ICUで起こしやすい皮膚トラブル|皮膚トラブルの予防的ケア

『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は、「ICUで起こしやすい皮膚トラブル」について解説します。

持田裕子
市立青梅総合医療センター 看護師長・排泄ケア特定認定看護師

 

Key point
  • 循環不全状態や低栄養による浮腫、皮膚の脆弱性によるスキン-テアの高リスク状態

 

ICUで起こしやすい皮膚トラブル

浮腫時のスキンケア

浮腫を引き起こす循環不全状態や低栄養状態下での入院患者は皮膚バリア機能が低下し外界から異物が侵入しやすい状態にある。

蜂窩織炎や水疱形成などの皮膚トラブルが発生しやすい。毎日石鹸を用いた洗浄と保湿ケアを行う。

 

重なり合い湿潤が強い場合には、真菌などのカビの発生を予防するコラージュフルフル®(ミコナゾール配合石鹸)を利用する(写真1)。

 

写真1泡石鹸(コラージュフルフル®)

 

またテープの使用はできるだけ避け、用いるときはリモイスコート®などの被膜剤を用い皮膚の伸縮による物理的な刺激を低減させる。

下肢の場合は弾性包帯による圧迫、下肢挙上など浮腫を軽減させる取り組みを検討する。

 

スキン-テア予防

ICUでスキン-テア(皮膚裂傷)は固定するテープで発生する場面が多い。剥がすときは剥離剤を用いてゆっくり剥がす(写真2)。

 

写真2剥離剤の使用

 

介助時に四肢はできるだけ握ることを避け下から支える(写真3)。

 

写真3介助時の四肢の支え方

 

高齢者、スキン-テア保有者、紫斑がある皮膚、浮腫などのスキン-テアのリスクがある時には、アームカバーを検討する (写真4)。

 

写真4アームカバー例

 

引用・参考文献 閉じる

1 )日本創傷・オストミー・失禁管理学会編著:ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理,照林社,2015,p.23

 


 

本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版

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