モンスターペイシェントへの対応策とは?警察官OB採用で職員を守る弘前大病院

「診察室で大声を上げる」「診療に納得いかないと言い、診察室から出ない」など、患者やその家族による、医師や職員への暴言や暴力が年々増加しています。

弘前大病院ではその対応策として、保安対策要員に警察官のOBを採用したことを発表しました。

 

「モンスターペイシェント」に対して、組織として・医療職員としてできることは何があるのでしょうか。

 

【目次】

 

弘前大病院の事例―「保安対策要員」として警察官OBを採用

弘前大病院、警察OBを採用 患者や家族の暴言・暴力対策で(朝日新聞)

 

弘前大学医学部付属病院が採用したのは、60代の警察官OB1名。その役割は、平日に院内を巡回し、トラブルが発生次第、現場対応し、同時に職員への助言も行うというものです。

 

同病院では、患者が大声をあげる、診療に不満を訴え診療室を出ない、駐車場をもっと大きくしろとの過度な要求などが、年々増加傾向にあるといいます。これにより、他の患者さんに影響が及んだり、トラブルに長時間対応しなければならないことで業務が停滞したりするなど、診療にまで支障をきたしていました。また、対応に当たる職員の精神的苦痛も大きくなっていました。

 

そこで同病院では、トラブル対処のノウハウや法律の知識を持った警察官のOBを採用し、患者の療養環境と職員の安全・安心を確保するための措置が取られました。

 

院内暴言・暴力を受けた病院職員は半数以上

患者やその家族による、院内での身体的、精神的暴力やセクハラなどの被害を受けている全国の病院職員は、2008年時点のデータで、52.1%にものぼります。

また、その暴力の中身は、身体的暴力よりも精神的暴力のほうが上回っている傾向にあります。

(※全日本病院協会「院内暴力など院内リスク管理リスク管理体制機関実態調査」2008年より)

 

患者やその家族による、院内での身体的、精神的暴力やセクハラなどの被害を受けている全国の病院職員―全日本病院協会「院内暴力など院内リスク管理リスク管理体制機関実態調査」2008年

 

一方で、院内暴力の被害を把握するための体制を取っている施設は少ないというのも現状です。

 

既出の調査では、報告制度を整備している病院は約4割にとどまり、院内暴力の発生件数のうち、警察への届け出たのはわずか5.8%という結果も出ています。

 

院内暴力の発生件数のうち、警察への届け出たのはわずか5.8%―全日本病院協会「院内暴力など院内リスク管理リスク管理体制機関実態調査」2008年

 

患者の暴言・暴力への対応策【組織】【職員】

各病院で発生している患者による暴言や暴力への組織的な対応策は、まだまだ不十分だといわれています。対応・改善策としては、保安対策要員を置くことをはじめとして、次のような方法が考えられます。

 

【組織として】

  • ・病院内の巡視
  • ・医療安全室やクレーム対応を担当する部署の設置
  • ・病院職員へのアンケート調査による実態把握
  • ・病院として暴言・暴力への方針を明確に打ち出す(ポスターなどの掲出)
  • ・患者からの意見を集めるご意見箱の設置
  • ・改善のための職員によるディスカッション、ロールプレイ研修
  • ・待合室における、プライバシーを侵害しない範囲内での防犯カメラの設置

 

院内の雰囲気の改善や、患者からの要望に耳を貸すなど、クレームが起きない環境づくりも、安心・安全な医療機関としては重要になってくるでしょう。

 

【職員として】

  • ・相手が怒鳴っていても怒っているとは限らない。いかなるときも冷静にペースを崩さず「しばらくお待ちください」「確認してまいりますので、少々お時間をいただけますか」と落ち着いて対応する
  • ・バカにしたり、人格を否定したりという相手の挑発に乗らず会話は最小限にとどめる
  •  
  • ・防犯カメラや録音機器のある場所、他の職員がいる場所などに誘導し、第三者に目撃されるようにし、証拠を残す
  • ・一人で対応しようとせず、他職員にも協力を仰ぐ
  • ・暴言には「人」「場所」「時間」の3つを変えることがポイント。10分対応したら他部門に任せるなど
  • ・暴力には逃げ道を確保し、毅然とした態度を崩さない。場合によっては法的措置をとる

 

 

(参考)

院内保安対策員(警察官OB)の配置について(弘前大学附属病院)

「院内暴力など院内リスク管理リスク管理体制機関実態調査」2008年(全日本病院協会)

院内で発生する職員への暴力被害への対応策(e-らぽーる)

患者さんからの暴言・暴力対策~安全で安心な医療機関を目指して~(ナーシングプラザ)

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