ICUにおける体温管理療法とは
『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は、「ICUにおける体温管理療法」について解説します。
礒崎裕子
青梅市立総合病院救命救急センター集中治療室 看護師
河西克介
青梅市立総合病院 救急科部長
Key point
- 体温管理療法は高体温を回避することで脳障害の進行を防ぐことに加え、中枢神経の保護作用を期待する治療法である。
体温管理療法の目的
体温管理療法(TTM: targeted temperature management) は、 いわゆる低体温療法(therapeutic hypothermia)と平熱療法/常温療法(anti-hyperthermia/induced normothermia)を含み、高体温を回避することで脳障害の進行を防ぐことに加え、中枢神経の保護作用を期待する治療法である1)。
低体温の分類を表1に示す。
表1低体温分類

その目的は、自己心拍再開後の昏睡状態や頭部外傷において脳の虚血領域やその周辺での神経細胞の損傷や脳浮腫などを防ぐために行う。
- 再灌流障害を防止する。
- 脳代謝を抑制し、酸素消費量を減らす。
- 脳内のカルシウムの恒常性を改善することにより脳神経障害を軽減する。
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体温管理療法の適応
外傷、蘇生後や心室細動など不整脈による心停止の患者に適応する(表2)。
また、頭蓋内出血、妊婦、重篤な敗血症の患者などの場合は適応外である。
表2心肺蘇生後患者における低体温療法の適応と除外項目

引用・参考文献 閉じる
1 ) 山下進、黒田泰弘:特集・神経集中治療,体温管理,Intensivist19,2013,5(3):603-613
本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版


