気になる病院の説明に「地域医療支援病院」と書かれていて、どんな病院?と思ったことはありませんか?
この記事では、地域医療支援病院の定義や役割、承認要件から、実際に働く看護師のリアル、志望動機のヒントまで、就活に役立つ情報をわかりやすく解説します。
「地元で働きながら専門性も高めたい」と考えるあなたにぴったりの病院像が見えてくるはずです。
地域医療支援病院とは?制度と特徴をカンタン解説
地域医療支援病院とは「地域の病院や診療所と連携し、紹介患者を中心に受け入れながら、専門的な医療や救急体制、研修機会を提供する中核病院」です。
看護学生にとっては「地域に根ざしながらも、高度な症例や幅広い経験を積める場」と言えます。
地域医療支援病院の4つの役割とは?

地域医療支援病院は、医療法に基づき都道府県知事の承認を受けた病院で、一定の要件を満たす必要があります。
その中で果たすべき4つの主な役割は以下の通りです。
地域医療支援病院 4つの役割
- 紹介患者の受け入れ(紹介・逆紹介)
地域の診療所や中小病院からの紹介患者を積極的に受け入れ、効率的な医療連携を図る。 - 医療機器の共同利用
CTやMRIなど医療機器の共同利用を通じて、地域全体の医療レベルを底上げ。 - 救急医療
24時間365日、緊急患者の対応ができる体制を整える。 - 研修の実施
地域の医師や看護師、その他の医療専門職(コメディカル)向けに教育・研修を実施。
大学病院のような特定機能病院ほどの研究機能はありませんが、実践的な臨床経験が豊富に積める環境が特徴で、地域と連携しながら「急性期医療」「教育機能」を担う病院と言えます。
地域医療支援病院の承認要件
承認を受けるには、以下のような明確な基準を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 病床数 | 原則200床以上(例外あり) |
| ② 紹介率 | 紹介患者の占める割合は、以下のいずれかを満たす ・紹介率80%以上 ・紹介率65%以上かつ逆紹介率40%以上 ・紹介率50%以上かつ逆紹介率70%以上 |
| ③ 共同利用 | 地域の診療所や病院が、CT・MRIなどの高度医療機器を共同で利用できる体制がある |
| ④ 救急体制 | 救急患者を常時受け入れられる体制 |
| ⑤ 研修体制 | 医療従事者向けに定期的な研修を実施している |
これらの要件を満たすことで、地域医療支援病院としての役割を果たせると評価され、都道府県知事から承認されます。
全国の地域医療支援病院一覧(最新版)はこちらから確認できます。
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特定機能病院や紹介受診重点医療機関との違いは?
ここでは、地域医療支援病院と混同されがちな特定機能病院や紹介受診重点医療機関との違いを整理しておきましょう。
特定機能病院との違い
| 地域医療支援病院 | 特定機能病院 | |
|---|---|---|
| 管理者 | 都道府県知事の承認 | 厚生労働大臣の承認 |
| 主な機能 | 地域連携・紹介患者の受入 | 高度医療の研究・開発・教育 |
| 例 | 地域中核病院(市立病院など) | 大学病院など |
特定機能病院は「高度・先進医療の開発、研究」という役割を担っています。
「急性期医療に触れながら症例を幅広く経験したい」人は地域医療支援病院、「高度急性期の医療現場で、研究・開発にも関わりたい」人は特定機能病院が合っているかもしれません。
紹介受診重点医療機関との違い
紹介受診重点医療機関も、地域医療支援病院と同じく「紹介状を持つ患者を中心に診る体制」を強化した病院です。ただし、地域医療支援病院は救急や研修など、より包括的な機能が求められる点が異なります。
地域医療支援病院で働く看護師のリアル

ここでは、地域医療支援病院で働く看護師の業務内容や、職場の雰囲気を紹介します。
先輩ナースの1日スケジュール
| 8:30 | 情報収集・夜勤看護師から申し送り | ||
| 9:00 | バイタルチェック・観察・検査出し・オペ出しなど | ||
| 10:00 | 紹介患者の入院受け入れ対応 | ||
| 11:00 | お昼の休憩 | ||
| 12:00 | 配膳・食事介助・配薬など | ||
| 13:00 | 多職種カンファレンス | ||
| 14:00 | バイタルチェック・観察・緊急入院や手術後の受け入れなど | ||
| 15:00 | 家族への病状説明のサポート | ||
| 16:30 | 記録・夜勤看護師へ申し送り | ||
| 17:30 | 退勤 | ||
紹介患者が多いため、医師や地域連携室との連携力が必要になる場面も多めです。
実際に関わる業務と身につくスキル
地域医療支援病院では、紹介患者を中心とした幅広い症例に関わることができます。
地域医療支援病院で働く
看護師の主な業務内容
- 紹介状を持参した患者さんの入院受け入れ
- 急性期から回復期までさまざまな病期の患者ケア
- 地域の医療機関との連絡・情報共有
- 救急患者の受け入れ対応
- 退院時の地域連携を考慮した看護計画立案
これらを通じて、以下のようなスキルが身につきます。
- 多様な疾患・病期への対応力
- 地域医療全体を見渡す視点
- 他職種・他施設との連携・調整力(チーム医療力)
- 急性期看護の基本スキル
- 在宅復帰を見据えた支援の視点
地域に根ざしながら専門性も高められる、バランスの良い経験が積める環境です。
地域医療支援病院で働くメリットと注意点
実際の働きやすさや、就職後に感じやすいギャップを事前に理解しておくことで、納得のいく選択ができるはずです。
看護師として働く3つのメリット
多様な症例で経験値を積める
紹介患者中心のため、急性期・慢性期を問わず幅広い疾患に関わることができます。特に心疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患・高齢者の慢性疾患の増悪など、実践的に学べるケースが豊富です。
教育・研修が充実している
医療従事者向け研修の実施が承認要件であるため、教育担当者の配置やラダー制度などが整っている病院が多く、新人看護師向けのOJTや定期的な面談もしっかり行われています。
地域医療と専門性の両立
地域に根ざした看護を実践しながら、急性期から在宅復帰に向けた支援まで幅広い看護を経験できます。そのため、将来のキャリアの幅を広げやすい環境です。
知っておきたい注意点・負担感
重症度の高い患者への対応が多い
紹介患者中心のため、状態が不安定な患者さんを初期から受け入れる場面が多く、観察力や判断力が求められます。
業務量と情報量が多い
救急搬送、検査・処置、退院支援など一連の流れを短期間で行うため、業務のスピードと正確さ、情報整理力が必要になります。
体力・精神力のバランスが大切
急性期看護に近い現場では、身体的・精神的な負荷もあるため、自分のペースを守るセルフケアも大切です。
ただし、こうした負担を軽減できるよう、プリセプター制度やチーム支援体制、定期的な振り返り面談などを導入している病院が多く、安心して成長できる環境が整っています。
「忙しい=つらい」ではなく、「忙しい=学べる・成長できる」と前向きに捉えられる方にとって、地域医療支援病院は非常にやりがいのある職場になるでしょう。
先輩ナースに聞く!地域医療支援病院で働く魅力
実際に地域医療支援病院で働く先輩看護師の声を紹介します。



地域医療の特色を活かした学びと、充実したサポート体制の両方が揃っているからこそ、多くの看護師が安心して成長できる環境だと実感しているようです。
志望動機・自己PRの書き方ポイント

地域医療支援病院を志望するときに役立つ志望動機や自己PRのポイントを見ていきましょう!
志望動機の考え方と例文
地域寮支援病院の特性を踏まえて「地域医療 × 自分の成長」 という視点を取り入れると説得力が増します。
例文:
地域の医療を支える貴院の一員として、紹介患者の受け入れや救急対応といった急性期の看護に携わることで、状況判断力や多職種との連携力を磨きたいと考えています。
また、教育体制が整っている貴院で、基礎を固めながら専門性を高めていきたいという思いから志望いたしました。地域の皆さんが住み慣れた場所で安心して医療を受けられるよう、地域に根ざした看護師として貢献したいと思います。
自己PRで意識したい3つのキーワード
地域に根ざしながら高度な医療を提供する地域医療支援病院の役割を踏まえて、次のような強みを伝えられると好印象でしょう。
- 連携力
紹介患者の受け入れや退院支援などでは、医師・リハビリ・地域連携室などとのスムーズな情報共有と協力が求められます。そのため、周囲と信頼関係を築ける力を伝えましょう。 - 柔軟な判断力
急変や搬送など予定外の対応が発生することもあります。そんな中でも落ち着いて行動できる対応力や、状況に応じた判断力を持っていることをアピールできます。 - 継続的な学び
地域医療支援病院は研修制度が整っているため、「自ら学び、知識や技術を深めていきたい」という姿勢を具体的に伝えると、成長意欲を持った人材として評価されます。研修体制を活かして成長し続ける姿勢を伝えると効果的です。
よくある質問Q&A【就活・実習編】
就職活動や実習を進める中で、看護学生の皆さんが感じやすい疑問にお答えします。
はい。教育に力を入れている病院が多く、看護学生の受け入れにも積極的です。実際に現場での動きや看護の流れを体験できる貴重な機会になります。
次のような質問が多いでしょう。自分らしいエピソードを準備しておくと安心です。
- 「なぜ地域医療支援病院を志望したのか?」
例:地域に根ざした医療に携わり、幅広い症例を通じて看護師として成長したいと考えたからです。貴院で紹介患者を中心とした急性期医療に携わることで、観察力や多職種との連携スキルを身につけ、将来的には地域医療に貢献できる看護師になりたいと思います。 - 「急性期の看護に不安はないか?」
例:正直、不安もありますが、それ以上に学びたい気持ちが強いです。貴院の充実した教育体制の中で、先輩方にご指導いただきながら、一歩ずつ成長していきたいと考えています。 - 「チーム医療の中でどんな役割を果たしたいか?」
例:患者さんにとって一番身近な存在として、状態変化や不安にいち早く気づき、チームメンバーと適切に情報共有することで、安全で質の高い医療に貢献したいと思います。
まとめ
地域医療支援病院は、地域とのつながりを大切にしながら、紹介患者や救急医療に対応する中核病院です。
「充実した教育体制の中で安心して成長したい」
「地域に根ざした医療に携わりたい」
「大学病院ほど大きすぎず、でも小さすぎない病院で働きたい」
という思いを持つ看護学生にとって魅力的な職場となるでしょう。気になる病院があれば、ぜひ説明会に参加したり、現場の声に触れてみましょう!

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