最終更新日 2019/11/01

抗ARS抗体

抗ARS抗体とは・・・

抗ARS抗体(こうえいあーるえすこうたい、anti-ARS antibody)とは、アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl tRNA synthetase;ARS)に対する自己抗体である。抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体ともいう。

アミノアシルtRNA合成酵素は、細胞質内で行われるタンパク質合成に関する酵素である。この酵素に対する抗体が抗ARS抗体であり、歴史的には、1980年に皮膚筋炎患者において抗ARS抗体の一つである抗Jo-1抗体が報告されたのが最初である。以後、他のARS抗体が報告され現在知られている抗ARS抗体は以下の8種類となっているが、抗Jo-1抗体以外の頻度は低く抗Ha抗体と抗Zo抗体は1例報告のみである。

・抗EJ抗体
・抗Jo-1抗体
・抗PL-7抗体
・抗PL-12抗体
・抗Ha抗体
・抗OJ抗体
・抗Zo抗体
・抗KS抗体

抗ARS抗体陽性患者は、レイノー現象関節炎、間質性肺炎、Mechanic’s hand(機械工の手)などの共通した臨床症状を有るため、抗ARS抗体症候群と呼ばれる。特に間質性肺炎の頻度は9割以上と非常に高い。筋炎症状が先行しない場合や軽症で気付かれない場合は、特発性間質性肺炎と誤認されることもある。抗ARS抗体症候群の間質性肺炎は大部分が慢性型であるが、一部の症例では急速に進行する。


引用参考文献
1)Nishikai M,et al.Heterogeneity of precipitating antibodies in polymyositis and dermatomyositis. Characterization of the Jo-1 antibody system.Arthritis Rheum. Aug;23(8),1980,881-888.(PMID:7406938)

執筆: 井上 彰

明石医療センター 救急科医長 救命救急センター

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