好酸球性肺炎

『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』より転載。
今回は好酸球性肺炎について解説します。

 

 

平澤真実
さいたま赤十字病院ICU看護主任
慢性呼吸器疾患看護認定看護師

 

 

好酸球性肺炎とは?

好酸球性肺炎とは、白血球の1種でアレルギー反応に関与している好酸球によって引き起こされる肺炎です。

 

memo:好酸球

白血球に含まれる顆粒球の一種。寄生虫感染に対する免疫に関与する。

 

原因としては、薬物やカビ(真菌)など、アレルギー反応を起こす抗原の吸入によることが報告されていますが、原因が不明であることも少なくありません。

 

好酸球性肺炎は、発症の経過により急性と慢性とに分けられます。

 

 

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患者さんはどんな状態?

急性好酸球性肺炎の場合では、急速に呼吸困難が進行することもあります(表1)。また、喘鳴を伴うこともあります。

 

慢性好酸球性肺炎の場合は、数日から数か月で咳嗽発熱倦怠感や、進行する呼吸困難などがみられます。

 

表1 急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎

急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎

 

 

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どんな検査をして診断する?

X線、CT、血液検査、気管支鏡検査などを行います(表2図1)。

 

表2 急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎の検査

急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎の検査

 

memo:好酸球分画

好酸球の割合。

 

図1 好酸球性肺炎のX線、CT

好酸球性肺炎のX線、CT

 

memo:カーリーAライン

Kerley’s line(カーリー線)とは、小葉間隔壁肥厚によってみられる線状影のこと。上肺野で肺門から放射状に広がる線が、「カーリーAライン」と呼ばれる。

 

 

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どんな治療を行う?

急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎とでは、治療方針が異なります(表3)。

 

表3 急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎の治療

急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎の治療

 

 

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看護師は何に注意する?

急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎は、病態が異なり原因も異なります。それぞれの特徴を理解したうえで、看護ケアにあたることが重要です。

 

喫煙の有無を確認し、禁煙指導を行いましょう。咳嗽や呼吸困難に対しては、あらかじめ安楽な姿勢を患者さんと一緒に探しておくことが重要です。症状が安定している際に、座位やファウラー位などを試しておきましょう。

 

好酸球性肺炎の治療はステロイドが第1選択です。高用量のステロイドを服用すると易感染状態となるため、感染対策が必要です。患者さんには手洗い・含嗽、面会時や病室外に出る際のマスク着用を促しましょう。

 

吸入薬を使用する場合、口腔カンジダ予防のため、吸入後は含嗽を行うよう指導しましょう

 

退院後もステロイドの服用が続く場合があります。症状がないからといって自己中断せず、継続して服用するよう指導することが大切です。

 

 

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好酸球性肺炎の看護の経過

好酸球性肺炎の看護の経過は以下のとおりです(表4-1表4-2表4-3表4)。

 

表4-1 好酸球性肺炎の看護の経過(発症から入院・診断)

好酸球性肺炎の看護の経過(発症から入院・診断)

 

表4-2 好酸球性肺炎の看護の経過(入院直後・急性期)

好酸球性肺炎の看護の経過(入院直後・急性期)

 

表4-3 好酸球性肺炎の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)

好酸球性肺炎の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)

 

表4 好酸球性肺炎の看護の経過

※横にスクロールしてご覧ください。

好酸球性肺炎の看護の経過

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社

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