准看護師学校の入学者が10年間で6割減、どうなる制度の存続|看護roo!ニュース

2025年版、准看護師学校の入学者数推移グラフ。2015年は10,199人,2016年は9,669人,2017年は9,143人,2018年は8,517人,2019年は7,658人,2020年は7,073人,2021年は6,827人,2022年は6,021人,2023年は5,085人,2024年は4,207人。10年間で約6割減。出典:厚生労働省「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」

 

准看護師制度は、「存続か、廃止か」の議論が長く続き、その動向が注目されてきました。

 

そのような中で、准看護師学校の入学者数は10年で約1万人減少し、2024年度は約4000人となりました。

 

近年、減少スピードはますます加速しており、2015年度と比べると、約6割減となります。

 

制度の存続について注目が集まる准看護師の養成状況を詳しく見てみましょう。

 

 

准看護師学校の入学者、4207人

2024年度の准看護師学校の入学者は4207人で、前年度から878人減少しました。

 

入学時の学歴は、高校卒が2802人で最も多く、入学者全体の約67%を占めています。

 

2番目に多い中学卒は831人、大卒が344人と続きます。

 

入学者4207人のうち、男子学生は全体の2割を占める855人でした。

 

2025年版、准看護師学校入学者のデータ。入学者総数は4207人,前年度比878人減。出身学歴は高校卒66.7%,中学卒19.7%,大学卒8.1%,短大卒5.2%,その他0.02%。5人に1人は男子学生。出典:厚生労働省「2024年度看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」

 

准看護師学校は182校で、10年間で56校減

2015年度に234校あった准看護師学校養成所数は、2024年度には182校となりました。

 

都道府県別に見てみると、一番学校数が多い埼玉には18校、次ぐ福岡には15校があります。

 

一方で、秋田、山形、新潟、福井、岡山、沖縄は0校で、学校の数には地域差があることが分かります。

 

国家資格である看護師に対し、准看護師が都道府県知事認可の資格であることが影響していそうです。

 

2025年版、都道府県別 准看護師学校数。北海道4,青森6,岩手2,宮城4,秋田0,山形4,福島7,茨城4,栃木5,群馬7,埼玉18,千葉4,東京7,神奈川1,新潟0,富山2,石川2,福井0,山梨1,長野3,岐阜8,静岡1,愛知3,三重1,滋賀2,京都1,大阪8,兵庫2,奈良2,和歌山1,鳥取1,島根2,岡山0,広島5,山口8,徳島3,香川9,愛媛2,高知1,福岡15,佐賀6,長崎3,熊本7,大分6,宮崎4,鹿児島4,沖縄0。出典:厚生労働省「2024年度看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」

 

卒業の進路は6割が就業、3割は進学

では、准看護師学校の卒業後は、どのような進路を選択するのでしょうか。

 

2023年度の卒業生は6割が准看護師として就業し、そのうち7割が病院、1割強が診療所を選んでいます。

 

また、卒業生の3割は看護師資格の取得などを目指して進学をしています。

 

2025年版、准看護師学校の卒業生の進路のグラフ。卒業者総数4921人。准看護師として就業62.4%、進学29.7%、准看護師以外に就業1.4%、その他6.5%。准看護師として就業した人の7割が病院、1割強が診療所に就業。出典:厚生労働省「2024年度看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」

 

准看護師は10年間で10万人減少

2年おきに更新される厚労省の「衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、2012年に35万7777人いた准看護師は、2022年時点で25万4329人と10年間で10万人減少しました。

 

2022年時点では看護師は約131万人のため、看護職の2割弱が准看護師となります。

 

20年前は4割弱を准看護師が占めており、養成数が減っていることを踏まえても、今後も准看護師はだんだんと少なくなっていくと考えられます

 

2025版、准看護師の就業者の推移のグラフ。2012年は357777人、2014年は340153人、2016年は323111人、2018年は304479人、2020年は284589人、2022年は254329人。10年間で10万人准看護師が減少。出典:厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」

 

准看護師の求人数は看護師の6%

日本看護協会が制作した最新の統計によると、2023年度の准看護師の求人数は計9790件でした。

 

同年度の看護師の求人数が約16万件あったのに比べると、准看護師の求人数はわずか6%ということになります。

 

看護師と准看護師では、そもそも求人件数に大きな違いがあるようです。

 

 

 

 

准看護師制度は廃止になるのか

准看護師の資格は、戦後の病院増加に伴う看護師需要の高まりを機に誕生しました。

 

ただ、日本看護協会は「医療の高度化、複雑化への対応などのためには資格の統一が必要」とし、准看護師養成の停止に一貫して取り組み続けています。

 

このまま養成数減少の流れが加速すれば、将来的に准看護師資格を持つ看護職員はほとんどいなくなるのかもしれません。

 

一方で、人手不足が慢性化している医療現場、特に地域医療においては短期間で現場に出られる准看護師の貢献は大きく、日本医師会は准看護師資格の存続を主張しています。

 

准看護師は、働きながらでも資格が取得できるという資格取得の”ハードル”の低さから、成り手側からの需要もあるとみられます。

 

准看護師資格をめぐる議論がどのような終着点にたどり着くのかまだ見通せませんが、加速する高齢化に伴い今後一層、看護職は人手が求められていくことは明らかです。今後の動向が注目されます。

 

看護roo!編集部 北井寛人

 

 

(参考)

厚生労働省「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」(2015~2024年度)
厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)
日本看護協会ホームページ「准看護師制度の概要、現状に関する資料」(2025年5月12日更新)

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