看護師が活躍する場所は、病院はもちろん、クリニックや訪問看護、企業、学校など多岐にわたります。働き方の選択肢は年々広がり、「どこで、どんなふうに働きたいか」を自分で考えて選べる時代になっています。
この記事では、就活中の看護学生に向けて、看護師の主な就職先や職場の種類、自分に合った職場の選び方まで、わかりやすく紹介します。さまざまな選択肢を知ったうえで、自分らしいスタートを切るためのヒントを見つけてください。
看護師の就職先はどこ?
まずは、看護師がどんな職場で働いているのか、最新のデータで見てみましょう。
看護師の就業先の割合

6割を超える看護師が病院で働いていますが、クリニックや訪問看護ステーション、介護施設など、病院以外で働く選択肢も広がっています。
病院も病院以外も!看護師が活躍できる職場一覧
看護師の就職先は病院以外にも幅広く、さまざまな分野で活躍しています。ここでは、職場ごとの役割や働き方、新卒の採用状況などをわかりやすく紹介します。
大学病院
全国には150以上の大学病院があり、新卒看護師の就職先として定番の一つです。高度急性期医療を担い、専門性の高い看護や先進的な医療技術に携われる環境が整っています。
教育・研修制度も充実しており、キャリアラダーや研究支援体制など、長期的なキャリア形成にも適しています。学会参加や資格取得を支援する体制があるところも多く、専門看護師や認定看護師を目指したい看護学生さんにおすすめです。
一般病院
大学が運営する病院以外に、全国に7,800以上の病院があります。一般病院の中には、急性期・回復期・慢性期・地域包括ケアなどの病棟を持つ施設や、地域医療支援病院に指定されている施設もあります。
病院の規模や特徴はさまざまで、都道府県立・公立・民間など運営母体によっても雰囲気や体制は異なります。地域に根ざした看護や多職種連携を重視するところが多く、患者さんとの距離が近いケアを大切にしたい学生さんに向いています。
勤務形態や待遇も病院ごとに異なるため、見学や説明会で確認してみましょう。
クリニック・診療所
クリニック・診療所は全国に約10万施設あり、地域の一次医療を担う身近な存在です。看護師は採血や処置、診察補助、受付対応まで幅広い業務を担当します。外来勤務が中心で、基本的に夜勤や急変対応がないので、生活リズムが整いやすい環境です。
クリニック・診療所は基本的に少人数体制で、施設によっては医師と看護師のみというケースもあります。新卒採用は少なく、即戦力を必要としているため臨床経験を求められることが一般的です。
訪問看護ステーション
全国に約16,000施設あり、利用者さんの自宅を訪問して看護ケアを提供する在宅医療の要です。医師の指示で、点滴・褥瘡ケア・服薬管理などを行います。生活支援や家族との連携も重要な役割です。
基本的には日勤の勤務が主体ですが、それに加えてオンコール対応や緊急出動があるステーションもあります。最近は新卒採用に前向きな事業所も増えていて、実際に新卒から訪問看護師として働き始めた先輩たちが活躍しています。
介護施設(老健・特養など)
看護師の約8%が勤務する職場で、高齢者の生活の場を支える看護を担います。介護施設の看護師の主な業務は健康観察、服薬管理、バイタルサインのチェック、生活支援などで、医療処置は少なめです。
介護施設には、有料老人ホーム、介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)などの種類があります。医師が常駐しない施設タイプもあり、看護師が急変時の対応判断を求められることもあります。
夜勤の有無は施設タイプによって異なりますが、病院と比べて比較的ゆったりとした勤務が多く、ワークライフバランスを重視したい方にも人気です。新卒採用は少なめです。
美容クリニック
美容皮膚科、美容外科、脱毛専門クリニックなどがあり、自由診療がメインです。カウンセリング、施術補助、医療機器の操作、アフターケアなどが主な業務で、病院とは異なる接遇やホスピタリティ、営業的な視点も求められます。
給与水準は比較的高めで、休診日が固定されている場合もあります。最近は新卒の育成に積極的なクリニックも出てきており、美容看護師を志す学生の選択肢として注目されている就職先です。
企業(産業看護師・健康管理室など)
一般企業や健診センター、保険会社などで働く看護師もいます。社員の健康相談や応急対応、ストレスチェック、健康教育などを担います。
日勤のみ・土日休み・定時退勤など、働きやすい環境が魅力ですが、求人は少なく、多くの場合で実務経験が必要です。新卒で目指すには狭き門ですが、将来的にキャリアチェンジする選択肢として人気があります。
学校・行政・保育園など
保育園・小中高校・大学、行政・保健所などでの勤務は、児童生徒や地域住民の健康支援を担う職場です。看護師資格のみで勤務できる施設もありますが、養護教諭として教職に就く場合は「養護教諭免許状」の取得が必要です。公立施設は公務員試験の受験を受けなければならない場合もあります。
求人数は少なく倍率も高めです。家庭や子どもと関わる仕事に関心がある方におすすめの分野です。
その他(ツアーナース・海外・NPOなど)
修学旅行やスポーツ大会などに帯同するツアーナースや、NGO・NPO団体での海外看護・災害医療支援など、個性的な働き方もあります。
案件ごとに期間・内容が異なり、非常勤やフリーランス契約が基本です。ある程度の実務経験が求められるため新卒向きではありませんが、将来的な働き方として知っておくと視野が広がります。
看護師の働き方のカタチを知ろう(勤務形態・雇用形態)

働き方を考えるうえで、「勤務形態」や「雇用形態」の違いを理解しておくことも大切です。採用情報や説明会などでよく見かける用語を整理しておきましょう。
勤務形態の違い
看護師の勤務は、病棟か外来かによっても大きく異なりますが、特に病棟勤務では「2交代制」「3交代制」などのシフト制が主流です。
| 勤務形態 | 特徴 |
|---|---|
| 2交代制 | 日勤と夜勤の2シフト制。 日勤は8:30〜17:00など、夜勤は16:30〜翌9:00など。1回の夜勤が長く、1ヶ月あたりの夜勤回数は少なめ。 |
| 3交代制 | 日勤・準夜・深夜に分かれる3シフト制。1回の夜勤は短時間だが、出勤回数が増える。 |
| 日勤のみ | 外来・クリニック・訪問看護など。生活リズムが整いやすく人気だが、新卒採用は少なめ。 |
夜勤の有無や頻度は生活に影響しやすいため、自分の体力や生活スタイルに合っているかを見極めましょう。
雇用形態の違い
働き方の選択肢が増える中で、雇用形態も多様になっています。
| 雇用形態 | 特徴 |
|---|---|
| 常勤 | 正職員としての勤務。フルタイムで、賞与・退職金・福利厚生も整っている。新卒看護師の多くはこの形態で入職する。 |
| パート・アルバイト | 週3日勤務や時短勤務など、柔軟な働き方が可能。収入や保障は常勤より少なめ。 |
| 派遣 | 派遣会社を通じて期間限定で勤務。時給は高めだが、安定性・教育体制には欠ける面も。 |
| 業務委託 | 病院との雇用契約ではなく、個人契約で仕事をする働き方。働く時間や報酬を自由に決められるが、仕事の数は多くない。 |
新卒での入職は「常勤」がほとんどですが、ライフステージや目指す働き方によって、雇用形態を柔軟に選べる時代になっています。
はじめの病院、どう選ぶ?自分に合う職場選び3つのコツ
「どこに就職するか」は、看護学生にとって大きなテーマですが、最初からみんながはっきりとした答えを持っているわけではありません。
「人とじっくり関われる環境で仕事したい」「夜勤が少ないところがいいな」など、漠然とした気持ちから考え始めても大丈夫です。
この章では、はじめての職場を選ぶときにヒントになる3つの視点を紹介します。
興味のある看護・学びたいことから選ぶ
「小児看護に携わりたい」「地域の人と関わる看護がしてみたい」「人の話をじっくり聞くのが好き」など、はっきりした目標から漠然とした気持ちまで、自分の関心をもとに考えてみるのがおすすめです。
たとえば、「小児看護に興味がある」ならNICUや小児病棟のある総合病院、「人とじっくり向き合いたい」なら療養型病棟や地域包括ケア病棟がある病院など、業務や働き方の特徴と照らし合わせて探してみましょう。
病院によって専門領域や配属方針は異なるので、パンフレットや説明会、見学を活用して情報収集をしておくと安心です。
働きやすさ・自分らしい働き方で選ぶ
シフト体制、休日の取りやすさ、通勤しやすさ、雰囲気の良さなどから「長く続けられそうか」という視点も重要です。
たとえば「2交代制・3交代制の特徴を知って、自分が働きやすいイメージがつくのはどちらか」「家から通いやすい距離か」など、生活とのバランスも考えておきましょう。
将来のキャリアやライフプランから逆算して選ぶ
「数年後に訪問看護に進みたい」「認定看護師や専門看護師を目指したい」「将来は子育てと両立しながら働きたい」など、将来のキャリアやライフプランから、どこで経験を積むかを考える方法もあります。
たとえば、訪問看護を見据えるなら在宅医療に力を入れている病院や地域包括ケア病棟がある病院を、子育てとの両立を考えるなら夜勤の回数が少なめな勤務体制のある病院や、育休制度・時短制度が整っている病院を選ぶのもひとつです。
将来の選択肢を広げる意味でも、教育体制やキャリア支援制度の充実度は事前にチェックしておくと安心です。
先輩ナースに聞いた「就職先を選んだ理由」
実際に現場で働く先輩たちは、以下の理由で就職先を選んだようです。




選び方は人それぞれです。「自分にとっての優先順位」を見つけましょう。

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よくある疑問Q&A|看護師の働き方、みんなどう考えてる?
就職活動を進める中で、「これってどうなんだろう?」と疑問に思うことはたくさんあります。ここでは、看護師の働き方についてよくある質問とその答えをまとめました。
- あいさつがあるか
- 看護師が常に忙しそうに動き回っていないか
- どんな表情でどんなコミュニケーションをとっているか
病院のSNSや公式ブログなども参考になります。
ちょっとした疑問を解消することで、安心して一歩を踏み出せます。気になることは遠慮せずに調べたり聞いたりしてみましょう。
まとめ|自分に合った働き方を見つけて、第一歩をふみ出そう
看護師の働き方は、配属先や勤務形態、就職先によってさまざまです。選択肢の広さや職場ごとの違いを知ることで、自分に合う働き方が少しずつ見えてきたのではないでしょうか?
いろいろな病院や施設の話を一度に聞ける合同説明会や、病院の見学会・インターンシップに参加し、パンフレットやWebだけではわからないリアルな情報も集めてみましょう!

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