最終更新日 2018/02/02

12誘導心電図

12誘導心電図とは・・・

12誘導心電図(じゅうにゆうどうしんでんず)は、最も一般的に用いられる心電図の検査法である。

12誘導心電図検査の誘導法には肢誘導と胸部誘導があり、それぞれ4つの電極と6つの電極を使って記録する。肢誘導に用いる電極は4つだが、得られる波形は6つあり、胸部誘導と合わせて12の波形がある。得られた波形は、それぞれ心臓の一部の電気活動を反映している。

図1肢誘導の電極装着部

4つの肢誘導は、それぞれ以下の位置に電極を付ける。
・右手首に赤
・左手首に黄
・右足首に黒
・左足首に緑
手首や足首に付けられない場合や四肢の震えが強く波形が揺れる場合には、より近位の肘や上腕、膝や大腿に付けても波形に大きな変化はないとされる。
4つの電極で得られる波形は「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、aVR、aVL、aVF」の6つである。
 

図2胸部誘導の電極装着部

6つの胸部誘導は、それぞれ以下の位置に電極を付ける。
V1が第4肋間胸骨右縁で赤
V2が第4肋間胸骨左縁で黄
V3がV2とV4の中間点で緑
・V4が第5肋間と左鎖骨中線の交点で茶
V5がV4と同じ高さの水平線と左前腋窩線の交点で黒
V6がV4と同じ高さの水平線と左中腋窩線の交点で紫
語呂での覚え方は、関口くん(「せ(赤)き(黄)ぐ(グリーン)ち(茶色)く(黒)ん〈む〉(紫)」や秋実ちゃん国試(「あ(赤)き(黄)み(緑)ちゃ(茶)こく(黒)し(紫)」などがある。
第4肋間を見付けるには、胸骨角を目印にすると良い。胸骨角は胸の中央で鎖骨よりやや足側にある突起で、第2肋骨が付着する。胸骨角から指を左右にずらしてそこに付着している肋骨の下が第2肋間である。

Ⅰ誘導は右上肢から左上肢へ向かうベクトルの電気活動を心電図上に正の振幅として記録する。心臓の電気活動は右心房から左心室の方向、つまり右上肢から左下肢へ向かう方向へ流れるため、通常Ⅰ誘導のP波、QRS波、T波は全て上向きである。全てが下向きの場合には、電極の付け間違いか、右胸心である。緊急時以外で時間的余裕がある場合には電極を付ける場所はアルコール綿や濡れタオルで皮脂や水分をふき取る。また、記録の数秒間は大きな呼吸をしないよう、動かないように指示する。

 

執筆: 小森大輝

順天堂大学大学院医学研究科 総合診療科学大学院生

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