胸腔ドレーンをクランプするとき、 どうしてエアリークを確認するの?

『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』より転載。

 

今回は「胸腔ドレーンのクランプ」に関するQ&Aです。

 

吉井真美
大阪市立総合医療センター消化器外科
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長

 

胸腔ドレーンクランプするとき、どうしてエアリークを確認するの?

 

エアリークのある状態でクランプすると、緊張性気胸を起こす危険性があるからです。

 

〈目次〉

 

胸腔ドレーンを挿入する目的は?

胸腔内に気体(気胸)や液体(胸水や血胸、膿胸)が貯留している場合、それによって肺が圧排され、肺の膨張が妨げられて呼吸困難などに陥ります。

 

胸腔ドレーンは、そのような状態を防ぐため、貯留物を体外へドレナージすることを目的に挿入します(図1)。

 

図1気胸に対する胸腔ドレナージ

気胸に対する胸腔ドレナージ

 

胸腔ドレーン留置中には、排液の性状や量をはじめ、エアリークの有無、呼吸性移動の有無、ドレナージ経路(チューブ屈曲の有無や接続部)について、定期的な観察が必要です。

 

どのようにエアリークを確認するか?

例えば、気胸に対して胸腔ドレーンを挿入した場合にはエアリークが認められますが、その有無は、排液バッグ(チェスト・ドレーン・バック、)の水封室にブクブクと泡が出ることで確認できます(図2)。

 

図2チェスト・ドレーン・バックの構造

チェスト・ドレーン・バックの構造

 

ただし、エアリークを認めた場合には、まずその空気漏れがどこで起きているかを見きわめる必要があります。患者の胸腔内ではなく、ドレナージユニットのどこかで空気が漏れていることもあるので、必ずチェックが必要です。

 

なぜエアリークの確認が必要なのか?

胸腔ドレーンをクランプするということは、ドレナージをストップさせることと同じであり、もしもエアリークが持続している状態でクランプすると、空気を体外へ出すことができなくなるため、胸腔内にどんどん空気が貯留します。緊張性気胸を生じ、非常に危険です。

 

したがって、クランプする際には、必ずエアリークのないことを確認してから行わなければなりません。

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社

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