縦隔気腫

『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』より転載。
今回は縦隔気腫について解説します。

 

 

佐野由紀子
さいたま赤十字病院10F西病棟看護師長
慢性呼吸器疾患看護認定看護師

 

 

縦隔気腫とは?

縦隔内に空気が入り込んだ状態を、縦隔気腫といいます(図1)。

 

図1 縦隔気腫の病態

縦隔気腫の病態

 

縦隔に空気が入り込む原因として、激しい咳嗽の後や肺胞の破裂、胸部外傷後などが挙げられます。内視鏡や気管支鏡による損傷や、人工呼吸療法など、医原性に発生する場合もあります。

 

原因不明である特発性と、原疾患に基づく続発性があります。約半数は原因が不明であり、特発性は10代半ば~20代前半に発症することが多いです。

 

続発性の基礎疾患として、気管支喘息肺感染症間質性肺炎過敏性肺炎などがあります。

 

 

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患者さんはどんな状態?

突然の胸痛が生じます。

 

前胸部に皮下気腫が認められます(図2)。

 

聴診にて、心音に一致した捻髪音(fine crackles)が聴取できます。

 

図2 縦隔気腫の症状

縦隔気腫の症状

 

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どんな検査をして診断する?

X線、CTで、縦隔、皮下に空気の貯留が認められます(図3)。

 

図3 縦隔気腫のX線、CT

縦隔気腫のX線、CT

 

食道損傷が疑われた場合は、上部消化管内視鏡検査で精査する必要があります。

 

 

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どんな治療を行う?

特発性で明らかな外傷がない場合は、安静、経過観察となります。

 

気管、気管支、食道、心臓などの損傷が原因の場合は、緊急の開胸手術が必要になる場合があります。

 

 

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看護師は何に注意する?

既往症の聴取を行います。

 

皮下気腫の範囲や程度を観察します。

 

縦隔内に空気が急激に流入すると、縦隔内臓器が圧迫されてショックに陥る場合があるため、ショック症状チアノーゼの観察をする必要があります。

 

 

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縦隔気腫の看護の経過

縦隔気腫の看護の経過は以下のとおりです(表1-1表1-2表1-3表1)。

 

表1-1 縦隔気腫の看護の経過(発症から入院・診断)

縦隔気腫の看護の経過(発症から入院・診断)

 

表1-2 縦隔気腫の看護の経過(入院直後・急性期)

縦隔気腫の看護の経過(入院直後・急性期)

 

表1-3 縦隔気腫の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)

縦隔気腫の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)

 

表1 縦隔気腫の看護の経過

※横にスクロールしてご覧ください。

縦隔気腫の看護の経過

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社

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