小児の気管内吸引
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は気管内吸引について解説します。
山元恵子
富山福祉短期大学看護学科長
気管内吸引
万一に備え、交換用の気管チューブを用意
気管挿管(図1)や気管切開をしている患児では、気道分泌物や貯留物を除去するために、無菌操作で気管内吸引を実施する。小児用気管チューブはカフがなく、内径の太いチューブを使用する。
カフがなく抜けやすいため、吸引時には万一に備えて交換用チューブを準備する。
吸引は2人で実施。1人が吸引前後に用手的人工換気を行い、もう1人が気管内吸引を行う。
図1 気管挿管

POINT
気管内吸引の注意点
■吸引カテーテルは、気管チューブ先端から1.5~3cm出る深さまで挿入する。
■吸引圧は20kPa(150mmHg)以下、吸引時間は引けないときは5秒以内、引けるときは10秒以内。
■カテーテルの刺激による肉芽形成により、挿入が困難になったり、出血を起こす危険がある。医師による定期的な内視鏡検査により、気管の観察が必要である。
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気管内吸引 Q&A
気管内吸引が必要な場合の、日常ケアは?
日頃からネブライザーなどにより痰を柔らかくしたり、体位ドレナージ、理学療法などにより痰を移動させ、短時間に、スムーズに吸引できるようケアを行う。
また、ベッドサイドには、スタッフ誰もが一定の条件で気管内吸引が行えるよう、
●吸引カテーテルの種類・太さ
●挿入の深さと目印
●吸引圧
などを表示しておくとよい(図2)。
図2 ベッドサイドの表示例

カテーテルの選択は?
吸引カテーテルは外径が気管チューブ内径の1/2以下で、なるべく太いものを選ぶ。挿入の長さは、+3cmまでとし、目印をつけておくとよい。
吸引による合併症は?
吸引カテーテルを深く挿入しすぎたり、吸引圧が高すぎることにより出血、肉芽の形成と悪化、気道粘膜細胞の線毛障害が起きる場合がある。
また、太すぎるカテーテルの使用、長時間の吸引により、無気肺が起こる危険がある。
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ


