便や尿の量や性状を観察するのはなぜ?|排泄援助

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は便や尿の量や性状に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

便や尿の量や性状を観察するのはなぜ?

排便の後、便の量、硬さ、太さ、におい、色、混入物などを観察するのは、便を見ることによって腸管の状態や働きを知るためです。

 

通常、成人で1日100~250g程度の排便があります。正常な便は有形の軟便で黄褐色(おうかっしょく)をしていますが、乾燥した硬便、排泄後に形を留めない泥状便(でいじょうべん)、栄養が吸収されていない水様便、血液や粘液が混じった便などは、明らかに異常です。何らかの処置が必要とされますので、速やかに報告しなければなりません。

 

便の色も、重要な観察ポイントです。白色便であれば、十二指腸への通過障害あるいは胆汁の分泌低下などが疑われます。タール様便は、消化器上部からの出血によって起こり、癌、胃潰瘍十二指腸潰瘍などが疑われます。血便は消化器下部からの出血で、腸穿孔(せんこう)、潰瘍性結腸炎直腸癌などが疑われます。

 

一方、健康な人の1 日の尿量は、1000mL(500~2000mL)とされています。体内から不要な物質を排泄するためには、最低でも1日に400~500mLの尿量を必要とします。尿の観察項目は、排尿回数、尿量、色調、臭気、比重、混濁の有無、排尿時の様子などです。排尿回数は、1日3回以上、9回以下であれば正常と考えられます。

 

排尿直後の尿が汚濁(おだく)している場合は、蛋白尿あるいは感染が疑われます。尿の色が異常に薄いあるいは異常に濃い場合も、医師に報告しましょう。尿のにおいも重要な情報になります。糖尿病甲状腺機能亢進症、自律神経失調症、ショック時など、血中ケトン体が多くなると甘酸っぱいにおいを発するようになります。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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