スタンダードプリコーション | いまさら聞けない!ナースの常識【17】

毎日の業務の中で触れているけど、『いまさら聞けない』ことってありませんか?

知ってるつもりで実は説明できない基礎知識や、ちょっと気になるけど調べるほどでもないな、なんてこと。

そんな看護師の素朴な疑問を、元看護師ライターがこっそり教えます。

 


Vol.17 スタンダードプリコーション

最近では当たり前のようににする【スタンダードプリコーション】。

これは、1996年にアメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が発行した隔離予防策ガイドラインにより提唱された「感染症の有無にかかわらずすべての患者に適用する疾患非特異的な予防策」のことをいう。

では具体的には何?と聞かれて、正確に答えられるだろうか。

 

スタンダードプリコーション(標準予防策)の意味

院内における感染予防策には2つある。

 

まず1つ目は、スクリーニング検査をして感染症が明らかとなった患者への対応であり、こちらは「ユニバーサルプリコーション」という。

 2つ目は「スタンダードプリコーション」。これは、スクリーニング検査により明らかとなる感染症の有無に関わらず、未知の感染症に対しても予防策を講じるという考え方である。

すなわち、全ての患者の血液・汗を除く体液(唾液,胸水,腹水,心嚢液,脊髄液等すべての体液)のみならず、分泌物・排泄物・傷のある皮膚・粘膜などをすべて感染源とみなし、予防策を講じることをいう。

 

感染の連鎖を断ち切るということ

 

看護師の立場で感染予防策を考えるときには、感染が起こる要素として

 

①病原体②病原体を保有する宿主③病原体の出口(元の宿主)④感受性を持つ宿主⑤病原体の入口(新たな宿主)⑥感染経路

 

の6つの要素の連鎖を考えると、業務上どうすれば良いかが分かりやすいのではないだろうか。

 

一般的な「感染が起こる要素」はもう少し大雑把。感染源・感染経路・感染を受けやすい宿主(感受性宿主)の3つの要素があるとされ、感染予防のためには、A.感染源の除去B.感染経路の遮断C.感受性宿主への対応、があげられていることが多い。

いずれにしても重要なのは①病原体④感受性を持つ宿主⑥感染経路という要素であり、中でも感染経路の遮断がもっとも有効な感染予防策といえる。

 看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | いまさら聞けない!ナースの常識17_スタンダードプリコーション

図1 感染 6つの要素の連鎖

 

再度確認!具体策とその意味

スタンダードプリコーションの具体策としては、

 

1.一患者、一処置ごとの手洗いの励行

2.患者の体液に触れる可能性がある場合は、手袋・マスク・ゴーグル、必要に応じてフェイスシールドや防水ガウンなどを着用する

3.鋭利な器材などは適切に取り扱う

4.使用したリネンや器材を適切に処理する

5.環境の整備

6.必要な場合は患者の隔離  

 

などがあるだろう。

 

1.一患者一処置ごとの手洗い

現在明らかな感染症が無い場合でも、未知の感染症への対策として他の患者への感染経路を断つ意味で有効であり、同じ患者でも他の部位への交差感染を予防するためには必要だ。

 

2.患者の体液に触れる可能性がある場合は、手袋・マスク・ゴーグル、必要に応じてフェイスシールドや防水ガウンなどを着用する

これも同様に、患者から看護師(医療者)への感染経路を断つ効果がある。眼の涙腺からの感染で劇症肝炎を起こすという事故もあるくらい、医療者側のほんの小さな入口からも感染は起こり得るのだ。

 

3.鋭利な器材などは適切に取り扱う

これはいわゆる針刺し事故やメスなどの鋭利な刃物での負傷による感染を防ぐために必要。スタンダードプリコーションの中には、リキャップの禁止も含まれている。

 

4.使用したリネンや器材を適切に処理する

リネンや使用器材の適切な廃棄や消毒・滅菌のこと。

患者の血液や体液・排泄物などで汚染されたリネンが、自分の皮膚や衣類、あるいは他の患者に付着することで感染するのを防ぐための具体策だ。汚染されたリネンは水溶性のランドリーバックなどに密封して80℃以上の温水で10分以上洗浄する必要がある。

しかし手間や人件費、リネン類の消耗などを考慮してか、最近ではディスポーザブルに置き換わってきている。

器材についても一部のものは使用後に適切な洗浄・消毒・滅菌処理がなされるが、可能な限りディスポーザブルを使用しているところが多いだろう。

 

5.環境の整備

病室・洗面所・トイレ・浴室・処置室・汚物処理室などの清掃だけではなく、清掃しやすいように整頓すること、患者のベッドサイドで使用する機器やコード類も常に整理し使用後は清掃することを意味する。

また床は汚染環境として捉え、清潔な物品等は床から20㎝以上高い場所へ置く、床や壁に触れた手で患者の処置を行わない、なども具体策となる。

 

6.必要な場合は患者の隔離

明らかな感染症は無いが感染防止に対して協力が望めない患者への対応として考えられる。

例えば認知症により排泄がコントロールできず、排泄物で部屋全体を汚染してしまう場合などは、他の患者への感染予防の意味で個室を考慮しても良い。

 

 

一昔前であればスクリーニングで明らかな感染症がみつからなければ、非感染として扱っていたかもしれない。しかし現在では未知の感染症に対する防御策が一般的になってきている。

マニュアル上で決まっているからではなく、なぜこの対策が必要なのか、感染予防としてどの要素に関わっているか、ちょっと考えてみると必要性が分かるだろう。

 

【岡部美由紀】

(関連記事)

スタンダードプリコーション(Standard Precaution)の重要性(『BRAIN』2013年第2号<脳神経外科でよくみる感染症の予防と管理>より)

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