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2016年01月14日

患者負担が結局増える? 4月スタートの「患者申出療養制度」とは

2016年4月から「患者申出療養制度」がスタートします。患者の申し出によって先進医療と保険診療が併用できる新しい制度ですが、混合診療の解禁につながる心配はないのでしょうか? 新たに始まる患者申出療養制度のポイントをまとめました。

 

 

患者申出療養制度とは

患者申出療養制度は、患者が厚生労働大臣に申し出ることによって、まだ保険適応となっていない高度な医療を受けることができるようにする制度です。

 

日本では原則として、保険診療と自由診療を組み合わせた「混合診療」は禁止されています。一部でも自由診療が含まれる治療を受けると、その他の保険適応の治療費まで、患者は全額自己負担をしなければなりません。そのため、がん患者が国内未承認薬を使った治療をしたいと望めば、未承認薬を使った治療以外のすべての治療費を自己負担しなければなりませんでした。

 

問題点がたくさん! これまでの先進医療制度

こうした問題を解消するための制度として、すでに「評価療養に先進医療を含める」とする評価療養制度があります。保険適応の治療部分については保険でまかなわれ、その上で先進医療の部分のみ、患者が全額自費で支払うことを認めた制度です。

 

ちなみに先進医療とは、陽子線治療や重粒子線治療、遺伝子解析・診断など厚労省が定めたもので、2015年12月現在で108種類あります。

この制度を使えば、健康保険と併用して高度医療を受けることができます。しかし、例えば陽子線治療を実施できるのは全国でたった10施設など、対象の医療機関が限られている上に、申請から実施までの時間が非常に長いなどの問題点がありました。

 

新たにスタートする患者申出療養制度は、こうした課題の改善を目指した制度です。評価療養制度とは別に、新たな枠組みとして設けられました。

 

新たな患者申出療養制度のポイント2つ

●ポイント1:申請から実施まで「原則6週間」―実施までが早い

新たな制度を使えば、評価療養制度では半年ほどかかっていた実施までの期間が「原則6週間」(患者申出療養として初めて実施する場合)に短縮されます。すでに前例のある治療法の場合は「原則2週間」での実施も可能ということです。

 

●ポイント2:各都道府県ごとに5~6病院で実施―身近な病院で受けられる

実施病院も、特定機能病院(全国に88か所)や臨床研究中核病院(臨床研究拠点として厚労省が認可した病院)に加えて、かかりつけ医を「協力医療機関」として登録するなど、患者にとって“身近な医療機関”で実施できる道を開きました。

 

厚労省の試算では、例えば未承認の抗がん剤を使用する場合、全国に400か所あるがん診療連携拠点病院で実施できるようにするなど、各都道府県で5~6か所は実施できる医療機関を設定する予定です。

 

問題点も―がん患者団体が懸念を表明

新たな制度には問題がないわけではありません。がん患者団体ネットワークの「全国がん患者団体連合会」(全がん連)は、「患者申出療養制度に関する共同アピール」をまとめ、制度の問題点を指摘しています。

 

全がん連は制度を作ることによって、保険適応前の未承認薬などを使うことが一時的な措置ではなく恒久化(いつまでもその状態が続くこと)することを懸念しています。

 

未承認薬を使った患者負担は150万円!

抗がん剤未承認薬の多くは、月当たりの薬剤費が100万円前後もかかるものが少なくありません。

 

国立がんセンターが公表しているモデルケースでは、未承認薬(ペンブロリズマブ)を用いたがん治療で全額自費の場合の1か月当たりの治療費は152万3500円、患者申出療養などいわゆる混合診療の場合143万3213円と、混合診療を使っても患者負担は10万円しか軽減していません。

これに対して保険適応となれば高額療養費制度が適応となり、患者負担は9万4185円まで軽減されます。

 

制度があるからといって保険適応されるまでの期間が長引けば、患者負担が増大するのは明らかです。また全がん連は有害事象が起きた際の補償の枠組みも必要としています。

 

油断できないTPP問題

もともと政府の規制改革会議からスタートした患者申出療養制度。制度を作るに当たっては「混合診療拡大」への懸念から、医師会などの強い反対にあってきました。最終的には厚労省がまとめた制度の制度設計(案)においても、「混合診療を無制限に解禁するものではなく国民皆保険の堅持を前提とする」と、あえて明記するなど関係方面への配慮が見受けられます。

 

とはいえ社会保障税制のひっ迫やTPPなど、国民皆保険制度が岐路に立たされているのは事実。4月から始まる新しい制度とあわせて、医療制度の行方に注目が集まります。

 

保険外併用療養費制度について(厚生労働省) ※PDF

患者申出療養制度に関する共同アピール(一般社団法人日本難病・疾病団体協議会・一般社団法人全国がん患者団体連合会) ※PDF

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