでも緩和するためのアロマ勉強会の様子

 

牧丘病院では自分で口のケアができない患者さんのために、定期的に歯科衛生士が来て、口の掃除や口腔内をマッサージします

 

次回は、長崎県の上五島で働く“あさみ”さんにお話いただきます。お楽しみに!

 

■寄稿協力

特定非営利活動法人 ジャパンハート

2004年に代表の吉岡秀人医師が設立した国際医療ボランティア団体。今回紹介したへき地離島への医療研修は国際看護長期研修の一つで、ミャンマーでの医療研修も含め1年間のプログラムとなっている。ほかにもカンボジア、ラオスでの医療支援や医療者育成支援など、さまざまな支援活動を行っている。医療者が参加できる活動として、子どもや貧しい人々のために巡回診療や手術を行う、3日~7日程度の休暇で参加が可能な国際医療短期ボランティアなどがある。

 

ジャパンハート公式サイト

国際看護長期研修専用サイト

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