介護士による医療行為|いまさら聞けない!ナースの常識【16】

毎日の業務の中で触れているけど、『いまさら聞けない』ことってありませんか?

知ってるつもりで実は説明できない基礎知識や、ちょっと気になるけど調べるほどでもないな、なんてこと。

そんな看護師の素朴な疑問を、元看護師ライターがこっそり教えます。

 


 

Vol.16 介護士による医療行為

2012年4月より、介護士による医療行為が解禁になった。今回の介護士による医療行為は大きく2つだが、今後は更に増えるかもしれない。また少子高齢化が加速する日本では、介護に関わる看護師もこれから増えることが予想されている。

その現状とあわせて、介護士による医療行為について考えてみよう。

 

法律改正までの流れ

2012年に法律改正された際、訪問看護ステーションや老人介護施設などで働いている看護師であれば「介護士による医療行為解禁」といわれて違和感を覚えたかもしれない。

 なぜなら、これまでも介護施設などでは、「当面のやむを得ない措置(実質的違法性阻却)」として、介護士など医療資格を持たないスタッフによる一部の医療行為が容認されていたからだ。

しかし、これは極端にいえば目をつぶっていただけのことであり「やはり違法にあたるのではないか」という議論が出始めた。

看護師不足の現状を考えると、実際の現場で医療行為を行えるのは医療者免許を持った医師や看護師だけ、という旧制度には無理があったといえるだろう。

その結果「介護職員等による医療行為の解禁」という流れになった。

 

介護職員等に解禁となった医療行為

法律改正によって解禁となったのは

 

●たんの吸引(口腔内と腔内・気管カニューレ内まで、咽頭内は禁止)

●経管栄養(瘻・腸瘻・経鼻経管栄養からの注入)  

 

の2つ。

これらの行為についても、介護士なら誰でも行ってよいわけではなく、認められるのは決められた研修(2種類)を受けて認定された介護士のみ。

 

さらに、「医師・看護職員と介護職員等との連携体制が確保されている場合に限り」と「本人(ご家族)の同意が必要」「医療者による監督の下」という条件がつく(図1)。

 

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | いまさら聞けない!ナースの常識16_介護士による医療行為

図1 医師・看護職員と介護士員等との連携体制

 

介護現場のイマ

ここで看護師が関わるのが「医療者の監督の下」というフレーズだ。

実際の要介護者への実地研修は、現実的には看護師の監督のもとで行われることになる。具体的な規定はないが、看護師自身が自分のやっていることを介護士に伝え教えること、介護士でもきちんとケアができるように環境や物品などを整えることが必要そうだ。

さらに万が一急変などがあった場合に緊急的に迅速な対応をすることも重要な仕事になるだろう。

つまり、「全てを任せる」ということはできない。

 

では現実的にはどうか。実際に老人介護施設で働く看護師数人に話をきいてみると、全員から「任せるなんて怖くてムリ!」という答えが返ってきた。

研修を受けた介護士もいるが、「現実的には、これまで医療行為の経験がないと考えると、任せるのはなかなか難しい。だから利用者に対して実地研修はしていない」という。

首都圏のいくつかの施設だけの話ではあるが、複数の施設でこのような現状があるのは事実だ。

 

老人介護施設など看護師が常に居る環境でもこのような状況であれば、在宅での要介護者への対応など看護師の眼が届かないところではもっと難しいかもしれない。在宅では要介護者だけではなく家族の目もある。

確かに看護師である自分が行かなくても介護士が代わりにケアを提供してくれるなら、看護師としてはもっと別のところで仕事ができる余裕が生まれるかもしれないが、全てを任せられるほどの連携はなかなか難しいのが現状のようだ。

 

看護師の役割とは?

ではどうすれば、この制度を活かして良いケアが提供できるだろうか。看護師としてできることを考えてみよう。

 

まず、介護士がどんな研修を受けて何が出来るかを知る必要がある。その上で誰のケアなら任せて良いかを見極め、対象となる要介護者や家族に説明し同意をとる。さらに実地研修を行う。ここまでが準備段階。

 

そこから実際に介護士が医療行為を行う運用をスタートしたとして、滞りなくケアが提供できていれば任せて良かったねとなるだろう。

しかし、例えば「今日は痰が絡んでいて上手く吸引できない」とか「経管栄養の回路の接続に失敗した」など予定通りのケアが出来なかった時や、「今日はいつもと様子が違う」というときはどうだろう。

 

老人介護施設など、同じ施設内に看護師が居る場合は比較的すぐに対応できそうだ。

しかし在宅の場合はそうもいかないことが多い。予定通りのケアが行えなかった時や急変した時に、誰がどう対応すべきかを、施設や事業所の状況に応じて明確にしておく必要がある。

 

安心・安全なケアを提供していくために、介護士・看護師だけでなく全てのスタッフがどう連携していくか。

まずはどんな環境や物品を整えればよいか、実際の要介護者への対応をどう伝えればよいかを、看護師としてさらに考えて行く必要があるだろう。

 

【岡部美由紀】

SNSシェア

コメント

0/100

仕事トップへ

掲示板でいま話題

他の話題を見る

アンケート受付中

他の本音アンケートを見る

今日の看護クイズ

本日の問題

◆災害看護の問題◆災害時、被災地域で精神科医療や精神保健活動の支援を行う専門家のチームを何と呼ぶでしょうか?

  1. HAZMAT
  2. DMAT
  3. DPAT
  4. JDA-DAT

1716人が挑戦!

解答してポイントをGET

ナースの給料明細

8172人の年収・手当公開中!

給料明細を検索