麻薬のアンプルを破損してしまい、薬液をこぼした!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、麻薬のアンプルを破損してしまい、薬液をこぼした場合について解説します。
浜田薬局
薬剤師

ピンチを切り抜ける鉄則
麻薬のアンプルが破損してしまった場合は、その場で廃棄せず、速やかに麻薬管理者に報告することが必要です。
破損に限らず、麻薬の取り扱いで判断に迷うことがあった場合は、必ず麻薬管理者に相談することが重要です。
同時に、日頃から破損につながらないような対策をとることが必要です。
- 麻薬は、濫用による保健衛生上の危害を防止するため「麻薬及び向精神薬取締法」で取り扱いについて定められており、医薬品の中でも特に取り扱いに注意が必要となっています。
イレギュラーな事態が発生した場合に、誤った対応をしてしまうと法律違反となってしまうことがあるので、正しい対応を知っておくことが重要です。
起こった状況
症例
患者Aさんに投与するためにフェンタニル注射液0.5mgを調製することになり、看護師は麻薬金庫からアンプルを取り出し、直接ミキシング台の上に置きました。
シリンジなどを準備しようと目を離した隙にアンプルがミキシング台から転がり、床に落下してしまいました。
その際、アンプルが破損し、麻薬の薬液が床にこぼれてしまいました。

どうしてそうなった?
アンプルは多くがガラス製であり、落下などの衝撃により破損しやすいです。
転がりにくくなるような工夫がされているアンプル製剤もありますが、不注意により手から滑り落ちてしまうこともあります。
また、運搬時や保管時にアンプルを箱に入れている状態で落下しても箱の中で破損してしまうことがあります。
どう切り抜ける?
麻薬の注射剤を調剤前(アンプルカット前)・調剤後(アンプルカット後)に滅失(麻薬がその物理的存在を失うこと)するなどの事故があった場合は、麻薬管理者(麻薬管理者のいない麻薬診療施設では、麻薬施用者)が、速やかにその麻薬の品名、数量、事故の状況を明らかにするため必要な事項を都道府県知事に届け出なければなりません。
そのため、この症例のような場合は、状況を確認し速やかに麻薬管理者あるいは麻薬施用者に報告をすることが必要です。
こぼれてしまった麻薬の薬液については、注射器等で可能な限り回収してください。
ガーゼなどに浸み込んだ場合は、そのガーゼなども回収してください。
回収した麻薬の薬液はその場で廃棄せず、保管して、麻薬管理者の元へ返却してください。
アンプルを箱に入れている状態で落下させた場合も、箱の中で破損している可能性があるため、箱を開けてアンプルが破損していないかどうか確認する必要があります。
もし、アンプルは破損したが、薬液はこぼれておらず、全量回収できた場合はそのまま使用しても問題ありませんが、衛生面などから使用できない場合(ガラス片などによって薬液が汚染されている可能性がある)は麻薬管理者の元へ返却してください。
アンプルを破損させないためには、調製前はアンプルをトレーなどの中に入れ、調製時もトレーなどの上で調製するなどの対策が必要です。
また、アンプルが入っている箱やトレーを台の端の不安定な部分に置かないようにすることも重要です(図2)。
図2アンプルが入っている箱を台の端の不安定な部分に置いた状態

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1) 東京都保険医療局:麻薬取扱いの手引(麻薬診療施設用 ―病院・診療所・飼育動物診療施設―).令和5年7月改訂.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



