最終更新日 2019/03/18

自殺企図

自殺企図とは・・・

自殺企図(じさつきと)とは、自殺を実行して失敗した場合を「自殺未遂」、結果的に死に至った場合を「自殺既遂」といい、自殺企図は「自殺既遂」と「自殺未遂」の両方を指す語である。そのほか、実際に計画や行動には表れていないものの、死を強くイメージすることや死を願望する場合を「希死念慮」、自殺をしてしまいたいと考えることを「自殺念慮」という。

自殺企図の最も強いリスク因子は「自殺企図歴」である。再企図による自殺を防ぐためには、医師だけでなく、看護師、薬剤師などの他職種もゲートキーパー的役割も持ち、服薬状況・自殺企図などについて配慮していくことが大切と考えられる。

また、自殺企図の強いリスク因子としては「精神疾患」が挙げられる。自殺既遂者や自殺未遂者の90%以上に精神障害が存在するとされており、うつ病、統合失調症、適応障害、パーソナリティ障害、器質性精神障害などは、自殺企図の背景となっていることが知られている。中でも、うつ病患者には自殺企図がよくみられることから、うつ病の早期発見・治療が重要であると考えられる。

自殺企図が確認された場合には、慎重な対応(場合によっては入院)が必要になる。身体的な重症度が明らかに高いときには、入院を前提に話が進むが、そうでない場合には、精神科の通院治療につなげるべきか、精神科病棟での入院治療が必要かを判断する。入院か通院かを判断するときには、それぞれの治療環境のリスクとベネフィットをよく検討することが求められる。

 

引用参考文献
1)日本精神科救急学会. 精神科救急医療ガイドライン 2015 . へるす出版. 2016; p190. (第5章 自殺未遂者対応参照)
2)松木麻妃. 自殺企図患者の動機別臨床的検討. 埼玉医科大学雑誌. 2013;39(2): T33-T46.
3)日本精神神経学会精神保健に関する委員会編著. 日常臨床における自殺予防の手引き. 精神神経学雑誌. 2013;115(3).
4)渋澤知佳子ら. 自殺企図者における過量服薬に関する実態調査. 信州公衆衛生雑誌. 2012; 7(1): 38-39.
5)日本臨床救急医学会. 自殺未遂患者への対応 救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き. 2009.

執筆: 小森大輝

順天堂大学大学院医学研究科 総合診療科学大学院生

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