越えてしまった一線|マンガ・ママナースもも子の今日もバタバタ日誌(30)

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浜田師長のいじめに追いつめられた星川さん。子どもに当たるようになってしまい、ついには…

星川さんの話を聞きながらもも子は、『追いつめられていく過程があるあるすぎる…私もこうなるところだったかも…。』と恐ろしくなりました。星川さんは、「だんだんと暴言を吐いたり物に当たるようになって…。」と過去話を続けます。娘に対して「だからあんたはだめなのよ!何度言ったらわかるの!」と言葉強めに叱っていることに星川さんの夫が気がつきました。

見かねた夫に「おいっこの頃子どもへの言い方きつくないか?もっと優しくしろよナースのくせに。」と言われると、星川さんはムッとして、「ナースだってひどいこと言う人いるわよ…!でも誰もかばってくれないのよ!子どもは守ってもらえていいよね!」と泣きながら訴えました。毎日険悪で、クタクタで結婚も仕事ももう色々辞めたくなっていたある日…娘が「ほいくえんに行きたくない」とぐずったことにイラついてしまいます。

むりやり娘の腕を引こうとした星川さんの手を振りほどき「ママ嫌い!ママいやもん!」と娘は、泣きながら反抗しました。星川さんは娘から言われた言葉のショックと絶望とやり切れなさで頭の中がパニックになり、気がついたら娘の頬を叩いてしまっていました。

「ママイヤ!ママ嫌い!」と大きな声で泣く娘。星川さんは、娘を叩いてしまったことに自ら動揺して『とうとういっちゃいけないところまできてる…どうしよう私』と不安にかられました。するとベランダに何故か一匹の猫がいて、泣いていた娘も猫を見つけて泣き止みました。

猫を見つめながら、「かわいいー」と娘がつぶやきます。星川さんがその様子をただ黙って見ていると、娘は振り向いて「ねっママ」と涙を流しながらもニコッと笑顔で言いました。娘の笑顔を見た星川さんも涙を流して、「…うん…かわいいね…。」と言いました。

娘の笑顔をただただ守りたかっただけなのに、いつのまにか叩くようになってしまった自分の愚かさに気がついた星川さんは、「ごめんね、ひどいママだったね…」と自分のしてしまったことを娘に謝り、仕事を辞めようと決断したのでした。もも子に過去の経緯を語っていた星川さんが、「ちなみに猫はそれからどこかに行っちゃって、今でも何だったんだろうとフシギだったの。」と話し終えると、「きっと神様が見かねて助けたんじゃ、と思う私はお子様かな?」と涙をためながら思うもも子なのでした。

 


【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

 

看護roo!での連載に、「ブランク16年の私が看護師に復帰した話」「おうちで死にたい~訪問看護の現場から~」「モンスター患者~みんなが困り果てた金田さんのこと~」。
 

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