世界一高い薬「ゾルゲンスマ」、1億6700万円で保険適用に|看護roo!ニュース
米国では2億円を超え、世界一高い薬と言われる「ゾルゲンスマ」(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク)が、日本でも2020年5月20日から保険適用されました。
日本での価格は1億6707万7222円で、現時点で国内最高額の薬です。
どのような薬なのでしょう。
「ゾルゲンスマ」は、乳幼児の難病治療薬
ゾルゲンスマは、指定難病の一つである「脊髄性筋委縮症」の治療薬です。
脊髄性筋委縮症は、運動神経を維持するタンパク質をつくる「SMN遺伝子」の異常によって、筋力低下や筋萎縮が起こる難病です。10万人に2~3人発症し、発症する時期が早いほど重症になりやすいのが特徴です。
生後6カ月までに発症する最も重症のタイプでは、人工呼吸器を用いなければ95%の患者さんが生後18カ月以内に命を落とすといわれています。
ゾルゲンスマは、問題となる「SMN遺伝子」を補充する薬で、脊髄性筋委縮症患者さんの生命予後や運動機能が改善されると期待されています。
治療対象となるのは、2歳未満で体重2.6kg以上の患者さんです。1回の投与で済むのが特徴です。
どうして、そんなに高いの?
ゾルゲンスマが高額になったのは、まれな難病が対象で開発費や製造費がかかる上、
既存の類似薬「スピンラザ」の金額をベースに考えられたこと
が理由の一つです。
厚生労働省「再生医療等製品の保険償還価格の算定について」を基に看護roo!編集部で作成
スピンラザは1回当たり約950万円で繰り返し投与が必要なので、その11倍の価格(1億422万3264円)が基準と考えられました。
さらに、原理的に根治の可能性があることなどが評価された「有用性加算Ⅰ」(50%プラス)や、画期的な新薬を対象とした「先駆け審査指定加算」(10%プラス)が付いたことで、さらに60%上乗せされた価格になり、1億6707万7222円という超高額な薬になったわけです。
2020年度の対象患者は25人が想定され、販売額としては42億円が見込まれています。
高額な医療費の自己負担には上限があるため、患者側が実際に支払う医療費は大幅に抑えられますが、医療保険の財政を圧迫するのではという心配の声も上がっています。
今後のデータの蓄積が必要
ゾルゲンスマは保険適用されましたが、国内での治験症例はまだ限られています。
そのため、販売開始後も全症例を対象とした治療成績の調査が実施される予定です。
看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo)
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(参考)
再生医療等製品の保険償還価格の算定について(厚生労働省)
脊髄性筋萎縮症(指定難病3)(難病情報センター)
ゾルゲンスマ(ノバルティスファーマ)
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