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2017年08月15日

びまん性汎細気管支炎(DPB)患者さんの聴診音

この【実践編】では、呼吸器内科専門医の筆者が、疾患の解説と、聴診音をもとに聴診のポイントを解説していきます。
ここで紹介する聴診音は、筆者が臨床現場で録音したものです。眼と耳で理解できる解説になっているので、必見・必聴です!
初学者の方は、聴診の基本を解説した【基礎編】からスタートすると良いでしょう。

〈前回の内容〉

びまん性汎細気管支炎(DPB)の疾患解説

今回は、閉塞性肺疾患である「びまん性汎細気管支炎(DPB)患者さんの聴診音」について解説します。

 

皿谷 健
(杏林大学医学部付属病院呼吸器内科准教授師)

 

びまん性汎細気管支炎は難治性の疾患ですが、効果的な薬剤がいくつかあるのが素晴らしいことですね。

はい。助かる人が、もっと増えると良いですね。
そういえば、副鼻腔炎を合併する可能性が高いということは、この病変以外にも副鼻腔炎を合併することがあるんですか?

良いところに気付きましたね。
副鼻腔炎は、びまん性汎細気管支炎以外にも気管支拡張症などによく合併します。
これを副鼻腔気管支症候群を呼びます。
ここでは、びまん性汎細気管支炎の軽症な患者さんと、治療不応な重症患者さんを例に、聴診音を紹介していきます。

 

〈目次〉

 

症例①:軽症のびまん性汎細気管支炎(DPB)の患者さん

ここでは、びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)の患者さんの症例について簡単に紹介します。自分の担当する患者さんだと思って、イメージしてみてください。その後、実際の聴診音を聴いてみてください。

【69歳、女性】

主訴湿性咳嗽

既往歴:マクロライド療法を取り入れて数年経過。幼少時より慢性副鼻腔炎。治療は奏効している。

画像所見:わずかな気管支壁の肥厚と拡張変化、両側下肺野の粒状影が見られる(図1)。

図1軽症のびまん性汎細気管支炎の患者さんのCT画像

軽症のびまん性汎細気管支炎の患者さんのCT画像

A:両側下肺野に微細粒状影が見えます(青色ライン)。
B:気管支壁の肥厚と気管支の拡張が見えます(黄色ライン)。

 

身体所見バイタルサインは安定。SpO2 97%(室内気)と良好。

 

聴診音:右背側下肺野で聴いた音

 

 

 

 

 

 

 

ココを聴こう!

1秒手前、3秒手前、5秒後、6秒後、7秒手前:「ゴロゴロ」、「プツプツ」という音

 

 

 

  • 本症例では、「ゴロゴロ」、「プツプツ」という水泡音が聴こえるのがポイントです。この音に気付きましょう。
  • 本症例の水泡音は、吸気時に聴こえます。

 

 

 

症例②:びまん性汎細気管支炎(DPB)の治療が不応な患者さん

 

 

 

ここでは、治療効果が悪い、びまん性汎細気管支炎(DPB)の患者さんの症例について簡単に紹介します。自分の担当する患者さんだと思って、イメージしてみてください。その後、実際の聴診音を聴いてみてください。

 

 

 

【46歳、女性】

主訴:湿性咳嗽。

既往歴:7年間、マクロライド療法を行っているが、治療の反応が悪い症例。副鼻腔炎を合併している。

画像所見:胸部X線では、両側中下肺野の気管支拡張、気管支壁肥厚(黒矢印)が目立ち、多数の粒状影を認めます(図2)。

図2治療が不応なびまん性汎細気管支炎の患者さんのX線画像

治療が不応なびまん性汎細気管支炎の患者さんのX線画像

両側中下肺野で、気管支の拡張や気管支壁の肥厚が見られます(黒矢印)。

 

また、胸部CTでは、両側中葉舌区に気管支拡張像と壁肥厚があります(図3黒矢印)。また両側下葉にはX線の粒状影と一致するように気道を介して広がった陰影(木の芽様サイン)を多数認めます(青色ライン)。

図3治療が不応なびまん性汎細気管支炎の患者さんのCT画像

治療が不応なびまん性汎細気管支炎の患者さんのCT画像

A:両側中葉舌区に気管支拡張像と壁肥厚が見られます(黒矢印)。
B:両側下葉に気道を介して広がった陰影(木の芽様サイン)が多数見られます(青色ライン)。

 

身体所見:バイタルサインは安定。SpO2 97%(室内気)と良好。本症例は、マクロライド系抗菌薬を数年にわたり投与しているが、治療への反応が不良。

 

聴診音(1):右中肺野背側で聴いた音

 

 

ココを聴こう!

1秒手前:「ゴロゴロ」という音

2.5秒、5秒:「グーグー」という音

3.5秒、6.5秒、9.5秒:「ポピッポ」という音

 

 

 

  • 本症例では、長年の細気管支炎の影響で、たくさんの音が混在して聴こえるのがポイントです。このように音が混在していることに気付きましょう。
  • 「ゴロゴロ」という水泡音、「グーグー」といういびき音、「ポピッポ」というスクウォークなどが聴こえます。

 

 

 

聴診音(2):前胸部右中肺野で聴いた音

 

 

ココを聴こう!

1秒手前、4秒手前、7秒手前:「キュッ」という音

2.5秒、5.5秒、8.5秒:「グーグー」という音

 

 

 

  • 本症例では、「グーグー」といういびき音が、吸気時に聴こえるのがポイントです。この音に気付きましょう。
  • 吸気のところどころで、「キュッ」や「キュン」という音も混在しています。

 

 

 

ナースへのワンポイントアドバイス

 

 

 

びまん性汎細気管支炎(DPB)による気管支拡張症のある症例は、副鼻腔炎の合併が多いことが知られています。患者さんに副鼻腔炎の症状があった場合は、まずは、前胸部の中肺野(中葉舌区)を重点的に聴診してみましょう。

 

 

 

Check Point

  • 軽症のびまん性汎細気管支炎の患者さんでは、「ゴロゴロ」「ブツブツ」といった水泡音が聴こえる。
  • 「ゴロゴロ」「ブツブツ」といった水泡音以外に、「グーグー」といったいびき音やスクウォークなども聴こえることがある。

 

 

 

[関連記事]

 

*聴診音は、筆者が実際の症例で収録したものです。そのため、一部で雑音も入っています。

 


 

[執筆者]
皿谷 健
杏林大学医学部付属病院呼吸器内科講師

 

[監 修](50音順)
喜舎場朝雄
沖縄県立中部病院呼吸器内科部長
工藤翔二
公益財団法人結核予防会理事長、日本医科大学名誉教授、肺音(呼吸音)研究会会長
滝澤 始
杏林大学医学部付属病院呼吸器内科教授

 


 

協力:株式会社JVCケンウッド

 


 

 

 

著作権について

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  • 2.患者情報ラベルには患者氏名はフルネームで記載し、患者 ID など 2つ以上の情報を記入する。
  • 3.検体を容器に入れた後に患者情報ラベルを貼る。
  • 4.複数の患者検体を同時に扱う。
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