フットケア(看護技術)|いまさら聞けない!ナースの常識【14】

フットケアとは、足のケア全体の総称です。足の観察から、足浴、爪切り、胼胝や鶏眼のケア、マッサージ、保湿、創傷処置など、その内容はさまざまです。

 

フットケアの目的は、足病変の予防・早期発見により、足の健康を保ち、快適な日常生活を送れるように援助することです。

 

この記事では、フットケアの中でも一般病棟の看護師がよく行う内容について解説します。

 

監修:有阪光恵(東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科、診療看護師、医療フットケアスペシャリスト)

 

足浴の実践方法

足浴の実践方法。準備するもの…足浴用バケツ、お湯(38~39℃)、洗浄剤、適量の流し湯(38~40℃)、タオル、PPEを装着(マスク、手袋、エプロンまたはガウン、ゴーグルまたはフェイスシールド)。仰臥位の場合、防水シーツ、安楽枕、タオルケット。端座位の場合、背もたれのある座面の安定した椅子、膝掛け。手順1.患者説明。目的、方法、所要時間(20~30分)を説明する。手順2.体位変換など。端座位または仰臥位。仰臥位の場合は、患者の足元に防水シーツを敷いて膝を曲げ、ヒザ下に安楽枕を入れる。大腿、両膝をタオルケットでくるむと安定する。手順3.足をひたし、洗う。5~10分ほど両足をひたし温める。洗浄剤を使い、下腿から抹消へ向けて、足関節を支えながら片足ずつ優しく洗う。ガーゼや爪ブラシを使っても良い。患者さんの顔色、呼吸を確認しながら行う。垢は取りきらなくてOK。こすりすぎに注意しながら、5~10分でキリをつける。手順4.洗浄剤が残らないように、流し湯で流す。流し湯の温度はバケツ内より少し高めだと心地よい。手順5.拭く。水分の残りやすい足の指の間に注意しながら、タオルで水気を拭き取る。

詳しくは→足浴の準備・実施方法|動画でわかる看護技術|看護roo!

 

 

注意点

下記のような状態の患者さんに実施するときは、事前に医師に相談するなど、注意が必要です。

 

 発熱がある

 足に発赤、腫脹、硬結、熱感がある

 疼痛がある

 足の太さに左右差がある

 創傷がある

 

①~④の症状は蜂窩織炎や深部静脈血栓症(DVT)の疑いがあるため、特に注意する必要があります。

 

 

足浴の目的

足浴の目的は、おもに以下の3点です1)

 

 足部の清潔を保ち、爽快感を得る

 温熱刺激による、血液循環の促進、不眠や疼痛の緩和

 足部の圧迫・外傷による感染や壊死の予防

 

 

Point

昼夜逆転による不眠・せん妄・不穏など、精神的に不安定な患者さんに足浴を行うことで、リラックス効果が得られ、症状が安定することもあります2)

患者さんとのコミュニケーションの場としても有効です。

 

 

爪切りの実践方法

爪切りの実践方法。準備するもの…爪切り(ニッパー型でも平型でもOK)、爪やすりまたはグラインダー、清浄綿、ディスポシーツ・新聞紙など、PPEを装着(マスク、手袋、エプロンまたはガウン、ゴーグルまたはフェイスシールド)。手順1.患者説明。目的、方法、所要時間(約15~20分)を説明する。手順2.爪を切る。足の下にディスポシーツや新聞紙を敷き、足の指と同じ長さを目安に爪を切る。爪の先端は四角に。両角はやすりで少し丸めて残す。爪の白い部分は残ってOK。一度に切るのは3mmを目安に少しずつ。切った爪は散らかさないようにまとめる。手順3.やすりをかける。切り口をなめらかに整える。やすりは往復させず、一方向にかける。手順4.爪周りを拭き、ひっかかりチェック。やすりで出た粉を清浄綿で拭き取る。爪を触ってひっかかりがないか確認する。問題なければ、切った爪ややすりで出た粉ごとディスポシーツをまるめて捨てる。

詳しくは→フットケア(足病変の観察~爪切り)|動画でわかる看護技術|看護roo!

 

 

爪切りのコツ

ちょっとずつ切ろう

一度に切るのは3mmくらいを目安とし、少しずつ切ります。一気に切ってしまうと、爪が割れてしまったり、ヒビが入ってしまうおそれがあります。

 

やすりは一方向に!

爪やすりをかける際は、一方向にやすりを動かして軽く削ります。往復するようにかけたり、強い力を加えたりすると、爪の損傷の原因になります。

 

 

注意点

にならないよう注意!

爪の角は丸くせず、自然な四角形になるように、また、長さも切りすぎないように注意が必要です。

爪の角を切りすぎてしまったり、深爪になってしまったりすると、巻き爪、陥入爪、爪囲炎症などトラブルの原因となるリスクがあります。

 

 

爪切りの目的

爪切りの目的は、以下の2点です3)

 

 伸びた爪による受傷の防止

 足の清潔を保つ

 

 

Point

足のが指からはみ出して伸びている場合のみ、切りの適応となります。

爪先に白い部分があっても、指からはみ出していない場合は、適切な長さであるため、爪切りの必要はありません。

 

深爪になっておらず、かつ、まわりの指を傷つけないような長さであれば、適切な長さといえます。

 

保湿ケアの実践方法

保湿ケアの実践方法。準備するもの…保湿剤、PPEを装着(手袋)。手順1.患者説明。目的、方法、所要時間(約5~10分)を説明する。手順2.保湿剤を塗る。保湿剤を手の甲にとり、足の指は中枢から末梢に、足の甲・足の裏・下腿は末梢から中枢に、やさしくのばす。足の指の間には塗らない。軽くマッサージしながら塗っても良い。すりこまずまんべんなく伸ばす。痛みのある場所はないか、症状に変化はないかなど声をかけながら進める。保湿剤を1回に出す量の目安は、ワセリンなら500円玉大。乳液タイプなら1円玉大。足りなければ追加する。手順3.確認。塗りすぎまたは足りない部分はないか確認する。保湿剤を塗りすぎてベタベタしているときは、ティッシュをかぶせて押さえ、ゆっくりと剥がすとよい。

 

 

保湿ケアのコツ

すりこまない!

保湿剤はまんべんなく伸ばせていればOK。すりこむ必要はありません。

保湿剤の中でもワセリンは、そのままだと硬く伸びづらいです。塗布前に手のひらで温めると柔らかくなり、伸びがよくなります。

 

 

保湿ケアの目的

保湿ケアの目的は、以下の通りです。

 

 乾燥による皮膚のひび割れ・掻き傷などの予防

 上記創傷の悪化による足病変の予防

 

 

Point

足浴をした後は、必ず保湿ケアを行います。入浴、シャワー浴、清拭後の患者さんにも行うとよいでしょう。

 

 

糖尿病患者、透析患者、高齢患者のフットケア

糖尿病・透析・高齢患者は、足病変のリスクが高いといわれています。

 

それぞれの観察ポイントや、看護師にできるフットケアを、院内のフットケアチームでも活動している、医療フットケアスペシャリストの有阪光恵さんに聞きました。

 

糖尿病患者

糖尿病患者の足の観察ポイントは?

 

患者さんが「違和感はない」「大丈夫」と言っていても、実際に足を見てみることが重要です。

 

糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症を合併していると、末梢の神経障害や視力の低下により、痛みや異変を感じたり、目で見て気づくことが難しくなっているおそれがあります。

 

糖尿病患者さんの観察をするときは、以下の3つに注意しましょう。

 

 

①血管障害

糖尿病の合併症である「末梢動脈疾患(PAD)」により、足や足趾をはじめとした末梢の血流不足に陥るおそれがあります。

 

PADを合併している人は、血流不足による足病変を起こす可能性が高いです。

そのため、以下の3点に特に注意して観察します。

 

 足の色調

 冷感がないか

 足背動脈や後脛骨動脈が触知できるか

 

 

②神経障害

糖尿病の進行により、足など末梢から、痛みや違和感を知覚することができなくなっていきます

そのため、傷や変形などの異常に患者さん自身で気づくことができず、発見が遅れ、悪化するおそれがあります。

 

患者さん自身が異常に気づきづらいからこそ、看護師が注意して観察することで、異常の早期発見につながります。

 

 

③易感染性

高血糖により、皮膚の感染防御機能や創傷治癒力が低下することで、小さな傷から細菌が侵入した場合、感染が急速に拡大するおそれがあります。

 

靴ずれなどちょっとした傷でも急速に悪化してしまう場合もあるので、小さい傷でも見逃さないよう、足の指の間まで注意して観察します。

 

また、白癬・爪白癬が疑われる症状はないかどうかも、注意深く観察する必要があります。

 

易感染性により、白癬・爪白癬にかかりやすくなっているだけでなく、一度かかってしまうと治りづらく、悪化しやすい状態になっています。さらに、白癬によって生じた傷やびらんが、急速に悪化してしまうおそれもあります。

 


 

足病変がないか観察するときは、どんなところを見ればいい?

 

足を観察するときは、以下のチェックリストの項目を、左右の足を比べながら確認します。

チェックリストには、糖尿病患者だけでなく、すべての患者の確認で重要なポイントをまとめています。

観察の結果、異常を発見した場合は、医師に報告し、治療につなげましょう。

 

足病変を見逃さない!観察ポイントチェックリスト。創がないか。色調不良がないか。足背動脈、後脛骨動脈は触知できるか。発赤はないか。疼痛はないか。足の変形はないか。胼胝、鶏眼はないか。爪白癬、白線が疑われる症状(例:爪の混濁、爪の下の角質増殖、爪がもろく砕けやすい、かゆみ、皮剥け、水疱、足裏の乾燥、角質肥厚)はないかなど。症状があるときは、靴や生活習慣に原因がないか、症状の経過とともに確認。

 


 

糖尿病患者のフットケアで、看護師にできることは?

 

患者さんの疾患や足病変の有無にかかわらず、「自分の足を清潔にし、自分の足を見る」というセルフケアの習慣を、患者の生活の中に取り入れるサポートは、看護師の重要な役目です。

 

例えば、創ができてしまったけれど気がつかなかった糖尿病患者さんの場合、まずは糖尿病や、合併症である神経障害や網膜症について伝え、なぜ気づかなかったのか理解してもらうことが大切です。

同じことを繰り返さないためには何ができるのか、一緒に考えて指導する必要があります。

 

看護師ができる指導は、足の洗い方、爪の切り方、保湿の仕方など、たくさんあります。

目の見えづらい患者さんであったら、爪切りはご家族にやってもらえるよう、患者さんご家族に指導することもあるでしょう。

 

患者さんの生活にフットケアを取り入れられるような環境を作ることが、患者さんの足を守ることにつながります。

 


 

セルフケアができているかどうかを観察するときのポイントは?

 

セルフケアの状況を確認するときは、以下のチェックリストの項目を観察しています。

 

セルフケア度チェックリスト。保清、保湿の状況(入浴状況、回数など)。匂いはあるか。靴ずれ、ひび割れ、擦過創がないか。赤くなっているところはないか。胼胝、鶏眼、角質肥厚はないか。足趾の変形はないか。足趾同士の接触具合はどうか。足趾の間、爪周囲に創がないか。爪の状態、長さ、切り方。爪や爪周囲の汚れ具合。靴の状態(摩耗、汚染、履き方)。誰がケアをしているか。自分でどんなケアをしているか。

 

聞き取りによって得られる情報も多いので、目で見るだけでなく、患者さんに質問しながら観察します。

 

セルフケアが十分にできていない場合は、患者さんの生活の中で継続してケアができる方法を一緒に考えて、ケアの方法を指導しています。

 

 

透析患者

透析患者の足の観察ポイントは?

 

基本的な観察ポイントは、糖尿病患者さんと同じですが、透析患者さんの観察をするときは、以下の2つに注意しましょう。

 

 

①皮膚の乾燥

透析患者さんは皮膚の水分のコントロールがうまくできなくなっていることから、皮膚が乾燥している方が多いです。

 

乾燥からくるひび割れや亀裂などで悩んでいる患者さんも多いので、患者さんのお話を聞きつつ、乾燥しやすい踵などを重点的に確認します。

 

皮膚の乾燥は、乾燥→掻痒感→擦過創→潰瘍、という順に悪化していくため、予防的な観点として掻痒感の有無を確認するのも重要です。

 

また、足の保湿をする習慣がない患者さんも多いので、普段の保湿について聞いてみるのもよいでしょう。

 

 

②血流不足

透析患者さんは、血管の石灰化やそれによる動脈硬化症のため、末梢動脈疾患(PAD)を引き起こしやすくなっています。

そのため、血流不足による足病変が起こりやすく、治癒しづらい状態にあります。

 

ちょっとした小さな傷でも、足趾や足の切断につながるまで悪化してしまうこともあるため、見落とさないよう注意深く観察します。

 

 

高齢患者

高齢患者の足の観察ポイントは?

 

高齢者の6割以上が、足に何らかのトラブルを抱えているといわれていますが、体感では8割以上だと感じています。そのため、「高齢患者さんは足にトラブルがある」という前提で観察するようにしています。

 

観察の際に見るべきポイントは糖尿病患者さんと同じですが、高齢患者さんの観察をするときは、特に以下の3つに注意しましょう。

 

 

①運動機会の減少、セルフケア不足

加齢に伴い、バランス感覚や運動機能だけでなく、筋力、握力、手先の器用さ、視力などが失われていきます。

それにより、運動の機会や頻度が減ったりセルフケアが困難になったりすることで、足のトラブルにつながりやすくなっています。

 

セルフケア能力が低下すると、患者さん自身で異常に気づくことも難しくなります。そのため、看護師が注意深く観察して、早期に異常を発見することが重要です。

 

 

②痛みによる「歩く意欲」の低下

痛みから歩く意欲が低下することで、爪や足の変形につながりやすく、さらに痛みをかばって歩くことで、それらがより悪化しているおそれもあります。

そのため、爪や足の形を重点的に確認しています。

 

 

③足のトラブルによるADL低下、転倒リスクの上昇

痛みや変形などの足のトラブルによって、立ち歩きが難しくなり、ADLが低下する要因になっていないかを注意深く観察しています。

 

また、足のトラブルにより立ち歩きの機会が減ることで、下肢筋力が低下し、転倒リスクが高くなるという報告もあります。

足のトラブルの早期発見や予防は、健康寿命を延ばすことへもつながります。

 

 

まとめ

フットケアは、足病変の予防・早期発見にも、患者さんのリラックスやセルフケア意識の向上にもつながります。

患者さんの足の健康をまもるために、参考にしてください。

 

看護roo!編集部 光松瞳

 

監修

東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科、診療看護師、医療フットケアスペシャリスト。日本フットケア・足病医学会、日本NP学会所属。クリティカル分野のスペシャリストとして、講演、論文執筆など幅広く活動。

※編集部注※

当記事は、2013年5月22日に公開した『フットケア|いまさら聞けない!ナースの常識【14】』という記事を、2022年6月29日に修正・加筆したものです。

 

引用文献

 

参考文献

  • 西田壽代他.はじめよう!フットケア,日本看護協会出版会,2013
  • 一般社団法人日本フットケア学会編.フットケアと足病変治療ガイドブック.医学書院,2021
  • 中村秀敏,西田壽代編.透析室のフットケア.メディカ出版,2020
  • 茂野香おる:足浴とフットケア.任和子 著者代表.系統看護学講座 専門分野Ⅰ[3]基礎看護技術Ⅱ 第17版.医学書院,2021
  • 川島悠監.看護がみえるvol.1 基礎看護技術第1版,メディックメディア,2021
  • 中西健史.はじめてのフットケア.メディカ出版,2020
  • 山内光子.糖尿病ケア+(プラス)2020年12月号ーコマ送り手技写真と症例で足を守る!ナース&患者のための糖尿病フットケアー.メディカ出版,2020
  • 川崎富夫.4.DVTの病態と臨床ーDVTの診断,治療についてー.血栓止血誌19(1):18-21,2008(2022-0628アクセス)
  • 川島眞,秋葉隆,新田孝作.透析患者にみられる皮膚症状ー特にドライスキンについてー.腎と透析,2013
  • 山下和彦.高齢者の足部・足爪異常による転倒への影響.電学論C,124巻10号,2004(2022-0628アクセス)

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