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2015年10月07日

爆撃された病院で、看護師が見たこと―アフガニスタン・国境なき医師団病院空爆

10月3日、アフガニスタンの北部クンドゥーズで、国際的NGO「国境なき医師団」の病院(外傷センター)が爆撃を受け、患者・スタッフを含む多くの民間人が死傷しました。

 

国境なき医師団は、子ども3人を含む患者7人とスタッフ12人が死亡、スタッフ19人を含む計37人が負傷したと発表しています。なおスタッフの中には日本人を含む外国人スタッフはおらず、いずれもアフガニスタン人だったとのこと。外国人スタッフは爆撃後、首都カブールに避難しているそうです。

 

現場にいた看護師の証言「説明しようもない光景」

爆撃を受けた病院にいた看護師ラヨス・ソルタン・イェクスさんが国境なき医師団のサイトに公開した体験によると、手術室や集中治療室が甚大な被害を受け、隣接の入院病棟は被害がなかったといいます。

 

「燃える建物内に目を凝らした時の光景は、説明しようもありません。あのような惨状を描写する言葉があるとは思えません。集中治療室では患者6人がベッドの上で焼かれていました。」

 

 

被害を逃れた事務室には負傷した患者や付き添い家族があふれており、負傷したスタッフも含めて処置を続けていました。

 

「当初はとにかく混乱状態でした。ですが、死を免れたスタッフも十分いたため、治療可能な負傷の患者には1人残らず対応できました。」

 

スタッフ自身も被害を受けながら、患者やその家族と仲間であるスタッフの治療にあたりました。

 

「どの医師が無事で、業務に携われるかを把握しつつ、事務室で多数傷病者への対応を実践しなければならなかったのです。

医師の1人は、緊急手術を受けましたが、残念ながら亡くなりました。

私たちは全力を尽くしましたが、及びませんでした。何もかもが非常につらい状況でした。


同僚たちの死も看取りました。その1人である薬剤師とは前日の夜、備蓄の件で話し合ったばかりだったのです。その彼も事務室で亡くなりました。」

 

 

現在外傷センターは爆撃による被害で運営を停止。重体患者は全員他の医療施設に搬送し、命を取り留めたスタッフも全員避難しています。周辺の医療施設で治療を受けているスタッフもいるとのことです。

 

紛争地域での医療支援の危機か

国境なき医師団はクンドゥーズからの撤退を決定しており、国境なき医師団日本は「医療ニーズがこれほど切迫している今、撤退はMSFにとっても痛恨の極みです。しかし、爆撃の影響が残る間は、医療活動が継続できる状況か否かの判断ができません。」と発表しています。

 

クンドゥーズの外傷センターは、9月末の激しい戦闘が起きて以来394人の負傷者を治療。ベッド数を150床に増設して地元の人々の医療ニーズに応えていました。

 

看護師ラヨス・ソルタン・イェクスさんも、「センターはこの数ヵ月間、私の職場であり、居場所でした。確かに1つの建物に過ぎません。でも、それよりもはるかに大きな存在です。クンドゥーズにとっては地域の人にとって保健医療そのものでした。その施設が失われたのです。」と書いています。

 

 

国境なき医師団日本のジェレミィ・ボダン事務局長は「爆撃は患者とスタッフの命を奪い、アフガニスタンで最も必要とされている外傷治療に緊急対応できる医療施設を破壊したのです。私たちはすべての紛争当事者に、国際人道法に則り、一般市民、医療施設、医療スタッフの安全を尊重することを、もう一度、強く要求します」と強調しています。

 

この空爆について、駐留米軍のキャンベル司令官は5日、旧支配勢力タリバンの攻撃を受けたアフガニスタン治安部隊の要請を受けて米軍が付近を空爆したと説明。その際「数人の民間人が誤って攻撃を受けた」と述べ、米軍による「誤爆」を事実上認めています。

 

国境なき医師団は、今回のいきさつと原因に関して国際的な第三者機関による透明で徹底した調査を求めています。

 

(参考)

アフガニスタン:クンドゥーズからの証言「言葉では言い表せません。言葉になりません」(国境なき医師団日本)

米「空爆はアフガン側が要請」 医師団、責任転嫁と非難(朝日新聞)

 

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1匿名2015年10月08日 08時26分

せつない。

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