最終更新日 2023/09/26

mRNA

mRNAとは・・・

mRNA(えむあーるえぬえー、messenger RNA)とは、細胞の核内でDNAをコピーしたもので、mRNAを基に、タンパク質が作られる。伝令RNA、メッセンジャーRNAとも呼ぶ。

 

【どういう働きをするか?】
mRNAは、細胞の核内にてDNAが持つ遺伝情報のうち、個々のタンパク質を合成するために必要な塩基配列を写し取った物質である(写し取る過程を転写という)。

タンパク質を合成するためにはアミノ酸が必要であり、アミノ酸を運搬するtRNA(transfer RNA)がmRNAの塩基配列を認識し、アミノ酸配列に変換することによってタンパク質が合成される(アミノ酸配列に変換する過程を翻訳という)。なお、翻訳は細胞質にあるリボソームで行われる。

 

【どういう構造か?】
mRNAはtRNAなどと同様に塩基、リボース(5炭糖)とリン酸が組み合わさってできている。RNAの塩基は4種類あり、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、ウラシル(U)となっている。

 

mRNAはDNAの塩基配列を写し取ったものではあるが、DNAとの構造の違いは次の3点が挙げられる。
・ DNAの塩基配列はRNAと同じく4種類であるが、ウラシル(U)の代わりにチミン(T)となっている。
・DNAは二重らせん構造を持つ2本鎖である一方、RNAは1本鎖である。
・DNAの5炭糖はデオキシリボースである。

 

表1DNAとRNAの相違

DNAとRNAの相違

 

【医薬・ワクチンへの応用】
mRNAは、DNAから作られた生体分子であり、DNAの情報を持ちつつも細胞質でタンパク質に翻訳されることから、DNA自体に影響するリスクがない。そのため「mRNA医薬」として、治療やワクチン、薬などに応用され始めている。
しかし、一方で生体内では不安定であり、壊れやすい、強い免疫反応を示すことがあるなどの課題もある。

 

 

【引用・参考文献】
1)本間研一監.大森治紀ほか総編.標準生理学.第9版.医学書院,2019,p1202.

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