被災3県の3割で看護師が減少―震災から4年、医療体制の復興は
3月11日で東日本大震災から丸4年が経過します。
被災地では、3割の病院で看護師数が震災前より減少していて、半数以上の施設が未だに看護師不足に悩んでいるなど、医療体制の復興はまだまだ道半ばです。
被災3県全体では700人以上の看護師が足りないとの推計も出されました。
被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の沿岸部に所在する医療施設を対象に日本看護協会が行った調査をまとめます。
震災の影響で看護師が離職した医療施設は4割も

(出典)日本看護協会
「震災の影響で退職した看護職員がいる」施設は全体の40%。県別では福島県が最も影響が大きく53.8%の施設で1人以上の看護師が震災を理由に退職していました。同様に宮城県でも30.6%、岩手県では28.9%の病院が、震災によって離職した職員がいると回答しています。
震災の影響で2011年度内に退職した看護職員の総数は468人で、被災3県の看護職員総数からみて3.3%を占めています。
震災前後で比べると、被災地全体では看護師の総数は2.5%(349人)増加していたものの、29.6%の施設では減少しています。また看護職員の増減には地域によって大きく差があることも分かりました。
原発の影響が大きい地域では4割が看護師減少

(出典)日本看護協会
宮城県のように震災前より看護師数が3%程度プラスになっている県もあれば、反対に岩手県では3%のマイナスです。
福島県では県内の地域差が大きく、全体ではプラスに転じているものの相双地区やいわき地区など原発の影響が大きい地域では4割の施設がマイナスの状況。時間の経過とともに看護師の確保に地域差が出ていることがわかりました。
7割以上の病院が現在も看護師不足に
2014年6月現在で看護職員の採用を必要としている施設は50.8%と半数を占めていました。
診療所よりも病院と介護保険施設で不足感が強く、病院に限ってみれば77%で看護師が足りていないとしていました。3県合計では、あわせて727人の看護師が必要と試算が出るなど被災地における看護師不足が未だに深刻であることがうかがえます。
復興の長期化に伴って地域の人々の健康問題も複雑・多様化しています。
地域住民の健康を支えるには、柱となる医師や看護師の確保が欠かせません。一方で患者に十分なケアを提供するには、被災地の看護師自身が心身ともに健康であることが大前提です。
こうした取り組みは個々の医療機関だけでは限界があるため、国と地方行政、看護協会などが一体となった被災地支援の継続が望まれています。
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