採血は一般的に空腹時に行なうのがよいとされているのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は採血のタイミングに関するQ&Aです。

 

採血は一般的に空腹時に行なうのがよいとされているのはなぜ?

 

血液内の物資のなかには、食事による影響を受けて変動するものがあるので、病的変動との区別をするためです。

 

〈目次〉

採血は早朝空腹時がよいのは

血液内の物質が、いつも一定したレベルで流動し、生体外に取り出してからも変動のない物資であれば、検査は時間に関係なく、いつでも望むときに採血し、まとめて分析もできます。しかし、実際には、血液内の物質は、体内での生理的因子食事などに影響されることが多いようです。

 

したがって、種々の変動因子を除外するために、1日のうちで基礎代謝の最も安定している早朝空腹時に採血するのが理想です。

 

食事による血液への影響は

食事の影響は、食事の内容や食後の時間により異なるほかに個人差もありますが、血糖、インスリン、無機リン、中性脂肪、遊離脂肪酸)などは、食後血液中の値が変動する物質です。

 

影響を受ける度合いは一律でなく、前3者は食後3時間で空腹時値に戻り、後2者は食後10~12時間もその影響が続くといわれています。

 

また、食後の血液はしばしば白濁を生じ、分析上にも影響を受けるため、少なくとも食後2~4時間経過後の採血が望ましいと思います。

 

CULUMN採血で大切なこと

採血においては、安全で安楽な援助が提供できるよう知識・技術を磨き、不安や苦痛への配慮が大切です。

 

看護師による採血(静脈内)は日常的に行われており、疾病や症状を把握するうえで重要な検査です。

 

医師から指示を受け行いますが、なぜその検査項目が必要なのか、採血をとるタイミングは検査値にどのように関係するのか、検査値に影響を与えてしまう手技は何かなどを理解しておく必要があります。なぜならば、採血における検査値は医師の治療方針に直結するからです。

 

そして忘れてはならないのは、患者さんの身体に針を刺すという苦痛を伴う援助であることです。また同時に、針刺し事故が起きれば援助者側にも危険が伴います。それゆえに、安全・安楽を心がけた技術が必要となります。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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