最終更新日 2018/05/07

めまい

めまいとは・・・

めまいとは、自分自身が感じている身体感覚と周囲空間の認識のずれによる錯覚ないしは異常感覚と定義される。
自分が(または頭部が)じっと静止しているにもかかわらず、周りが回っているように感じたり見えたりふわふわと揺れている感覚、あるいは歩行などに際して、身体が揺れたり、左右どちらかの方向に傾いたりする感覚ないし状態を指す。
具体的な患者の訴えとしては「ふわふわする」「目が回る」という訴えのほか、「意識が遠のく」「地面に引き込まれるような」など表現は多彩である。

【原因】
めまいの原因は主に平衡機能の障害である。
平衡機能とは、立位・歩行・運動の際に転倒しないよう制御しているもので、通常、下記の(1)~(3)の情報がで統合されて体幹や四肢に伝わりバランスのとれた姿勢が可能となっている。
(1)固有知覚(足裏や関節の曲がり、筋肉の緊張などの情報)
(2)視覚(目からの情報)
(3)内耳の平衡感覚(重力や頭の動きを感知)
(4)(1)~(3)の情報を脳で統合
めまいの原因としては「(3)内耳の平衡感覚」の障害による末梢性めまいが多い。一方、「(4)脳」の障害によるものを中枢性めまいと呼び区別している。
典型的な末梢性めまいは “激しくグルグルと目が回る”回転性めまいであり、起床時や寝返りの際に起こる良性発作性頭位めまい症が代表疾患であるが、浮動性めまいを訴えることもある。中枢性めまいは“ふわふわする”浮動性めまいを訴えることが多く、脳の梗塞や出血が原因となるため緊急性を伴う。その際にめまい以外にも身体の運動・感覚麻痺を認めるなど症状は多彩であり、また回転性めまいを症状とする小脳梗塞・出血もあるため注意が必要である。

【鑑別・検査】
めまい時には眼球の律動的な不随意運動である眼振(眼球振盪)や、立位で身体が揺れる、歩行すると身体が揺れる、傾くなどの所見が見られる。上記の(1)~(4)の平衡障害以外にも、不整脈などの循環器疾患やホルモン異常(更年期障害)、心因性などのめまいもある。そのため、めまいの鑑別には問診が重要であり、その性状(回転性、浮動性)、持続時間、発作時の状況、随伴症状を聴取した上で、各種検査で診断を進める。

執筆: 中島早百合

順天堂大学医学部附属浦安病院 耳鼻咽喉科助手

執筆: 角田篤信

順天堂大学医学部附属練馬病院  耳鼻咽喉・頭頸科先任准教授

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