静脈栄養|ICUにおける栄養管理

『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は、「静脈栄養」について解説します。

諸見里 勝
中部徳洲会病院救命救急センター集中治療室 集中ケア認定看護師

 

静脈栄養

静脈栄養の適応

重症化前に栄養障害がない症例に対して、ICU入室1週間で経腸栄養が500kcal/日程度投与できていない場合に静脈栄養を検討する。

 

1週間以上経腸栄養を実施できないことが予測されている症例は、静脈栄養の適応となる。

 

重症化前に栄養障害がある症例で、経腸栄養が投与できない症例では早期に静脈栄養を実施することが推奨されている。

 

静脈栄養の管理

投与栄養量:単独での完全静脈栄養の場合でも、経腸栄養の不足分を補う補充的静脈栄養の場合でも、投与栄養量の総量をICU入室1週間程度は1日の必要栄養量の70~80%程度に制限する。

 

タンパク投与量:経腸栄養と同様に、1.2g/kg/日程度を目標とする。

 

脂肪乳剤の使用:経腸栄養が行えず静脈栄養を10日以上実施していれば、脂肪乳剤の投与を検討する。投与量は0.7~1.5g/kg/日、投与速度は0.1~0.2g/kg/日とする。

 

血糖管理

重症患者の血糖管理は、180mg/dL以下に管理する。血糖測定は簡易血糖測定ではなく、動脈血を用いて血液ガス測定器で行う。

 

重症患者は浮腫によりインスリンの皮下注射では吸収が不安定になる可能性があるため、持続静脈注射での投与を検討する。

 

血糖は不安定な時期は1~2時間おき、安定していれば4時間おき程度の間隔で測定する。

 


 

本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版

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