最終更新日 2018/06/18

不妊症

不妊症とは・・・

不妊症(ふにんしょう、infertility)とは生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみないものをいう。この一定期間については、2年とされてきたが、最近では1年とされている。

一度も妊娠の成立を認めない場合は原発性不妊、過去に妊娠したことのある場合は続発性不妊という。

不妊症の場合は、原因の検索を行い、それに対する治療を行う。不妊の原因としては女性因子が約3分の1、男性因子が約3分の1、原因がはっきりしない機能性不妊が約3分の1といわれている。

 【女性因子】
排卵障害、卵管閉塞、着床障害、免疫因子、黄体機能不全などがある。
■排卵障害
排卵障害には、中枢性(視床下部・下垂体性)排卵障害、卵巣性排卵障害、高プロラクチン血症(乳汁漏出症)、多嚢胞性卵巣症候群などがある。
中枢性の排卵障害では、その障害部位によりクロミフェンや卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤を用い、排卵誘発を行う。卵巣性の排卵障害にはターナー症候群、早発閉経などがあり、排卵誘発は困難である。高プロラクチン血症では、下垂体プロラクチン産生腫瘍の場合は、ドーパミン作動薬あるいは手術(視野狭窄・頭痛などの症状がある場合、ドーパミン作動薬が無効な場合)、その他の場合はドーパミン作動薬を、薬剤性の場合は原因薬剤の中止を考慮する。多嚢胞性卵巣症候群ではクロミフェンやFSHによる排卵誘発を行い、それでも排卵が行われない場合は卵巣の腹腔鏡下多孔術を考慮する。
■卵管閉塞
卵管閉塞は子宮内膜症クラミジアなどの感染症などが原因で起こり、精子が卵子に到達できず受精ができないため、不妊となる。以前は卵管形成術などが行われたが、現在では主に体外受精が行われている。
■着床障害
着床障害としては、粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープなど形態異常によるもの、過去の手術や炎症などによる子宮内膜の癒着、ホルモン異常などがあり、器質的疾患は子宮鏡などを用いた外科的治療を行う。子宮内膜が薄く機能不全が疑われる場合は、卵胞ホルモンの補充など薬物療法を考慮する。
■免疫因子
免疫因子としては、抗精子抗体があり、この抗体により精子の運動能や受精能が障害され、不妊の原因となる。軽度な場合は人工授精、高度な場合は体外受精の適応となる。
■黄体機能不全
黄体機能不全は、排卵後に形成される黄体からのホルモンの分泌不全で黄体期の短縮(基礎体温上10日未満の高温期の短縮)などを認める。黄体ホルモンは妊娠の成立・維持に必要なため、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)で黄体ホルモンの分泌刺激や黄体ホルモン剤を使用する。

【男性因子】
性交障害、逆行性射精、造精機能障害(乏精子症、無精子症)などがある。
性交障害や逆行性射精では、人工授精が適応になる。乏精子症では軽度であれば人工授精、高度であれば、体外受精あるいは顕微授精の適応となる。無精子症の場合、精巣内から精子が回収できれば顕微受精の適応となる。

【原因不明の不妊症(機能性不妊症)】
不妊の原因検索をしても明らかな原因がわからない場合、機能性不妊症という。排卵に合わせて性交渉のタイミングを指導し、妊娠に至らなければ、排卵誘発法、人工授精、体外受精とステップアップさせていく。

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