肺気量分画って?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「肺気量分画」について解説します。

 

道又元裕
国際医療福祉大学成田病院看護部長

 

肺気量分画って?

肺気量とは、肺の中に含まれる気体の量のことで、スパイロメーターによる呼吸曲線(スパイログラム)として測定することができる。各肺気量は、4つの呼吸レベル(最大吸気位、最大呼気位、安静吸気位、安静呼気位)によって分けられ、重複しない肺気量をvolume(基本的4分画)、組み合わせによる肺気量をcapacity という。

 

なお、肺活量は、通常の呼吸から最大吸気位まで息を吸い込み(=予備吸気量)、その後、最大呼気位まで息を吐き出し(=予備呼気量)、そのときの全呼気量を測定したものである。努力呼気曲線は、最大吸気位から、できるだけ速く一気に努力呼出して得られる呼吸曲線で、努力肺活量と1秒量などが計測できる。

 

 

 

 

TLC 4500mL 肺内のすべての空気量。肺活量と残気量を合わせたもの
IC 2500mL 安静にした状態から最大吸気した状態までの空気量
FRC 2000mL 安静にした状態で、なお肺内に残っている空気の量
VC 3500mL 最大吸気した状態から最大呼出した空気の量
肺活量=予備吸気量+1回換気量+予備換気量
IRV 2000mL 安静吸気後さらに吸入できる吸気の量
TV 500mL 安静呼吸時の1回の呼気量または吸気量
ERV 1000mL 安静呼気後さらに呼出できる呼気の量
RV 1000mL 最大呼気後に肺に残る空気量
DS   血液とガスの交換に関与しない部分

 

 

VC 成人男子3000~4000mL
成人女子2500~3500mL
最大吸気後、最大呼気位まですべて吐き出した空気の量
%VC 80%以上 「肺活量測定値÷予測肺活量)×100%」で算出
性、年齢、身長が同じ健常人の値に対する割合
FVC 最大吸気後、一気に呼出し、1秒量などを測定
FEV1 2500~4000mL 努力性呼気時の初めの1秒間での呼気量
FEV1/FVC 70%以上 「(1秒量÷ 肺活量)×100%」で算出
呼気の吐き出しやすさ。
閉塞性換気障害で低下

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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