ME機器の特徴と体温モニタリング

『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は、「ME機器の特徴と体温モニタリング」について解説します。

礒崎裕子
青梅市立総合病院救命救急センター集中治療室 看護師

河西克介
青梅市立総合病院 救急科部長

 

 

 

Key point
  • 冷却装置の特徴を理解するとともに、体温モニタリングも重要である。

 

 

低体温療法における冷却方法

低体温療法における冷却方法は、冷却輸液や血管内冷却装置、人工心肺(percutaneous cardiopulmonary support:PCPS)、表面冷却(水循環ゲルパッド、水循環ブランケット)などがある(表1)。

 

表1冷却方法の特徴

低体温療法における冷却方法の特徴

 

冷却装置の特徴

急速に冷却でき、臓器特異的に冷却可能で、持ち運びに便利で蘇生中にも使用できる冷却装置が理想的である。水循環ブランケットは入手しやすく操作が容易であるため、多く用いられている。

 

しかし、冷却速度は遅く、体温の維持管理には熟練を要する。多く用いられている水循環ブランケットでは、ブランケットマットの水流が妨げられないようマットの屈曲に注意し、設定温と誤差がないかマットを実際に触って確認するなど、冷却を効果的に行うための管理をしなければならない。

 

 

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体温モニタリング

低体温療法を行う場合、冷却方法だけでなく体温モニタリングも重要で、食道温・膀胱温・直腸温・肺動脈温・鼓膜温など、いくつかの部位で体温の連続モニタリングも行われる。

 

医師の指示に準じた指標体温の変化とともに、各部位の温度変化を素早くとらえることも体温管理では重要になる。

 

1膀胱温・直腸温

膀胱温と直腸温は深部体温を反映するのに時間がかかり、直腸温は便中にプローベが挿入されると通常より値が低めに出てしまい、膀胱温は尿量によって値が大きく変化するため信頼性が高くない。

当センターでは、低体温療法の体温モニタリングは、膀胱温が用いられており、機械に接続し体温を常時モニタリングしている。

 

2腋窩温・鼓膜温

腋窩温は表面冷却を行う場合は適しておらず、患者の体位や温度が変化するため信頼性に欠ける。

 

3肺動脈温

スワン-ガンツカテーテルは、血行動態モニターとして必要とされており、肺動脈温は深部体温を反映するためのモニタリングとして多く用いられる。

 

 

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重症患者の体温測定法

欧米のガイドラインでは、血液温度、直腸温度、食道温度、膀胱温度が中核温をより正確に反映しているとし、その使用を推奨している。

 

一方、鼓膜温度、腋窩温度、末梢血管温度は信頼性が低く、重症患者での使用は推奨されていない。膀胱温度は、膀胱留置カテーテルを挿入する患者のほぼすべてに留置可能であり、正確性が高いため、重症患者での体温測定に適している(表2)。

 

表2重症患者の体温測定方法

重症患者の体温測定方法

 


 

本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版

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