ナースのお悩み処方箋【16】「大したことない」患者さん

「病気になること、それはその人にとっての一大イベント。 たとえそれが、どんなに小さな病気でもね」

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ナースという職業上、健康な人に接するよりは、どこかが不自由だったり、何らかの疾患を得ていたりする人に接することが多いと思います。

なので、つい、世の中には入院経験のない人が意外と多いということを忘れがちになってしまいます。

 

時々、風邪を引くくらいで、自身が健康であることを疑わなかった人にとって、入院するということは、とっても大きなイベントなんですね。

その人にとっては青天の霹靂、今まで自分のいた世界・自分が見ていた風景が当たり前ではなくなってしまうほどのショックな出来事。

 

「そんな大袈裟な、ただの××でしょう?

 2週間も入院すりゃ全快するじゃないですか」

 

新人から少し脱却したくらいの時、何の気なしにした詰所での雑談で、私はそう言いました。

そして、タイトルのようなコトバを、呆れ顔の主任から言われたのです。

 

私たちは入院患者さんを相手にするプロですから、その患者さんの重篤度がどれくらいなのかわかります。

私たちにとっては、いわゆる『大したことのない疾患・状態』でも、その人にとっては今までの人生の中で『大したこと』なんです。

 

経験のないことだから、不安になってしまうんですね。

不安を口に出せる人はまだ良いのですが、表に出さない人もいます。

もし私たち看護師が「大したことじゃないでしょ」という意識を持っていたら、患者さんとの信頼関係を気付くことは不可能です。

 

一緒にショックを受けた風を装う必要はありませんが、大なり小なり、患者さんはショックを受けている、ということだけ、頭の片隅において観察してあげてください。

 

――ま、患者さんもしばらくすれば、入院生活や自分が病気であることに慣れてしまうので、それまでの短い間だけなんですけどね。

 

 


 【岡田久美】 兵庫県出身。看護書籍の編集とゲームシナリオライターを本業に、フリーの看護師として活躍中。いつでもどこでもどんなところでも勤務できるオールマイティな看護師を目指し、これまでの勤務職場は病院、クリニックなど30以上。

著書に「看護師の流した涙」(ぶんか社)がある。

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