看護職にはいくつか種類があり、「自分にはどの道が合っているんだろう」と迷っている看護学生さんも少なくないと思います。
この記事では、看護職の種類を一覧で整理しながら、仕事内容や働く場所、年収の違いをわかりやすく解説します。
看護職の種類|4つの資格の違いを比較
看護職には「看護師」「助産師」「保健師」「准看護師」の4種類があります。
それぞれ人々の健康と命を守る専門職ですが、資格の取得方法や役割、働き方などには違いがあります。
| 必要な資格 | 主な役割 | 平均年収 | |
|---|---|---|---|
| 看護師 | 看護師の国家資格 | 診療の補助や療養上の世話を行う | 524万7200円 ・月収:36万6000円 ・ボーナス:85万6000円 |
| 保健師 | 看護師の国家資格と保健師の国家資格 | 病気の予防や健康づくりを支える | 551万4000円 ・月収:36万1000円 ・ボーナス:118万2000円 |
| 助産師 | 看護師の国家資格と助産師の国家資格 | 出産の介助に加え、妊産婦や新生児の保健指導を行う | 566万7000円 ・月収:39万0000円 ・ボーナス:98万8000円 |
| 准看護師 | 准看護師の都道府県知事資格 | 医師や看護師の指示のもとで看護を行う | 427万5000円 ・月収:30万3000円 ・ボーナス:63万7000円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」/日本看護協会「看護職とは」「看護職になるには」
※平均年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「賞与その他特別給与額」で算出。
※年収・月収・ボーナスは平均であり、調査年や勤務先、夜勤の回数によって異なります。
看護師|幅広い現場で活躍できる基本の資格
- 役割
医師やほかの医療職と連携しながら、病気やけがをした人のケアや診療の補助を行う専門職です。点滴・採血の処置、清潔ケア、治療の説明や生活指導、患者さんのご家族の精神的なサポートなど、幅広い業務をこなします。 - なるための条件
看護系大学や専門学校で3~4年間の看護師養成課程を修了し、看護師国家試験に合格する必要があります。 - 働く場所・働き方
看護師全体の6割以上が病棟で勤務し、日勤・夜勤のある交代制が一般的です。とはいえ、病院だけではなく、クリニックや訪問看護ステーション、介護施設など幅広い現場で活躍でき、働き方は勤務場所によってさまざまです。 - 新卒採用の傾向
看護職の4つの資格の中でもっとも求人数が多く、新卒採用の中心となります。特に病院は教育体制が整っている職場も多く、プリセプター制度や研修を受けながら看護の基礎を身につけやすい環境といえます。 - 主なキャリアパス
まずは病院で看護の基礎を学ぶのが一般的です。その後は認定看護師や専門看護師などの資格を取得してスペシャリストも目指す道や、幅広い経験を重ねたジェネラリストとして病棟以外にも、訪問看護やクリニック、介護施設などへ活躍の場を広げる人もいます。 - 年収
看護師の平均年収は524万7200円です。夜勤の有無や回数によって、個人差が大きい点は押さえておきましょう。
看護師のキャリアプランにはどんな道がある?新卒の職場選びは?
保健師|地域や職場で健康づくりを支える専門職
- 役割
病気の予防や健康づくりを通して、地域や職場の人たちを支える専門職です。保健所や保健センター、企業、学校などで、健康相談や保健指導、乳幼児健診、メンタルヘルス支援などを行います。 - なるための条件
看護師免許を取得したうえで、大学院や大学専攻科などで1〜2年の保健師養成課程を修了し、保健師国家試験に合格する必要があります。看護学科に保健師課程が併設されている大学では、看護師資格と保健師資格の取得を同時に目指せる場合もあります。 - 働く場所・働き方
保健師の7割が公務員として自治体に勤めています。このほか企業などに所属することもあり、個人への問診のほか、地域や組織全体の健康課題に対応するためデータ分析も担います。多くの職場が日勤かつ、土日休みです。 - 新卒採用の傾向
新卒採用は自治体や企業、病院などで行われていますが、看護師採用と比べると募集定員が少ないことが多く、募集が不定期の場合もある点には注意が必要です。特に企業では看護師・保健師としての一定の経験を求める求人が多いため、新卒での入職はハードルが高いでしょう。 - 主なキャリアパス
自治体、企業、病院、学校と勤務先によって役割はさまざまで、身につく力も異なります。自身の興味や希望している働き方に合わせて、活躍の方法を選ぶことができます。 - 年収
保健師の平均年収は551万4000円です。調査年によって差がありますが例年、看護師よりやや高い傾向です。
【完全ガイド】保健師になるには?就職先・年収・志望動機まで徹底解説
助産師|妊娠・出産・産後を支える専門職
- 役割
妊娠中の相談や保健指導、出産の介助、産後の母子ケアまでを担う専門職です。新生児の健康を守りながら、妊産婦が安心して出産や育児に向き合えるよう支援します。 - なるための条件
看護師免許を取得したうえで、大学院や大学専攻科などで1〜2年の助産師養成課程を修了し、助産師国家試験に合格する必要があります。看護学科に助産師課程が併設されている大学では、看護師資格と助産師資格の取得を同時に目指せる場合もあります。 - 働く場所・働き方
新卒の大半が病院からキャリアをスタートし、全体でも約6割が病院で勤務しています。正常分娩であれば医師の指示がなくても分娩介助ができ、助産所を独立して開業することも認められています。出産を支援するため、夜勤ありの交代制やオンコール体制が基本です。 - 新卒採用の傾向
新卒採用は、産婦人科のある病院を中心に行われていますが、求人数は看護師より少ないです。特にクリニックや助産所は助産師としての経験が重視される傾向があります。 - 主なキャリアパス
産科病棟で経験を積んだあと、周産期母子医療センター指定病院でより高度な分娩に対応して専門性を極めるほか、クリニックや助産所で業務の幅を広げて活躍する道もあります。 - 年収
助産師の平均年収は566万7000円です。手当が充実しているか、基本給自体が看護師より高く設定されている病院があるなど、資格の専門性の高さが給与に反映されているようです。
助産師になるには?仕事内容・資格の取り方・給与・就活対策まで総まとめ
准看護師|医師や看護師の指示のもとで看護を担う資格
- 役割
准看護師は、医師や看護師の指示を受けながら、患者さんの日常生活の援助や処置の補助ができる資格です。病院やクリニック、介護施設などで、食事・排せつ・移動の介助などを通して患者さんを支えます。 - なるための条件
准看護師になるには、准看護師養成所(2年)や高等学校衛生看護科(3年)で准看護師養成課程を修了し、各都道府県が実施する准看護師試験に合格する必要があります。 - 働く場所・働き方
病院やクリニック、介護施設などで働く人が多く、病院では夜勤もあります。業務の幅は看護師よりも狭く、自己判断で行えない業務があります。都道府県が認定する資格ですが、他県で働くことは可能です。 - 新卒採用の傾向
新卒採用は病院やクリニック、介護施設などで行われています。施設や地域によって採用数には差があります。 - 主なキャリアパス
ケアマネジャーなどの介護系資格の取得や訪問看護ステーションへの転職などが目指せます。一定の業務経験を積んだあと、働きながら看護師学校養成所に通い、正看護師を目指すルートもあります。 - 年収
准看護師の平均年収427万5000円です。看護師より100万円ほど低くなっています。
准看護師から正看護師になるには?働きながら目指す方法と資格・給料の違い
看護職の働く場所の種類と特徴

看護職は、働く場所によって役割や働き方が異なります。
厚生労働省によると、看護師と助産師の勤務先は6割以上が病院であるのに対して、保健師は約7割が自治体での勤務です。准看護師は病院・クリニック・介護施設に分かれています。
ここでは、主な就職先ごとの特徴と、新卒採用の傾向を紹介します。
参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
病院(大学病院・一般病院など)
病院は、新卒看護職の多くが最初のキャリアとして選ぶ、もっとも一般的な職場です。さまざまな疾患・症状の患者さんを受け入れ、24時間体制で医療と看護を提供しています。
看護職の中では新卒採用の枠がもっとも多く、教育体制が整っている病院も多いため、基礎をしっかり身につけたい人にとって選びやすい就職先です。
大学病院など規模の大きな病院では、専門性の高い知識や高度な医療をサポートする力も身につきます。
クリニック(診療所)
クリニックは入院施設のない、または少ない医療機関です。地域のかかりつけ医としての役割が強く、患者さんは症状の軽い方や慢性疾患の方がほとんどです。美容クリニックなど、保険診療以外の分野で活躍する看護師もいます。
新卒採用を行う職場もありますが、スタッフの人数が少ないため、すでに基本的なスキルを身につけている即戦力となる人材を求めるケースの方が多いようです。
助産師全体では、クリニック・助産所で働いている人が3割程度と比較的多いですが、病棟での勤務経験がある人がほとんどです。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションでは、主に看護師と准看護師が働いています。
患者さんの自宅を訪問し、生活の場で看護を提供する職場です。一人ひとりの生活や家庭状況に、より焦点を当てた支援が求められます。職場によっては夜間や休日の緊急対応に備えたオンコール体制があり、病院とは異なる働き方の側面もあります。
近年は新卒を受け入れるステーションも増えていますが、病院に比べると採用数は多くありません。教育体制の仕組みが整っているかを確認することも大切です。
【完全ガイド】訪問看護師になるには|新卒向け仕事内容・志望動機・初任給を徹底解説
介護施設(老健・特養など)
介護施設は、高齢者の方が安心して生活を続けられるよう支える場です。医療処置が多い病院とは異なり、健康管理や服薬管理が業務の中心になります。そのため、助産師として働くことは難しいでしょう。
准看護師は全体の約2~3割が介護施設で働いており、他の看護職よりも介護施設で働く人の割合が高い傾向です。
日勤のみの職場が多く、ワークライフバランスを重視したい方に人気な職場です。採用は経験者を歓迎する傾向があります。
自治体(保健所・保健センターなど)
自治体では、主に保健師資格を持つ人が公務員として働き、地域住民の健康を支えます。幅広い世代の方々に関わりながら、病気の予防や健康づくりを進めます。
地方公務員試験への合格が必要で、自治体ごとに募集時期や人数が異なるため、早めの情報収集が重要です。
企業(健康管理室など)
企業で働く場合は健康管理室などに配置されることが多く、生活習慣病の予防に向けた生活指導やメンタルケアを実施し、従業員の健康を支えます。看護師として働く場合は産業看護師、保健師として働く場合は産業保健師とも呼ばれます。
新卒採用枠は少なく、数年の臨床経験や保健師資格を応募条件としている求人が多い傾向です。そのため、新卒で目指すのは難しいですが、キャリアチェンジの選択肢として人気があります。
スキルアップ資格|専門看護師と認定看護師の一覧

将来、特定の分野・領域でスキルアップしたい人は、専門看護師や認定看護師の資格を取得すると、専門分野の深い知識・技術・経験を持つエキスパートとして活躍ができます。
専門看護師
専門看護師は、特定の分野で高度な知識と技術を身につけ、複雑な健康問題を抱える人に対して質の高い看護を提供します。
日本看護協会が認定する資格で、14の専門分野があります。臨床現場以外に教育や研究などの役割も期待されています。
専門看護師の一覧
- がん看護
- 精神看護
- 地域看護
- 老人看護
- 小児看護
- 母性看護
- 慢性疾患看護
- 急性・重症患者看護
- 感染症看護
- 家族支援
- 在宅看護
- 遺伝看護
- 災害看護
- 放射線看護
認定看護師
認定看護師は、特定の看護分野で熟練した知識と技術を持ち、水準の高い看護を実践します。専門看護師と同じく日本看護協会が認定する資格で、19の認定分野があります。
「現場での実践」により重きが置かれているのが特徴で、現場で患者さんによりよい看護を提供したい人に向いています。
認定看護師の一覧
- 感染管理
- がん放射線療法看護
- がん薬物療法看護
- 緩和ケア
- クリティカルケア
- 呼吸器疾患看護
- 在宅ケア
- 手術看護
- 小児プライマリケア
- 新生児集中ケア
- 心不全看護
- 腎不全看護
- 生殖看護
- 摂食嚥下障害看護
- 糖尿病看護
- 乳がん看護
- 認知症看護
- 脳卒中看護
- 皮膚・排泄ケア
特定看護師(特定行為看護師)
特定看護師は、厚生労働省の「特定行為研修(特定行為に係る看護師の研修制度)」を修了した看護師の通称となります。
特定行為とは、医師があらかじめ指示した「手順書」にもとづいて、診療の補助として看護師が実施できる医行為のことです。高度かつ専門的な知識・スキルが特に必要とされる21区分38行為が定められています。
資格ではありませんが、看護師としての仕事の幅を広げることができ、現場で頼られる場面や活躍の機会を増やせるでしょう。
診療看護師(NP)
診療看護師(Nurse Practitioner:NP)とは、倫理的な視点や科学的根拠に基づき、一定レベルの診療を行うための知識・技術を身に付けた看護師です。
日本NP教育大学院協議会が定める教育課程を修了し、認定試験に合格することで得られる民間資格です。
なお、資格取得の過程で厚生労働省の「特定行為研修」を修了するため、特定行為も実施できるようになります。そのため、一般の看護師よりも携われる業務範囲が広がるほか、チーム医療の要の存在として活躍できます。
このほかに、看護職のスキルアップやキャリアアップに役立つ資格を知りたい人は、次の記事もチェックしてみてください。
自分に合う看護職を考えるヒント
「保健師・助産師を目指そうか迷う…」など、自身のキャリア・進路に悩んでいる学生さんも少なくないでしょう。
ここでは、キャリア・進路を決める際のポイントを紹介します。
自己分析をしてみる
どんなキャリアを目指すか迷ったときは、自己分析を通じて自分の考え方や大切にしている価値観、理想の働き方を言葉にしてみましょう。
- STEP1:なぜ看護職を目指したのか思い出してみる
- STEP2:自身の「強み」と「弱み」を言葉にしてみる
- STEP3:「自分にとっての看護」を考えてみる
- STEP4:将来どんな働き方をしているか想像してみる
【就活対策】看護学生向け自己分析のやり方5ステップ|志望動機・面接に効く!

病院見学会や就業体験に参加してみる
病院見学会や就業体験・インターンシップは、職場の雰囲気を知ることができるだけでなく、自分がどんな看護をしたいのかを考えるきっかけにもなります。
実際の現場を見ることで、患者さんの回復を支えることにやりがいを感じるのか、病気の予防に関心があるのかなど、自分の興味や向き不向きが見えやすくなります。
本やネットで調べるだけでなく、実際に働く様子を見て、先輩たちの声を聞くことで、どんな働き方が自分に合うのかを判断しやすくなるでしょう。


病院見学会・就業体験に参加してみる
まとめ
看護職の活躍の場は、病院の病棟だけではありません。クリニックや訪問看護、介護施設、企業など、自分のライフスタイルや興味に合わせた多様な選択肢があります。
まずは違いを知ったうえで、自分がどんな看護をしたいのかを考えてみることが、納得のいく就職先選びにつながります。
実際の働き方をもっと具体的に知りたい方は、先輩の体験談も参考にしてみてください。

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