びまん性汎細気管支炎(DPB)

『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』より転載。
今回はびまん性汎細気管支炎(DPB)について解説します。

 

 

平澤真実
さいたま赤十字病院ICU看護主任
慢性呼吸器疾患看護認定看護師

 

 

びまん性汎細気管支炎とは?

気道系疾患では、気道に慢性的な炎症が生じ、気道の防御機能低下や気道の過敏性の亢進が起こります。これにより、気道の狭窄による気流制限や、気道の閉塞をまねく病態となっています。

 

気道系疾患の一つであるびまん性汎細気管支炎(DPB;diffuse panbronchiolitis)とは、日本で疾患概念が確立された原因不明の上気道・下気道の慢性炎症性疾患です。東アジアに多く認められ、欧米にはほとんど存在しない疾患です。human leukocyte antigen(HLA)-B54の陽性率が日本人では高率で、遺伝的要因が示唆されています。

 

 

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患者さんはどんな状態?

気管支炎は、呼吸細気管支領域が障害されることで慢性の膿性痰咳嗽労作時の呼吸困難が生じることが特徴的です(図1)。

 

図1 DPBの病態

 

この疾患は、感染防御機能の障害により感染と気道炎症の悪循環をきたし、換気障害を呈します。

 

この疾患は、約80%に慢性副鼻腔炎の既往または合併があり、呼吸器症状の前に慢性副鼻腔炎が先行することが多いです。

 

memo:慢性副鼻腔炎

3か月以上続く副鼻腔の慢性炎症とそれに伴う鼻症状のこと。ウイルス性や細菌性、好酸球性、また鼻腔形態の違いや遺伝などさまざまな原因で発症する。

 

 

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どんな検査をして診断する?

X線やCT(図2)、血液検査、喀痰検査、呼吸機能検査を行い診断します(表2)。

 

図2 DPBのX線、CT

 

表2 DPBの検査所見

 

memo:寒冷凝集素価

血液検査にて、びまん性汎細気管支炎のほか、非定型肺炎やほかのウイルス性疾患の鑑別に行われる。

 

 

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どんな治療を行う?

気管支炎では、慢性炎症の治療のため長期内服が必要となります。

 

基本治療はマクロライド系抗菌薬の少量長期療法(6か月~2年)になります。症状に応じて去痰薬や鎮咳薬を併用します。

 

 

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看護師は何に注意する?

気道はガスの輸送路となっているため、閉塞により危機的な状況に陥る可能性があり、すみやかに閉塞を解除する必要があります。長期の薬剤治療が必要なため、服薬指導や症状コントロールなどセルフケア支援が重要となります。

 

感染と炎症による咳嗽と、膿性痰が多く喀出されるため、体位を整えて自己喀出を促します。

 

咳嗽が弱く自己喀出ができない患者さんには、気管吸引を適切に行い、気道クリアランスを図ることが大切です。

 

呼吸が楽な姿勢の調整も行います。呼吸が楽な姿勢は基本的には胸郭の動きを制限しない座位ですが、患者さんによって安楽な姿勢は異なります。ファウラー位や側臥位などあらかじめ楽な姿勢を患者さんと試しておくとよいでしょう。

 

マクロライド系の薬剤は苦みを感じることがあります。錠剤の場合は噛み砕いて飲まないように説明することが大切です。また酸性のジュースやスポーツドリンクと一緒に服用するとさらに苦みを感じることもあわせて説明しましょう。副作用として、QT延長心室頻拍が現れることがあります。循環器系の既往がある患者さんには注意が必要となるため、あらかじめ既往歴を確認しておきましょう。

 

 

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びまん性汎細気管支炎の看護の経過

びまん性汎細気管支炎の看護の経過は以下のとおりです(表3-1表3-2表3-3表3)。

 

表3-1 びまん性汎細気管支炎の看護の経過(発症から入院・診断)

 

表3-2 びまん性汎細気管支炎の看護の経過(入院直後・急性期)

 

表3-3 びまん性汎細気管支炎の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)

 

表3 びまん性汎細気管支炎の看護の経過

※横にスクロールしてご覧ください。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社

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