褥瘡予防のエアマットレス。胸骨圧迫時、背板を入れても沈んでしまう…。

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はエアマットレスがある際の胸骨圧迫について解説します。

 

門馬 治
日本医科大学武蔵小杉病院 看護部 救命救急センター 看護係長/救急看護認定看護師

 

褥瘡予防のエアマットレス。胸骨圧迫時、背板を入れても沈んでしまう…。

エアマットレスの緊急脱気を行いましょう。

 

 

エアマットレスの大半には、心肺停止状態など緊急時の対策として、約20~25秒で完全に空気が抜ける(脱気)機能が備わっています。

 

脱気方法は、メーカーによって異なりますが、機械本体とマットレスをつなぐ送気チューブの接続(赤字でCPRと書かれていることが多い)を外して脱気するものが大半です。機械本体と送気チューブに接続がある(図1)ものもありますが、筆者の経験では、多くの場合、足元左側のエアマットレスに接続があります。

 

図1 緊急脱気システム(例)

緊急脱気システム(例)

 

JRC蘇生ガイドライン20151)には「CPR中は空気で膨らんだマットレスを常に脱気すべき」と述べられています。

 

万が一、緊急脱気の前に胸骨圧迫を開始したならば、脱気のために胸骨圧迫を中断せず、応援スタッフに脱気を指示しましょう。

 

「床におろす」はハイリスク

患者を床におろして胸骨圧迫を行う方法もあります。ガイドラインにも「ベッド上の胸骨圧迫はしばしば浅くなるため、可能ならば傷病者をベッドから床におろす」との記載があります。一方で「その危険性と利点を検討した研究はない」とも書かれています。

 

ベッドから患者をおろす行為は、点滴ラインの事故抜去転落外傷の危険が非常に高く、特に胸骨圧迫の中断が起こることから、緊急脱気のほうが理にかなっているといえます。

 

 

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背板は常に使うもの?

脱気後、硬いベッド本体に臥床した状態なら、背板(バックボード)の使用にこだわる必要はありません。

 

エアマットレスでなく、ウレタン素材のマットレスなどでは、背板を用いたほうが、より圧迫の力が心臓に伝わりやすくなります。

 

 

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引用・参考文献

1)日本蘇生協議会 監修:JRC 蘇生ガイドライン 2015.医学書院,東京,2016.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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