最終更新日 2018/03/13

種痘

種痘とは・・・

種痘(しゅとう、smallpox vaccination)とは、天然痘の予防接種であり、人類初のワクチンである。

天然痘とは、天然痘ウイルスを病原体とするウイルス感染症の一つであり、1980年にWHO(世界保健機関)にて世界根絶宣言がなされている。天然痘は非常に伝染力が強く、死に至る疫病として人々から恐れられてきた。古来より、天然痘患者の膿を健康な人に摂取し、軽度の天然痘の感染を起こして免疫を得る方法がとられていたが、中には重症化して死亡するケースもあり安全性に問題があった。

1790年、日本では九州の秋月藩で藩医をつとめた緒方春朔が、天然痘のかさぶたを粉末状にしたものを腔から吸引させる方法、鼻乾苗法を考案した。この方法は成功を見せ、諸藩の藩医を中心に広まりをみせた。

その6年後の1796年、イギリスではエドワード・ジェンナー医師が、牛が感染する牛痘に感染した人間は天然痘に感染しないことをヒントに、牛痘に罹患した患者の発疹内に含まれる膿を8歳の少年へ接種し、その後、天然痘の膿を接種しても天然痘を発症しないことを発見した。ジェンナーの種痘は、種痘を受けた人から人へ植え継がれ、ヨーロッパへ伝わった。

種痘の液を痘苗といい、1800年代に入り、何度か痘苗は日本へもたらされるも、すぐには広まることはなかった。1849年、オランダのモーニケ医師がもたらした痘苗をもとに、九州の大村藩で種痘が実施され、ようやく日本全国で普及した。

その後、1909年の『種痘法』によって日本国民に定着し、日本での天然痘の撲滅が確認された1976年以降、日本では基本的に種痘の接種は行われていない。現在は、バイオテロなどに備えて、国家の備蓄ワクチンとして保存されている。

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