IADの発生予防|皮膚トラブルの予防的ケア

『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は、「IADの発生予防」について解説します。

持田裕子
市立青梅総合医療センター 看護師長・排泄ケア特定認定看護師

 

Key point
  • 失禁状態やおむつの装着による失禁関連皮膚障害(IAD:incontinence associated dermatitis)の高リスク状態

 

 

IADの発生予防

意識障害やショック状態下にある患者は失禁状態を引き起こしやすい。とくに下痢便は、アルカリ性の活性化された消化酵素を含み、皮膚と接触し続けると容易に紅斑やびらんを引き起こす。粘性のある排泄物でも吸収する便失禁用のおむつ(写真1写真2写真3)が市販されているので、家族に協力が得られれば用意してもらい使用する。

 

写真1便失禁用おむつ

便失禁用おむつ

 

写真2便失禁用おむつの構造

便失禁用おむつの構造

 

写真3おむつの吸収量の違い

おむつの吸収量の違い

 

おむつ装着時のスキンケア

弱酸性洗浄剤(液体石鹸、泡石鹸)で泡をつくりこすらず洗い、十分な微温湯などで洗い流した後、不織布で押し拭きをする。セキューラPO®などの撥水性の高い保湿・保護材にておむつがあたる部分をコーティングする。

 

頻繁に便失禁があるときのスキンケア

摩擦や脱脂による皮膚障害を予防するため石鹸洗浄は1日1回にとどめ、その後の便失禁は微温湯洗浄、またはリモイスクレンズ®などで汚れをとり、保湿・保護剤を追加で塗る。

 

持続的な便失禁への対策

ストーマ装具などを用いて肛門のパウチング(写真4)や便失禁管理システムのフレキシシール®などの使用も検討する(写真5)。便失禁管理システムは特定の条件下で診療報酬算定が可能な製品である。

 

写真4ストーマ装具によるパウチング

ストーマ装具によるパウチング

 

写真5便失禁管理システム(フレキシシール®)

便失禁管理システム(フレキシシール)

 

引用・参考文献 閉じる

1 )日本創傷・オストミー・失禁管理学会編著:ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理,照林社,2015,p.23

 


 

本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版

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