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  4. 受け持ち患者さんの業務を一人でやろうとしたら、患者さんへの点滴投与が遅れた!|場面別でわかる看護のポイント【4】

2017年03月24日

受け持ち患者さんの業務を一人でやろうとしたら、患者さんへの点滴投与が遅れた!

自分で考えて行ったケアが、後から先輩看護師に注意されることってありますよね。「それなら先に指示してくれればいいのに…」なんて思ったり…。
本企画では、新人看護師が普段のケアで間違いやすい、もしくは気付きにくいポイントについて、ベテラン看護師が解説します。ぜひ、ベテラン看護師の「考え方」を知り、日常の看護で実践してみましょう。

 

どう考える?どう動く?場面別でわかる看護のポイント【4】

受け持ち患者さんの業務を一人でやろうとしたら、患者さんへの点滴投与が遅れた!

中村香代
独立行政法人国立病院機構災害医療センター 9階ICU病棟 看護師長 急性・重症患者看護専門看護師/救急看護認定看護師

 

〈目次〉

◆ここがポイント!
POINT1 ラウンドの順番を組み立てられていない
POINT2 その処置にかかる時間を考慮していない
POINT3 担当の病室に一人でこもってしまっている

◆どうすればよかった?
情報収集したら「たて・よこ」を意識してスケジューリングする
常にその先の予測をしてゆとりをもった行動を心掛ける
忙しい時こそ、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」を行う

 

どうすればDさんの
点滴は遅れずにすんだのでしょうか?

 

 

ここがポイント!

POINT1 ラウンドの順番を組み立てられていない

 

複数の患者さんを受け持って、何から手を付けていいのやら…。今日こそは!と、いつも意気込んで出発するのに、どうしても先輩のようにスマートにラウンドができずにあたふたしてしまう…。そんな悩み、若手ナースなら誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。

 

今回の若手ナースも、先輩に「抜けがないようにね」と、くぎを刺されて出発したものの、ベッドの順番通りに患者さん一人ずつラウンドしたことが、後手後手となってしまい、最後のDさんの点滴時間が大幅に遅れるという結果になってしまいました。
もちろん、患者さん一人ずつに1対1でかかわることは間違っていません。しかし、「患者さん1人に対して、1回の訪問でその方の要件を全部済ませる」、というのと「1対1でかかわること」の違いを把握しておくことが大切です。

 

POINT2 その処置にかかる時間を考慮していない

 

検温前の情報収集は、どのように行うのでしょうか?医師から出された指示を中心に、時間指定のある内容を把握して立てる若手ナースの行動計画には、落とし穴がたくさん潜んでいるものです。

若手ナースからは、点滴の開始時間を守ることに集中してしまい、開始した後の計画をよく考えられていなかった、同じ時間に複数の計画をだぶらせてしまった、といった報告をにします。また、「ギリギリのスケジュールだけど間に合うだろう」と判断した結果、同じ時間に計画した要件のうち、先に始めた要件にてこずり、後回しにした方の要件をすっかり忘れてしまい、ミスにつながったという報告もよく聞かれます。

今回のケースでも、投与に1時間かかる、10時開始予定のDさんの点滴が遅れたため、点滴終了後に行う、11時のリハビリにも遅れが生じています。つまり、点滴終了後のDさんのスケジュールまでとらえられておらず、計画に甘さが見られます。

 

POINT3 担当の病室に一人でこもってしまう

 

受け持ち患者さんの担当ナースは、患者さんの一日のスケジュールを把握したら、責任を持って看護援助をすることになります。しかし、これは「全部を一人で実施すること」が求められているわけではありません。

 

バイタルサインを測定して、患者さんとかかわっているうちにベッドサイドから発信される援助のニーズに、すべて対応しようとするあまり、受け持ちナースは一人の世界に没入してしまいがちです。看護は、チームで行っていることを忘れていませんか?

 

どうすればよかった?

情報収集したら「たて・よこ」を意識してスケジューリングする

今回のケースでは、若手ナースはベッドの順番通りにラウンドを開始しましたが、「時間通りにやらなければならないこと」と、「その時間の中でやるべきこと」は、患者さん個々によって違います。このような多重課題に取り組むには、ナースの業務スケジュールと、患者さん個々のスケジュールを「たて・よこ」に組み合わせる、という視点がキーになります(表1)。

 

まず、看護業務の定例スケジュールがある場合、患者さん個々のタイムスケジュールを「たて」に書き出していきます。それを、担当している患者さんの分だけ「よこ」に並べると、同じ時間に複数の「to do」が重なっていることが分かります(表1)。

 

表1たて・よこを意識したスケジュールの書き出し

看護業務_日勤スケジュール

 

ここから、業務内容や分量、自分がそれらを行うのにかかる時間を考慮して、スケジュールを立てます。具体的なスケジュールの立て方は、次の項目で解説します。

 

常にその先の予測をしてゆとりを持った行動を心掛ける

先に説明した通り、その日受け持つ患者さんに行う業務を「たて・よこ」を考慮して書き出したら、次に、重なる業務を調整します。その際、先を見越して調整することが、その後の計画に大きく影響します。

 

調整するポイントは、「その先をとらえること」と、「ゆとりを持った時間配分」にあります。単に指定の時間だけを合わせるとか、ギリギリの時間配分で組んでしまうといった、成り行きを考慮していないゆとりのない計画は、うまくいかないばかりか、ミスを起こしやすく危険です。

 

時間が決まっている業務を時間通りに始めるだけでなく、患者さんのその後のスケジュールを把握して、そこにつなぐ意識で計画を立てることが重要です。さらには、単に時間だけではなく、業務の内容や分量、心の余裕といったことも含めた「ゆとり」を持たせた計画が、予定外の出来事や突発的な事象への対応力を生みます。

 

では、今回のケースの場合を考えてみましょう(表2)。

 

表2今回のケースの場合のスケジュール調整

ラウンド_スケジューリング

赤字は、時間が決まっている業務

 

  1. Aさんは夜勤の状態を情報収集すると、発熱をしていることがわかります。氷枕の交換が必要であることを予測して、あらかじめラウンドの前に氷枕を準備して、夜勤からの状態変化を一番に観察する計画を立てます。
  2. Bさんの回診と処置が予定より早く開始されたので、チームの看護師に応援を要請します。
  3. Cさんは排泄のための援助が必要です。朝食後に、排泄のニードが現れることが予測されるので、訴えを待つのではなく先回りして援助を申し出る配慮をします。
  4. Dさんは点滴投与前の状態を観察してから10時に点滴を開始します。
  5. Cさんがトイレからベッドに戻って、一呼吸置いたところでバイタルサインの観察をします。
  6. Bさんの処置が終了したところで、応援を要請したナースと代わり、バイタルサインの観察をします。

…以上を終えると、そろそろ11時になり、Dさんのリハビリの時間です。Dさんの送迎は応援を要請して、Cさんの清潔ケアを始めます。

 

多重課題は、若手ナースにとって最も困難な壁の一つですが、チームでサポートし合いながら、ゆとりを持って計画的に看護を進めることで、自信を持てるようになるはずです。
多重課題を遂行するポイントは、その患者さんを受け持つ前の状態を把握し、この先どうなるかを予測して行動計画を立てることです。そうすることで、先輩ナースのようにうまく多重課題を遂行することができるようになります。

 

忙しい時こそ、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」を行う

ベッドサイドにいると、あっという間に時間が過ぎていきます。「まだ戻ってこない」などと、ナースステーションから先輩の声が聞こえることもよくあることでしょう。受け持ちナースが果たす責任は、全部を一人で実施することではなく、担当患者さんのスケジュールや状態を把握して調整をすることにあります。

 

受け持ちナースとして、ベッドサイドで患者さんのニーズをたくさん拾うほど、ますます今回のケースのような状態に陥って、うまくいかないなと悩む若手ナースは多いはずです。こんな時こそ必要なのが、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」です。

 

今回のケースでは、若手ナースは一度、Dさんの点滴がCさんの処置の後でも間に合うかどうかを考えています(6コマ目)。この段階で、先輩ナースに相談を行えば、Dさんの点滴時間がずれることはなかったかもしれません。また、Bさんの診察の介助やCさんの排泄の援助は、ほかのナースに応援してもらうこともできそうですね。計画外の事項が発生したら、まずは一旦、立ち止まって冷静になり、この呪文(ホウレンソウ)を思い出しましょう。

 

人は、没頭するほど視野が狭くなるものです。一歩、下がって全体を見る意識を持ち、ホウレンソウを行うことが、チームの応援を受けることにつながります。

 


[文 献]

  • (1)箕浦とき子ほか.看護職としての社会人基礎力の育て方:専門性の発揮を支える3つの能力・12の能力要素.東京,日本看護協会出版会,2012,208p.
  • (2)坂本すが.新人看護職員研修の手引き:ガイドラインを活用した研修の実際.東京,日本看護協会出版会,2011,160p.

[マンガ]
おのようこ


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◆移乗時の問題◆手術が終了した患者さんを手術台からストレッチャーに移乗させる際のライン類の扱いで正しいものは以下のうちどれでしょうか?

  • 1.スタッフが各自でドレーンや点滴を確認して移乗させる。
  • 2.患者さんが麻酔から十分に覚醒していない場合は、ストレッチャーへ移乗させてからドレーン類を整理する。
  • 3.術後は術者や看護師がラインを確認しているため、移乗時にはラインのたるみがないよう、ライン類が伸展してしっかり固定してあるかの確認をする。
  • 4.患者さんに挿入されているライン類はたるみや引っ掛かりがないかを移乗前に確認し、スタッフで共有してからリーダーの声掛けで移乗させる。
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