看護師は離職率が高いと言われますが、実際はどのくらいなのでしょうか? 最新データと離職理由について見てみます。

【看護師の離職率は?】全体の平均は11%・新卒の平均は7.5%・小さい病院の方が高め

看護師の離職率

まずは、看護師全体の離職率について見てみましょう。

病院看護師の離職率 平均は約11%

日本看護協会が全国の病院を対象に行った調査によると、2017年度の看護師の離職率は平均で10.9%でした。

ここ数年は10~11%で横ばいの傾向です。

【看護師の離職率】の折れ線グラフ。以下、年:看護師平均(%):全職種平均(%)。2013:11.0:12.4・2014:10.8:12.2・2015:10.9:11.8・2016:10.9:11.4・2017:10.9:11.6。看護師の離職率は約11%

1年間におよそ10人に1人の看護師が病院を辞めている、ということになりますね。

ちなみに、2017年の全職種の平均離職率は11.6%でした(パートタイム労働者を除く)。

「看護師=離職率が高い」というイメージがありますが、実は、特別高いわけではないことがわかります。

離職率が高い病院の特徴

離職率の高い病院・低い病院には、いくつかの傾向があります。

1小さい病院ほど離職率は高い

病床規模の小さい病院ほど離職率が高い傾向があります。

【病床規模別看護師の離職率】の棒グラフ。病床規模が小さいほど離職率が高いことがわかる。

200床未満の小規模病院では、入職後の教育・研修体制が大病院ほど手厚くない場合もあり、給与などの待遇面でも不満を感じやすいことが離職につながっているとみられます。

2国公立病院より民間病院の方が離職率が高い

国公立病院か民間病院かによっても離職率に差があります。

例年の傾向からみると、病院の離職率は、自治体病院や日赤などの公的病院で低め医療法人や個人病院など民間病院で高めのようです。

【設置主体別看護師の離職率】の表。以下、主体:2017年(%):2018年(%)。国立:10.2:9.9・独立行政法人国立病院機構:10.4:9.6・国立大学法人:9.7:10.0・公立・7.7:7.9・都道府県、市町村:7.2:7.5・地方独立行政法人:9.5:9.1・日本赤十字:8.5:8.4・済生会:11.2:10.9・厚生農業協同組合連合会:9.2:8.6・社会保険関係団体:11.9:11.6・公益社団法人、公益財団法人:11.7:11.6・私立学校法人:12.5:12.0・医療法人:13.4:13.6・社会福祉法人:12.1:12.6・医療生協:11.2:11.5・会社:10.2:9.6・そのた法人:12.2:12.2・個人:13.1:14.2

2017年度の離職率をみると、高い順に「医療法人」(13.4%)、「個人」(13.1%)、「私立学校法人」(12.5%)となっています。

一方、離職率が低いのは「都道府県・市町村」(7.2%)、「日本赤十字社」(8.5%)、「厚生農業協同組合連合会」(9.2%)でした。

民間病院は都市部に多く、次の転職先が見つかりやすいことも影響しているでしょう。

新卒看護師の離職率

厳しい看護実習や国試を乗り越え、晴れて看護師として働き始めたものの、理想と現実のギャップに悩み、退職を考える新卒看護師も少なくありません。

1年目で離職する看護師は7.5%

日本看護協会の全国調査によると、2017年度の新卒看護師の離職率は7.5%でした。

全体の離職率と同じく、こちらも横ばいが続いています。

【新卒看護師の離職率】の折れ線グラフ。以下、年度:看護師(%):大卒全職種(%):短大等卒全職種(%)。2013:7.5:12.8:18.9・2014:7.5:12.3:18.3・2015:7.8:11.9:18.1・20167.6:11.4:17.5・2017:7.5:11.6:17.7。新卒看護師の離職率は7.5%。

病院に入職した新卒ナース20人のうち、1~2人は1年以内に辞めているということになります。

「1年目で辞めちゃうなんてダメかな…」「新卒なのにすぐ辞める人なんていないよね…」と考える人は多いと思いますが、新卒でも毎年、一定の人数が離職しているんですね。

ただ、全職種の新卒者の離職率と比べると、看護師は少なめ。

看護師は、一定期間勤務すると返還が免除される奨学金を利用する人が多いことが影響しています。

1年目の離職率が高い病院の特徴は?

新卒ナースの場合も全体の傾向と同じく、「病床規模が小さいほど離職率が高い」「公的病院より民間病院のほうが離職率が高い」傾向です。

中でも、新卒ナースの場合は、国立病院(国立病院機構や国立大学法人など)の離職率が目立って低いのが特徴的です。

【病床規模別新卒看護師の離職率】の棒グラフ。

【設置主体別新卒看護師の離職率】の表。以下、主体:2017年(%):2018年(%)。 国立:6.3%:5.9%・独立行政法人国立病院機構:7.5%:5.8%・国立大学法人:4.5%:5.9%・公立:7.1%:7.4%・都道府県・市町村:6.8%:6.8%・地方独立行政法人:7.6%:8.6%・日本赤十字社:6.3%:6.7%・済生会:10.0%:9.1%・厚生農業協同組合連合会:5.8%:5.0・社会保険関係団体:9.0%:11.0%・公益社団法人・公益財団法人:10.6%:10.0%・私立学校法人:7.3%:6.6%・医療法人:8.6%:9.2%・社会福祉法人:6.9%:9.5%:医療生協・5.6%:10.8%・会社:7.6%:7.8%・その他法人:9.3%:7.0%・個人:11.1%:10.0%

都道府県別 看護師の離職率

離職率には「次の就職先が見つかりやすいか」など、地域の事情も影響します。

都道府県別の離職率を見てみましょう。

全国

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。全国:10.9:7.5

北海道・東北

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。北海道:11.4:5.4。青森:7.7:10.8。岩手:7.3:6.2。宮城:9.4:7.5。秋田:6.5:3.4。山形:6.7:2.8。福島:7.5:5.1。

関東

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。茨城:10.5:7.7。栃木:9.6:9.8。群馬:8.1:7.4。埼玉:11.6:6.8.千葉:11.7:5.8.東京:14.5:8.5。神奈川:13.4:8.4.

北陸・甲信越

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。新潟:7.4:5.0・富山:6.9:4.3・石川:7.3:6.0・福井:7.5:3.0・山梨:8.9:5.1・長野:10.2:4.8

東海

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。岐阜:9.9:7.8・静岡:10.0:6.5・愛知:11.7:6.8・三重:10.4:4.4

関西

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。滋賀:10.6:11.0・京都:13.0:6.7・大阪:12.9:9.8・兵庫:12.4:8.9・なら:12.7:7.5・和歌山:9.2:7.2

中国

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。鳥取:8.8:4.3・島根:7.9:4.5・岡山:10.2:7.5・広島:10.3:9.9・山口:9.6:9.6

四国

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。徳島:6.6:9.5・香川:9.1:11.4・愛媛:9.1:8.8・高知:8.3:8.3

九州・沖縄

都道府県別新卒看護師の離職率(2017年)。以下、県:全体平均(%):新卒平均(%)。福岡:10.9:8.2・佐賀:8.0:5.7・長崎:8.5:6.1・熊本:9.1:7.6・大分:8.2:9.8・宮崎:9.6:9.4・鹿児島:13.4:5.0・沖縄:9.6:4.8

看護師全体の離職率を見ると、最も高い東京(14.5%)をはじめ、大都市圏で高い傾向がみられます。

一方、新卒の場合、大きい傾向としてはやはり都市部が高いものの、上位に香川(11.4%)、滋賀(11.0%)、青森(10.8%)が入るなど、調査年によってばらつきもあるようです。

看護師が離職する4つの理由

看護師が病院を辞めるのには、主に4つの理由が挙げられます。

【看護師が離職する4つの理由】勤務環境に不満がある・人間関係がしんどい・結婚、出産で続けられない・スキル・キャリアアップしたい

勤務環境に不満がある

前残業や後残業が当たり前で勤務時間が長い、夜勤の回数が多い、心身への負担が大きくボロボロ…など、過酷な勤務に離職を決意するケースが多いようです。

また、ハードワークのわりに給料が少ない、休みの日なのに院内の勉強会が多い、時間外手当がつかないなどの待遇面の不満も、離職のきっかけになります。

人間関係がしんどい

他の職種に比べ、看護師の場合、人間関係に疲れてしまったという人は多いでしょう。

看護師という命を預かる仕事の性質上、ミスに対するお互いの目が厳しくなりがち。

忙しさや疲れからか、コミュニケーションにも余裕がなくなって、人間関係のきしみを感じるような職場では、なかなか踏ん張りがききません。

「患者さんのために、もっと自分らしく働ける場所」を探そうと離職する人も多いようです。

結婚・出産で続けられない

看護師は圧倒的に女性が多い職業。結婚や出産・育児のライフイベントを迎える20~30代は、離職率も高まります。

最近は、希望通りに育児休暇を取得できたり、院内保育所を整備したりと、復帰をサポートする病院が増えていますが、「子どもが小さいうちは復職しても夜勤ができないから」「しばらく育児に専念したい」などで、いったん看護の仕事から離れる選択をする人もいます。

スキルアップ、キャリアアップしたい

看護師はステップアップ・キャリアアップを目的とした離職が多いのも特徴です。

関心のある領域・業務に携われる病院で働いてみたい、教育・研修の体制が充実したところで認定看護師を目指したい、留学・進学したいなど、新たな成長を求めて離職する人が多いのは、資格職である看護師ならではかもしれません。

<データ参照>
日本看護協会「2018年病院看護実態調査
厚生労働省「雇用動向調査
厚生労働省「新規学卒者の離職状況

看護師の転職ガイド 転職活動がぐっと楽になる便利なガイド