「今の職場を辞めたい…。でも、どうしたらスムーズに退職できるの?」

そんな看護師さんに向けて、退職前に知っておきたい看護師の退職事情退職するときの流れ気をつけたいトラブルなどについて、まるっと解説します。

目次

退職する看護師はどれくらい?よくある退職理由

毎年10人に1人の看護師が退職している

日本看護協会の「病院看護実態調査」によると、看護師の離職率はここ数年、11%前後で推移しています。毎年10人に1人の看護師が退職していることになります(※)。

※看護師のほか、保健師・助産師・准看護師を含む

また、同じく日看協の「看護職員実態調査」によると、転職経験のある看護師は全体で約半数

年代別に見ると20代で約2割、30代で約5割、40代で約6割と、看護師にとって退職(転職)は、決して珍しいことではありません。

年代別・転職経験のある看護師の割合/20代 18.4%、30代 46.5%、40代 61.6%、50代 67.3%、60歳以上 68.3%、平均50.5%…約半数の看護師が「転職経験あり」

退職理由は忙しさや給料の低さ

看護roo!が調査した看護師の退職理由ランキングは、下記の通り。

忙しさやプレッシャーそれに見合わない給料・ボーナスを理由に退職している人が多いようです。

必ずしもポジティブな理由で退職している人ばかりではないので、「不満を理由に辞めていいのかな…?」と心配する必要はありません。

看護師によくある退職理由/1位:業務量が多く、残業しがちだった、2位:給料・ボーナスが低かった、3位:責任感やプレッシャーがキツかった、4位:先輩や上司が怖かった、5位:夜勤がキツかった、6位:考え方や看護観が合わなかった、7位:他の施設や診療科に興味が湧いた、8位:パワハラ・いじめを受けていた、9位:休みが取れなかった、10位:より高度なスキルを身に付けたいと思った

看護師の退職の流れ|いつ何をする?

トラブルなく退職するために、まずは退職の流れを知っておきましょう。看護師が退職する場合、一般的には下記のような流れになります。

看護師の退職の流れ6つのステップ/ステップ1:就業規則を確認する、ステップ2:退職の意思を伝える、ステップ3:退職日を調整する、ステップ4:退職届を提出する、ステップ5:引き継ぎをする、ステップ6:退職

どんなタイミングで何をする必要があるのか、一つずつ確認していきましょう。

1就業規則を確認する

退職を考えたら、まずは就業規則を確認します。

退職の際は「2カ月前」「3カ月前」までに申し出るよう定められている場合、その期限までに退職の意思を伝えましょう

法律では「退職の申し出から2週間で退職が成立する」とされていますが、職場への影響を考えると、現実的な辞め方ではありません。

早め早めに意思を伝えることが、円満退職への第一歩です。

2上司に退職の意思を伝える

就業規則で定められた期限までに、退職したいという意思を師長・看護部長などの直属の上司に伝えます

定期的に意向調査があるならその機会に伝えられるのがベターですが、すでに転職先が決まっている場合、できるだけ早く伝えるようにしましょう。

上司への退職意思の伝え方のポイントは「強い意思で引き止めにくい退職理由を伝える」で解説します。

3退職日の調整をする

上司に退職意思を伝え、無事に承諾してもらえたら、具体的な退職日を決めます。ずるずると引き延ばされないよう、退職日の希望ははっきりと伝えましょう

ただし、実際の退職日は担当業務の引き継ぎ期間、有給休暇の消化の有無、職場の人員計画などを考慮して決まります。

こちらの希望は伝えた上で、上司と面談・相談しながらできる範囲で調整できると良いでしょう。

4退職届を提出する

退職日が確定したら、退職届を提出します。職場で用意されているフォーマットがあればそれを使用し、なければ自分で作成します。

退職届の書き方や提出方法について、くわしくは下記の記事を参考にしてください。

5引き継ぎを行う

退職届を提出できたら、自分が辞めても業務に支障が出ないよう、引き継ぎを行います

必要に応じて資料を作成するなど、後任のスタッフへの気遣いが大切です。

場合によってはこのタイミングで、余った有給休暇を消化することもあります

6退職日

退職日当日は忙しい時間帯を避け、お世話になったスタッフや患者さんに挨拶をします。当日シフトが被らない人には、事前に挨拶を済ませておきましょう。

退職時に菓子折りを用意する文化がある場合、一言メッセージを添え、ナースステーションや休憩室などに置いて帰ると良いでしょう。

退職日の挨拶の例文や注意点については、下記の記事も参考にしてみてください。

退職の挨拶をして送り出される看護師

退職にはさまざまな事務手続きも必要

退職・転職には、社会保険や税金などの事務手続きも必要です。

転職先が決まっていて、退職日の翌日に入職する(離職期間がない)場合、基本的には転職先の担当者が諸々の手続きをしてくれます

手続きがスムーズに進むよう、書類の提出期限は守りましょう。

一方、転職先が決まっていても、退職日から入職日まで間がある場合や、すぐに働かず一度離職する場合、主に下記のような手続きが必要になります

〈離職する場合に必要な手続き例〉

  • 失業給付の申請
  • 健康保険の切り替え
  • 年金の切り替え
  • 住民税の支払い
  • 確定申告

退職・転職時に必要な事務手続きについては、下記の記事も参考にしてみてください。

円満に退職するためのコツ4つ

看護師が円満退職するためには、4つのコツがあります。

スムーズに辞めるために!看護師の円満退職のコツ4つ/1 :退職時期に配慮する、2:強い気持ちでハッキリと、3:奨学金の規約を確認、4:「辞めた先輩」を参考に

1退職の時期に配慮する

円満退職の1つ目のコツは、退職する時期に配慮すること。

一年のうち、退職を受け入れてもらいやすい時期と、そうでない時期があります。

年度末や1月・7月のボーナス支給後のタイミングは、もともと退職者が多く、病院側もそれを見越しているため、退職を受け入れてもらいやすいでしょう。

一方、GWやお盆、年末年始などの長期休暇の時期は人手不足でシフトが組みづらく、退職者が出たときの影響が大きいため、避けた方が無難です。

2強い意思で引き止めにくい退職理由を伝える

円満退職2つ目のコツは、上司に申し出る際に「退職する意思は固まっています」と、毅然とした態度で強い意思を伝えること。

「辞めようか悩んでいて…」などと迷っている素振りを見せると、引き止められてしまうリスクがあるからです。

また、伝える退職理由は「引き止めの余地がない」内容を伝えるのが鉄則。具体例としては、家庭の事情今の職場にはない領域へのチャレンジ転職先がすでに決まっている…などがあります。

一方、待遇への不満や人間関係の悩みは「給与をアップするから」「他病棟に異動させるから」など、引き止めの材料になりやすいでしょう。

退職時、さまざまな形で引き止めにあう看護師

退職理由の伝え方、例文3つ

よくある3つの退職理由について、伝え方の例文を紹介します。実際に上司に伝えるときのイメージを持っておきましょう。

キャリアアップ・他分野への関心

これまで慢性期の患者さんを多く見てきた中で、患者さんが最期まで自分らしくいられる環境づくりの大切さを感じてきました。

これまで以上に患者さんの一人ひとりの生活を第一に考えられる訪問看護に挑戦したいと考え、退職を決めました。

Point!

  • 目指したいことやなりたい姿を具体的に示す
  • 今の職場では叶わない希望を伝える
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育児

日頃より時短勤務や夜勤免除などのご配慮をいただき、誠にありがとうございます。

自分なりに仕事と子育てを両立しようと努力を続けてきましたが、どうしても体力が続かず、これ以上皆さまにご迷惑をかけるわけにもいきませんし、子どもがもう少し大きくなるまでは育児に専念したく、退職を考えております。

Point!

  • 受け入れやすい退職理由なので、基本的には正直に伝えてOK
  • 辞める前に部署異動や時短勤務などで配慮してもらっていた場合、感謝の気持ちと「それでも両立は難しかった」旨を伝える
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人間関係

病棟の人間関係が複雑で、仕事をしていく上で困難を感じていました。

私なりに努力を重ねる中で看護への思いを見つめ直した結果、以前から関心のあった◯◯領域に挑戦したいという思いが強くなったため、退職させていただきたいと思います。

Point!

  • 不満を感情的にぶつけるのはNG
  • あくまで退職のきっかけとして軽く触れる程度に留め、メインの退職理由は別で伝えるのが無難
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そのほかの退職理由の伝え方・例文については、下記の記事も参考にしてみてください。

3奨学金の規約は事前にチェックする

3つ目の円満退職のコツは、奨学金の返済に関する規約を改めて確認しておくことです。

いわゆる「お礼奉公」の期間中に退職すると、「お礼奉公の期間は退職できない」「途中での退職は違約金が発生する」などと言われ、退職を引き止められることがあります

こうした引き止めは労働基準法違反なので、退職すること自体は可能です。

ただ、奨学金の返還義務そのものがなくなるわけではありません。返済期間が残っている場合、退職時にまとまったお金が必要になるため、注意しましょう。

そのほか、よくある退職トラブルについては「事前にチェック!よくある退職トラブル」で解説しています。

4「辞めた先輩」を参考にする

円満退職のための4つ目のコツは、周りの「辞めた先輩」を参考にすること。

初めての退職は何をどうしたらいいかわからないもの。身近に辞めた先輩や同期がいれば、参考にしたり連絡を取って話を聞いてみたりするのもオススメです。

上司に切り出したタイミングや伝え方、どんな退職理由を伝えたか、引き止めにあったか・どうやって切り抜けたかなど、気になることを聞いてみましょう。

当時と状況が変わっていることもありますが、病院の慣例や具体的なイメージを知ることができます

退職について元同僚に相談する看護師

事前にチェック!よくある退職トラブル

職場の状況や雰囲気によっては、退職時に思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことも…。

万が一そのような事態になっても慌てないよう、よくある退職トラブルと対処法を事前に知っておきましょう。

引き止められた!辞めさせてもらえない…

 

退職交渉している看護師とその話を苦い顔で聞く師長のイラスト

人手不足の職場では、上司に退職したいと伝えても、強く引き止められたり、話をはぐらかされたりして、なかなか退職の話が進まないことも。

そんなときは、下記のような対応を上から順番に検討しましょう

〈引き止めに対する対処法〉

  • 退職の進捗について、繰り返し上司に確認する
  • 上司に「看護部長に直接伝えます」と言う
  • 上司に「労働基準監督署に相談します」と言う
  • 退職届を退職日の2週間前までに提出する

まずは上司に、退職の話がどこまで進んでいるかを繰り返し確認します。

そうしてプレッシャーをかけつつ、さらに上の上司の名前を出したり、労基署を引き合いに出したりすることで、退職の話が前に進むことがあります。

それでも難しそうなら、退職届を内容証明郵便で提出するという最終手段もあります。

内容証明郵便とは、郵便局がいつ誰に何を送ったかを証明してくれるオプションサービス。退職意思を示した証拠になり、職場に到着してから2週間で法的に退職が成立します。

ただし、これは退職の意思を一方的に突きつける形になるため、基本的にはNG。病院側が違法な引き止めをしてくる場合など、使用する場面は限られます

有給休暇を消化させてもらえない

有給消化を拒否される看護師

有給休暇が残っている場合、退職日までに消化させてもらえるのが一般的。しかし職場によっては「辞めるなら休まず、ギリギリまでシフトに入って欲しい」などと言われるケースもあります。

直属の上司に取り合ってもらえない場合、さらに上の上司に交渉してみましょう。法律上、病院側は労働者の有給申請を拒否することはできません。

とはいえ、まとまった休暇を取ることで周りに負担をかけてしまうことも事実。年末年始や夏季休暇など、スタッフが少ない時期を避けるなど、周りのスタッフに配慮することが、円満退職につながります。

奨学金の一括返済を求められた!

奨学金の一括返済を求められた場合、その必要があるかどうかは奨学金についての契約内容によります。まずは契約書を確認しましょう。

仮に奨学金を返済することになっても、上乗せで違約金の支払いを命じることは法的に禁止されているので、指示されるまま払ってしまわないように注意しましょう。

この他にもさまざまな退職トラブルが考えられますので、下記の記事から一通りおさえておきましょう。

キャリアパートナー

退職する場合、次の職場を退職前に決めておくのがオススメです。

まだ転職活動のイメージがついていない方は、まずは下記の記事から転職の流れ・やるべきことを確認してみましょう。

何かわからないことや困ったことがあれば、いつでも看護roo!転職にご相談くださいね。

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